マンションの売却か賃貸か論争に終止符!どっちが得かとことん比較

・転勤で離れた土地に引っ越す
・地元に戻ることになった
・親の介護のため実家で暮らすことに
予想もしていかなかった理由から引っ越しをしなければならないこともあります。

せっかく購入したマンションから離れることにり、あなたは2つの選択肢が思い浮かぶでしょう。
「売却」と「賃貸」です。

売却と賃貸でどちらが得かというのは、それぞれの事情によってケースバイケース。

ただ近年、家賃収入に魅力を感じ「貸した方が得かな」と、なんとなく賃貸を選択する人増えています。

売るか貸すかは慎重に決断したいところですが、引っ越しと重なってしまうとタイムスケジュールがきつく、焦ってしまいがち。
しかし、急いで安易な選択をすると確実に損をします。

そこで、今回は、
・売却と賃貸どちらを選択するべきか?
・どんなメリット、デメリットがあるのか?
・賃貸を選んだ方が良いケース、売却を選んだ方が良いケース
など、とことん比較していきます。

1. マンションを売るのか貸すのか?

自宅マンションを離れる理由は人それぞれ。
「〇年で確実に戻ってくる」と分っていればいいのですが、「戻って来るか分らない」「期間は分らない」という方も多いはず。

このように、現時点では将来どうなるか分からない状況であれば、
「とりあえず売らずに所有しておこう!」
「売らないとしても、空き家にするのはもったいないから貸し出して家賃収入を得よう!」
と考えるのも無理はありません。

最近は、一般の方の不動産投資も流行ってきているので、「資産を残しつつ家賃収入も手に入って一石二鳥!」と単純に考えてしまっているのかも知れません。

しかし、この「家賃収入」を期待した安易な賃貸の選択が一番危険!
賃貸に出すことは、メリットが先行して良いイメージがありますが、デメリットもたくさんあります。
賃貸のメリット・デメリット両方を比較して、慎重に考えましょう。

1-1. 賃貸のメリット

1-1-1. 家賃収入が得られる(不労所得)

自宅マンションを貸し出す一番大きなメリットが「家賃収入」でしょう。
毎月決まったお金が家賃収入として入ってくる・・・まさに誰もが憧れる「不労所得」です。
あなたが会社員として働いているなら、給料収入のほかに、働かずして得られる収入は大きな魅力かも知れません。

また、家賃収入を得ながらも、所有者は自分のままですから「資産」として残ることもメリットと言えます。

1-1-2. 黒字の可能性(住宅ローンを支払中の場合)

マンションなどを住宅ローンで購入する場合、完済までの期間を長期で設定し、月々の返済額を少なくしているケースが多いでしょう。
そうなれば、家賃収入から、月々のローンや経費を差し引いても黒字となる可能性もあります。

他人様から頂いたお金でローンを返せるわけですからこちらもメリットです。

1-1-3. 住宅ローン金利や固定資産税が経費計上できる

あなたのマンションを賃貸にした場合、今まで何気なく払っていた費用を「経費」にできます。

例えば、
・住宅ローンの金利
・固定資産税
・管理費
・修繕積立金
などなど・・・。

これらは家賃収入を不動産所得として申告する際に「経費」として計上できるので、控除額が増え節税に繋がります。

1-1-4. 分譲マンションは周辺の家賃相場より高く貸せる

賃貸に出す時の一番の悩みどころは「家賃」ですが、分譲マンションは高めに設定しても入居者を確保できます。
というのも、賃貸用のマンションと比べて、分譲用のマンションはいくつものメリットがあるからです。

例えば、
・外観や内装もラグジュアリー
・管理が行き届いている
・構造がシッカリしている
などです。

同じエリアの賃貸マンションと比べて、分譲マンションは高めの家賃設定が可能です。

1-2. 賃貸のデメリット

1-2-1. 貸し出すにもあれこれお金が掛かる

「自分がマンションから引っ越したらすぐに貸し出そう!」と考えているかも知れませんが、実際は難しいでしょう。
第三者に貸し出すのですから、室内を綺麗にした状態が基本的なマナーです。

