マンション売却における築年数と資産価値の下落率

マンションは新築の時に資産価値が最も高く、築年数の経過とともに下落をしていくのが一般的です。

つまり、築年数は、査定価格や売却金額にダイレクトに影響します。

とはいえ、マンション価格の下落率は一定ではなく、市場の動向に左右されるのも事実です。

そこで今回は、築年数ごとの「下落率の目安」「中古マンション市場」「売却するうえでのポイント」をお話しします。

1. マンションの寿命や資産価値は法定耐用年数と関係ない

「マンションの寿命は47年で、価値もなくなるんでしょ?」

私が現役営業マンだった時に、マンション購入希望者からこんな質問をされることが何度もありましたが、完全に間違いです。

この間違いは、おそらくマンションの法定耐用年数が47年のためだと考えられます。

まず、法定耐用年数は、税務上の減価償却資産の利用可能な期