居住していた期間にもよりますが、壁紙が汚れていれば「張替え」が必要ですし、水回りなどの汚れを取るためにハウスクリーニーニングで綺麗な状態にすることが理想です。

ハウスクリーニングは、依頼する業者の価格設定によって費用は大きく異なりますが、一般的な3~4LDKで¥50,000~程度が相場で、¥100,000を超えたら高いといったイメージです。

ハウスクリーニングで綺麗できない汚れであれば、壁紙や床の張替えも必要になります。
壁紙の張替えは、クロスのグレードによって料金は異なりますが、一般的には「0.9m × 〇m」がクロス料金のベースです。
量産品のクロスだと1mあたり1,000円未満、一般普及品のクロスだと1mあたり1,200円前後くらいが相場です。
さらに処分費や諸経費もプラスされ、6畳で¥60,000~くらいが相場の目安となります。

床を張替えるときも同様です。
フローリング、フロアタイル、クッションフロア、カーペットという素材の違いによって、かかる費用は異なりますが、6畳の部屋で¥60,000~が相場です。

壁紙のときと一緒で、材質のグレードや依頼するリフォーム店によっても価格は異なるので、事前にしっかりと見積書を確認することが必要です。

また、入居者が退去すれば、ハウスクリーニングは必須で、室内の状況に応じで壁紙や床の張り替えをしてから、次の入居者を募集しなければないけません。

さらに、入居者の故意でない限り、部屋の設備が故障すれば、修繕や交換にかかる費用は、大家であるオーナー負担が基本です。

マンションを賃貸に出すのであれば、初期費用だけでなく、入居者が入れ替わるたび、定期的な出費を覚悟しなければならないのです。

1-2-2. 不動産会社へ支払う費用も多い

マンションを賃貸に出すといっても、入居者を見つける必要があります。
普通の人は不動産会社に依頼することになるでしょう。

依頼を受けた不動産業者は、入居社募集の宣伝活動をします。
それにより入居者が見つかれば、マンションオーナー(貸主)と、入居者(借主)で賃貸借契約を結びます。

不動産会社はここまで両者の間を取り持ち、賃貸借契約を成立させてくれたわけですから、マンションオーナー、入居者ともに不動産会社に対価として仲介手数料を支払う必要があります。

宅建業法では、不動産会社が受け取れる仲介手数料は家賃の1ヵ月分までと決まっています。
法律で決まっているわけですから絶対です!

この法律を忠実に不動産会社が守ると仮定すれば、
・マンションオーナーから家賃0.5ヵ月分、入居者から家賃0.5ヵ月分
・マンションオーナーから家賃1ヵ月分、入居者から家賃0ヵ月分
・マンションオーナーから家賃0ヵ月、入居者から家賃1ヵ月分
上記の3パターンが考えられます

「普通、入居者は不動産会社に仲介手数料1ヵ月分を支払うよね?じゃあ、マンションオーナーは1円も払わななくいいのか!」と思われるかもしれませんね。
でも、実際にはマンションオーナーも不動産会社に1ヵ月分払うのが一般的です。

つまり、現状の不動産業界では、上記3つのどれにも当てはまらない、
・マンションオーナーから家賃1ヵ月、入居者から家賃1ヵ月分
となります。

ただ、法律で1ヶ月と決まっているので、「広告料」などと名目を変えて支払うことになります。
完全に法律の抜け穴と言われていますが、不動産業界の慣習としてまかり通っています。

ちなみに、不動産会社に頼らざるを得ないマンションオーナーの弱みに付け込んで、広告料を2ヶ月、3ヶ月請求する不動産業者もいます。

また、不動産会社への支払いは入居者募集時だけではありません。
クレーム対応、設備トラブル、共有部分の掃除、契約更新、家賃の督促などの日々の管理も当然必要です。

自分で管理を行うことも不可能ではありませんが、休みの日だろうが何かあればすぐに対応しなければいけません。
特に遠方であれば管理業務は現実的に不可能でしょう。

そこで、マンションオーナーに代わって、入居者管理の全般を不動産会社に委託することができます。
一般的に賃料の5%ほどで、それを管理費、管理委託費として不動産会社に毎月支払っていくことになります。

1-2-3. 空室のリスクがある

マンションを賃貸にして不労所得を得られるのは、入居者がいればの話です。
募集をすれば、すぐに入居者が見つかると簡単に考えがちですが、マンションの立地や築年数、設備などの条件によっては、なかなか見つからないこともあります。

また、入居者が見つかってもどのくらい住み続けるかは分かりません。
退去した後には、すぐに新しい入居者を募集する必要がありますし、見つかるまでの間は家賃収入がありません。

空き家状態でも、所有しているだけでマンションの管理費は支払う必要があります。
さらに、住宅ローンの支払いがあれば丸々赤字です。

自分が暮らしていく日々の生活費にプラスして、空室になったマンションの赤字がのしかかれば生活は厳しくなるでしょう。
家賃収入というメリットばかりでなく、空室というデメリットもしっかりと理解しておく必要があります。

1-2-4. マンション経営に手間がかかる

さきほども少し触れましたが「管理業務の手間」を回避するため、不動産会社に委託をすれば「管理費(5%前後)」が掛かります。

マンションオーナーが今後も近所に住む場合などは、管理費を抑えるため、自ら管理するケースも稀にあります。
入居者募集だけ不動産会社にお願いして、日々の管理は全て自分でやる!といったイメージですね。

ただ、その業務内容は非常に多く「家賃を回収する」「滞納すれば督促をする」「契約更新の手続き」「室内の定期的なメンテナンス」「退去後のハウスクリーニング」「近隣トラブルの対応」など本業が別にある方だとかなりハード。

また、家賃収入は「不動産所得」となるため、毎年の確定申告も必要です。
最近では投資用物件を購入して投資家として不動産経営をする方も多いですが、「一室だけの賃貸」や「転勤の間だけの賃貸」など、とりあえず貸しているケースでは「確定申告」に対しての意識が薄くなりがち。
不動産収入があるのに申告せずに放置すると「申告漏れ」となってしまうので注意しなけれいけません。

これらの手間や時間が惜しくない!と思えるくらい家賃収入が黒字になるのかを考えることも重要です。

1-2-5. 収益物件として売ると安い

入居者がいて家賃収入があるマンションは「収益物件」となり、一般的な物件として扱われません。
将来、売却するタイミングで入居者がいれば「収益物件」として売り出すことになります。

そして「収益物件」として売り出すと、一般的なマンションより売却金額が安くなってしまう傾向があります。

というのも、
・入居者がいるために内覧ができない
・次の購入者が住宅ローンを使えない(収益物件はあくまでビジネスなので事業用ローン)
などの理由から、一般的な居住用マンションを考えている人はまず買いません。

そのため購入者は「不動産投資家」「不動産業者」などに限定されてしまいます。
購入者が限定されてしまえば、売却金額も低くなるのは当然ですよね。
居住用マンションとして売り出した場合と比べ、2~3割は安くなるでしょう。

また、収益物件は「どのくらいの家賃収入があったの?」という利回りで査定金額を算出します。
そのため、安く賃貸に出していて利回りが低ければ査定金額も低くなります。

1-2-6. 賃借人とのトラブルはつきもの

自分のマンションを賃貸に出した時に願うのは「入居者が良い人だったら・・・」ということでしょう。
しかし、他人が居住することで思わぬトラブルが舞い込んでくるリスクがあります。

入居者が近隣住民とトラブルを起こすのはよくあるケース。
騒音問題やゴミだしなどで揉めるケースが多いですが、大家としての責任問題を問われます。
適切にクレーム処理をしていかなければなりません。

また、よくあるトラブルが家賃の滞納です。
滞納期間が長引けば、大家である側にとっては金銭的に厳しい状況です。
家賃滞納を理由に退去してもらったとしても、最終的には滞納分を返却してもらうことができず泣き寝入り・・・というケースがほとんどです。

そして、「敷金の返還」にまつわるトラブル。
汚れに応じて、部屋の現状回復を求めるでしょうが、ここでお互いの要求が合わずに揉めることもあります。

もちろん、管理会社を通しておけばトラブル対応もしてくれます。
しかし、管理会社は対応してくれるのであって、滞納分や原状回復費用を肩代わりしてくれるわけではありません。

金銭的にも精神的にも疲れ果て「賃貸に出さずに売っておけば良かった」と後悔するマンションオーナーはたくさんいます。

1-2-7. 貸し出すマンションと新居の二重ローン

「今のマンションは住宅ローンが残ってるけど、賃貸に出して家賃収入が入れば返済分はカバーできそうだ。」
「そうなれば、引っ越し先の新居は、新たに別の住宅ローンを組んでも問題なさそうだ。」

こんな風に考えているなら要注意です!!!

この場合、既存のローン返済状況が新居のローン審査に影響します。
つまり、「今のマンション」と「新居のマンション」の返済額を合算して審査されます。

「賃貸収入が見込めるから返済は大丈夫です!」と銀行に言ったところで、『空室のリスクもありますよね?』と返事が返ってくるだけ。
このようなことから、よほどの収入がない限り、同時に2つんのローンを組む(ダブルローン)のは審査的にかなり厳しいでしょう。

仮に、ダブルローンの審査を通過したとしても、空室となれば家賃収入は途絶え、2つのローンが大きな負担となります。

1-2-8. 賃貸中に部屋が傷む

第三者に貸し出した場合の大きなデメリットが部屋の傷みです。

マンションオーナーからすれば大切なマイホームですが、入居者からすればあくまで借りた部屋。
掃除や整頓に無頓着になってしまう入居者もいます。

入居者が住んでいる間は基本的に部屋の中を見ることができませんから、どんな使われ方をしているか分りません。
退去時に、あまりの汚れにビックリした!なんてこともあります。

1-2-9. 築年数の経過により価値が下がっていく

賃貸に出せば、そのマンションは資産として所有し続けることができます。
ただ、所有者はずっと変わらずにマンションオーナーですが、築年数の経過とともに建物が劣化していくことは避けられません。
そうなれば、資産価値は下落していきます。

何年後かにそろそろ売却しようと査定に出してあまりの安さに「賃貸に出さずにあの時売っておけば・・・」と後悔しても遅いのです。

1-2-10. 事故物件になるリスク

入居者が、借りた部屋でどんな暮らしをしていくのか、というのは全く予測がつきません。
生活の背景や人間関係も分かりません。

入居審査の時は普通の人に思えても、その後の人生に大きな変化やトラブル、事件や事故が起きることもあります。
そのトラブルがあなたのマンションの中で起きることもあり得るのです。

もし、室内で入居者が亡くなってしまえば「事故物件」として扱われます。
その後の入居者が決まりにくいだけでなく、将来売却する時にも「事故物件」として取り扱われることになってしまうのです。

1-2-11. 居住用財産の3,000万円の控除を受けられない

マンションはとりあえず貸し出しておいて、いつか売却しよう!と何となく考えているなら注意が必要です。

自己所有のマンションを売却する場合、売却益は「所得」になり、金額に応じて所得税と住民税が課せられることになります。
売却金額が高く「利益」が出ると税金の支払いが必要なので、どうにかして節税したいですよね。

その1つの方法として「居住用財産の3,000万円の控除」という特例があります。
購入金額と売却金額の差額、つまり利益となる部分が3,000万円までなら所得税がかからない、という特例です。

この特例には注意点があり「住まなくなった日から3年目となる年の年末12月31日までに売却した不動産」という条件があるのです。
「いつか売却しよう」と考えて賃貸に出して、3年過ぎてしまうと特例が受けられないので注意が必要です。

2. 結局のところ売る方がいいの?貸す方がいいの?

ここまで読んで頂いてお気付きだとは思いますが、マンションを貸し出すことはデメリットも多く、慎重な判断が必要です。

もちろん、100%賃貸は損というわけでなく、その後のライフプランによっては、プラスになることもあります。
「売却」と「賃貸」のどちらを選ぶべきかは本当にケースバイケースです。

そこで、マンションを貸し出した後のライフプランから、賃貸と売却のどちらが良いか考えていきましょう。

2-1. 賃貸として貸し続ける

・実家に戻る
・別に新居を購入した
など、「マンションに戻る可能性がゼロ」であれば、賃貸に出すことを検討しても良いでしょう。

しかし「ほったらかしでも家賃収入が入ってくる」という甘い考えならオススメしません。
ずっと貸し続けるのであれば1つのビジネスであることを意識しましょう。
ビジネスとして考える以上、「黒字」だけでなく「赤字」があることも覚悟すべきです。

また、単純に「家賃収入=利益」となる訳ではなく、マンションを貸し出すには多くの経費も掛かります。
不動産屋への手数料や管理費、部屋の修繕費、税金などは当然考慮しなければなりません。

さらに、ローンが残っているなら、空室時に新居とのダブルローンになる危険性もあります。
そうなっても日々の生活を圧迫しない余裕があるのか、蓄えがあるのか、総合的にシミュレーションしてみましょう。

2-2. いずれ売却する

「マンションに戻ってくる予定はないし、ビジネスとして賃貸経営をする気なんてサラサラない。
でも購入したばっかりだし、なんとなく今すぐ売るのはもったいない・・・
とりあえず賃貸にでも出して様子を見よう。」

こんな考えのマンションオーナーさんがたまにいますが、一番危険です!

とりあえず様子を見てる間にどんどん建物は劣化して価値は下がりますし、売却時に入居者が退去してくれなければ先にも書いた通り、収益物件として安く売却することになります。

引っ越しでバタバタしている中で、とりあえず売却は先送りにしたいという気持ちも分らなくはないのですが、、、どうせいつか売却するのであれば、一番資産価値が高いであろう「今」動くべきです。

2-3. いずれまた住む

一時的な転勤など、いずれマンションに戻ってくるのであれば、

「空室にしておくのはモッタイナイな・・・
マンションを離れてる間だけでも貸し出して家賃収入にしよう!
自分が戻るタイミングで、入居者に退去して貰おう。」

と考えるかも知れませんね。

しかし、賃貸借契約は入居者の方が有利に作られています。
そのため、家賃をきちんと支払っている入居者を、オーナーの一方的な都合で退去させることはできません。

賃貸借契約を結んだ数年後、オーナーが「戻ることになったので退去してくれないか?」と入居者に申し出たとします。
『分かりました』と入居者が同意してくれれば何の問題もありません。
しかし、『退去はできない』と言われたら、オーナー側は対抗できないのです。

「いずれマンションに戻るけど、離れている間だけ貸し出す」という選択をするなら、オーナーの都合で簡単に退去してもらうことは難しい点を理解しておきましょう。

例外として「転勤だけど、3年後には確実に戻ってこれる」という明確な時期が分かっているなら、「定期借家契約」を利用すると上記したリスクを回避できます。

定期借家契約とは、入居者に貸し出す期限をあらかじめ定めておく契約方法です。
その期限をもって確実に契約が終了となります。
戻ってくる時期が確定しているなら、離れている期間だけ定期借家契約で賃貸に出すことも考えてみましょう。

3. 仮にマンションを貸し出すことになったら

賃貸に出すことのメリット・デメリット、貸し出した場合のライフプラン、などを説明してきました。
ここまでを踏まえて、あなたが「自分のケースだとマンションを貸し出すのもアリだな」と考えているかも知れませんね。

そこで、実際に貸し出すならおさえておきたい必須ポイントをご紹介していきます。

3-1. マンションを貸し出す時に考えたい3パターン

マンションを貸し出すことになれば、オーナー(貸主)と入居者(借主)が賃貸借契約を結ぶのが一般的です。
しかし、一般的な賃貸借契約の他にも大きく分けて3つの契約形態があります。
それぞれの特徴を解説していきましょう。

3-1-1. 定期借家契約

戻る期間が決まっているなら「定期借家契約」を考えてみましょう。
先ほども少し触れましたが、通常の賃貸借契約では入居者が守られており、オーナーの一方的な都合で退去を申し出ても「NO」と言われてしまえば対抗策はありません。

しかし、定期借家契約では、オーナーが契約期間を自由に設定できます。
そして、通常の賃貸借契約と違い、契約更新もないので、オーナーが戻ってくるタイミングで確実に退去してもらえます。

例えば、3年後にマンションに戻ってくることが確定しているなら、3年間の定期借家契約を結びます。
そうすれば、賃貸期間3年の更新なしということになります。

3-1-2. サブリース(転貸借契約)

賃貸に出しても空き室になれば家賃収入がありません。
「住宅ローン支払い」や「生活の足し」に家賃収入をあてにしている場合、ゼロになったら日々の生活に支障が出てしまいますよね。
そこで注目されているのが「サブリース(転貸借契約)」です。

一般の賃貸借契約は、マンションオーナーと入居者との間で結ばれます。

一方で、サブリースは、オーナーのマンションを不動産会社に借りて貰い、その後、不動産会社が入居者に貸し出します。
つまり、不動産会社と入居者の間で契約が結ばれることになります。

家賃も、オーナーは不動産会社から貰い、不動産会社は入居者から貰うことになります。
オーナーはあくまで不動産会社に貸しているわけですから、実際にはマンションが空室だろうが、入居者が滞納しようが関係ありません。
毎月の家賃は不動産会社から確実に支払われます。

サブリースを利用すれば、マンションオーナーは空室リスクと滞納リスクをまとめて解決できてしまいます。

「ん?でも入居者から振り込まれた家賃をそのまま100%オーナーに支払ったら不動産会社の利益は?」と思われますよね。
もちろん不動産会社もボランティアでやっているわけではありません。
不動産会社は実際の家賃から2~3割程度が差し引いた金額をオーナーに支払うのが一般的です。
この不動産会社の取り分を保証料なんて呼びます。

家賃の2~3割を支払うことで、
・不動産会社は空室や滞納のリスクを負う。
・オーナーは家賃保証という安心を買う。
といったイメージですね。

もう一つメリットをあげるなら、何もかも丸投げできるとい点でしょう。

一般の賃貸借契約では、不動産会社はあくまで代理。
不動産会社は代理の立場だと何をするにもオーナーにいちいち確認を取らなくてはいけません。

しかし、サブリースでは入居者と直接契約を結んでいるのは不動産会社です。
直接契約を結んでいる当事者となれば、わざわざオーナーにお伺いを立てる必要はありません。
例えば、家賃滞納などが起きても、オーナーの了承をいちいち取らずに、書面や電話での催告、連帯保証人への連絡、内容証明の送付、訴訟などスムーズに進めてくれるでしょう。

本格的に賃貸経営をビジネスとして考えているわけではなく、転勤の間だけ一時的に貸し出したいと考えているオーナーからすれば、トラブルが発生するたびに確認の連絡が来るのは面倒なだけです。

もちろんこれらの管理業務も家賃から引かれる2~3割に含まれているので、総合的に考えるとメリットが大きいと感じるのではないでしょうか。

3-1-3. リロケーションサービス

そして、上記した2つの「定期借家契約」と「サブリース」を組み合わせたものを「リロケーションサービス」と呼びます。

リロケーションのメリット当然2つのメリットを合わせたものですが、大きくは以下の3つになります。
・定期借家契約で貸し出す期間も限定できる
・サブリースなのでその期間の家賃は一定額保証される
・サブリースなので管理業務も丸投げできる

もちろん、サブリースなので保証料(家賃の2~3割)は不動産会社の取り分になってしまいますが、転勤などでマンションに戻ってくる時期が確定している場合には、これ以上ないサービスです。

3-2. 貸し出す時は金融機関に相談

住宅ローンを返済中のマンションを貸し出すつもりであれば、金融機関に相談してからにしましょう。

基本的に「住宅ローン」は自分が住むことが条件になっています。
だからこそ安い金利に設定されているのです。

金融機関によって詳細は異なりますが、他人に貸し出すことになれば、賃貸用住宅ローンなどへの切り替えを求められることもあります。
賃貸用住宅ローンは、金利も高く、返済期間が短めに設定させれるので負担が大きくなってしまいます・・・。

それなら金融機関に話すと損をしてしまうのでは?と金融機関に黙っておこうと考える方もいるかもしれません。
しかし、黙っていて後から判明してしまうと契約違反として「ローンの一括返済をするよう」求められることもあります。

「じゃあローン残債があったらそもそも賃貸に出せないのか・・・」と思われるかも知れませんが、事情によっては許可をしてくれる金融機関もたくさんあります。
とくに「海外転勤」「遠隔地への転勤」などは賃貸が許可される典型的なケースです。

また、転勤以外でも仕方のない事情であれば、賃貸を許可してくれる金融機関は少なくありません。
金融機関によっては細かいルールがあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

4. 賃貸?売却?まだ迷ってるならお金で比較してみよう

この記事を読むまでは、
「なんとなく売るのがモッタイナイ・・・。」
「もしかしたら戻って来るかもしれない・・・。」
「簡単に家賃収入が手に入るなら貸し出してみようかな・・・。」
こんな風に考えていたかも知れませんね。

しかし、上記したデメリットを読んで「戻ってくる時期が確定している」場合以外は、基本的には売却した方が良いと分って頂けたのではないでしょうか?
特に、「実家に戻る」「新居を購入する」「おそらく戻ってこない」など、将来住む予定のないマンションは手放して身軽になる方が賢明でしょう。

それでも、まだ賃貸か売却かを悩んでいる人もいるでしょう。
悩んでいる理由はそれぞれですから、この記事で取り上げた以外の理由をお持ちなのかも知れません。

そのような場合は、金銭的に「賃貸」と「売却」のどちらが得なのか、具体的な数値を試算して考えてみてましょう。
そこで参考にしたい数値が、「マンションPER」と「利回り」です。

4-1. マンションPERとは?

「マンションPER」とは、どのくらいの期間貸し出せばマンションの購入価格が回収可能なのかを表わした数値です。
つまり「何年貸し出せば元が取れるの?」という意味ですね。

・マンションPER計算式
マンションPER = マンション購入価格 ÷ (月額賃料 × 12ヶ月)

上記の算式で計算します。

この数値が低いほど「早く元が取れる」ということになります。
例えば、新築購入時5000万円のマンションを20万円で貸し出せば、マンションPERは約20です。
賃貸に出せば20年で元が取れる計算になります。

一般的にPER20あれば賃貸に出しても良いラインです。
逆に、PERが30を超えてしまったら投資対象とは考えにくくなります。

4-2. 表面利回りと実質利回り

次にマンションの「利回り」を考えてみましょう。
不動産投資でよく耳にする言葉ですが、利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があります。

購入価格に対して、1年間でどのくらいの収益が出るか?という数値です。

・表面利回り計算式
年間家賃収入 ÷ マンション購入価格 × 100

<計算例>
5000万円で購入して20万円で賃貸していると仮定します。

(20万円×12ヶ月)÷5000万円×100=4、8
表面利回りは4、8%となります。

しかし、、、

マンションを賃貸に出す場合には、単純に「家賃収入」がそのまま「利益」になるわけではありませんよね?
そこで、マンションを賃貸していくには運営には様々な「経費」が掛かります。
・マンション管理費
・マンション修繕費
・都市計画税
・固定資産税
・火災保険
・不動産会社への管理委託費
などがります。

これらの経費はマンション、任せる不動産管理会社によって違うので一概には言えませんが、家賃収入の20%くらいになるのが一般的です。
このマンションを賃貸するうえでの運用経費を計算に入れたのが「実質利回り」です。

実質利回り計算式
(年間家賃収入 - 運用経費) ÷ マンション購入価格 × 100

<計算例>
例によって5000万円で購入したマンションを20万円で賃貸しており、運用経費は2割で計算します。

[(20万円×12ヶ月)-(240×0、2)]÷5000万円×100=
[240-48]÷5000×100=
192÷5000×100=3,84
実質利回りは3、84%となります。

ちなみに投資対象と考えるなら実質利回りは10%、最低でも7%は欲しいとことです。

4-3. PERや利回りがいくら以上なら売却よりお得なの?

「マンションPER」であれば20以上、「表面利回り」であれば7%以上といったザックリとした数字を出しました。
しかし、この数字はあくまでビジネスとして不動産投資をする場合の基準です。

「転勤だけど戻ってくる時期はわからない・・・でも手放したくない!とりあえず残しておきたい!」などの理由であれば、赤字にさえならければ問題ないという方も多いかも知れません。
そのような場合の1つの基準として、下記の計算式を使いましょう。

年間家賃収入 - (運用経費 + 年間ローン返済額)

運営経費は先ほど書いた通り家賃の20%、ローンはご自身でチェックして貰えば赤字になるかどうかは分ります。
(仮に5000万円のマンションを月々15万円のローンで購入しているとします。)

・計算例
年間家賃収入 240万円(月額家賃20万円×12ヶ月)
運用経費 48万円(20万円×12ヶ月×0.2)
年間ローン返済額 180万円(15×12ヶ月)

240万円-(48万円+180万円)
240万円-228万円=+12万円

つまりこのマンションだと毎月1万円の黒字になります。

ただ、これは常に満室の想定です。
1ヶ月でも空室があればもう赤字に転落していましいます。

あなたがマンションから離れてすぐに入居者が見つかるのでしょうか?
入居者をすぐ見つけるためには、周辺エリアの賃貸需要を正確に把握しておく必要があります。

・人気エリアなのか?
・需要の高いマンションタイプなのか?
・ライバルになりそうなマンションがすでに余ってないか?

これらを加味して家賃設定をしなければ、入居者はなかなか見つからないでしょう。

さらに、入居者がすぐ見つかってもその人がずっと住み続けてくれるわけではありません。

基本的には「マンションに戻ってくる時期が確定している」場合でなければ売却した方が良いと繰り返し書いていますが、それ以外でどうしても賃貸に出したいのであれば十分過ぎるくらいに情報収集をして判断しましょう。

5. まとめ

マンションを売却するか?賃貸するか?という疑問を様々な角度から書いてみましたが、いかがでしたか?

「基本的には売却した方が良い!」と一貫してお伝えしてきましたが、そもそも「売ったらいくらなのか?」「貸したらいくらなのか?」といった数字が分らなければ比較のしようがありません。
だいたいの数字であれば、類似物件の金額をネットなどで検索すれば分りますが、中古マンションは1つとして同じ条件のものはないため正確な数字は分りません。

そんな時に、一人で悩んでいても何も解決しません。
専門家の目線でベストな提案をしてくれるプロの不動産会社に頼ってしまいましょう。

・売却したらいくらなのか?
・賃料はいくら取れるのか?

何も難しいことはありません。
不動産会社に「売却査定」「賃料査定」を依頼して比較するだけです。

単純に売却と賃貸を比較するだけでなく
・売却した場合、ローン残債や売却時の税金を差し引いても手元にお金は残るのか?
・賃貸に出した場合、すぐに入居者は見つかりそうか?不動産会社に支払う仲介手数料や管理費はいくらか?それらのコストやローン、税金を払っても利益は残るのか?
といったことも担当者に確認しましょう。

ここまで詳細な内容を詰めていくと「この金額で売却できるなら売って身軽になろう」「思いのほか高く貸せるし、入居者も見つかりそうだから賃貸にしておこう」など判断できるようになります。

ただ、ひとつ注意点があります。
売却査定にしろ、賃貸査定にしろ、必ず複数の業者に査定を比較するようにしましょう。
1社ではその査定金額が本当に正しいか判断できないからです。

中にはあなたの足元を見てくるような不動産会社もいるかも知れません。
必ず複数社を比較して、売るにしろ、貸し出すにしろ信頼できる不動産会社と担当者を見つけましょう。

現在はネット上で一括して複数社に査定依頼できる無料のサービスもあります。
このサービスは「不動産一括査定サイト」などと呼ばれ、不動産を手放す際のスタンダードになっています。

特に、売却か賃貸か悩んでいる方には「マンションNAVI」という賃貸査定と売却査定を同時に行ってくれるサイトを使うと便利です。

貸し出すにしろ、売却するにしろ、愛着のあるマンションだと思います。
安易な気持ちで賃貸に出さず、今後のライフプランをしっかりと考えた上で総合的に決断をしてください。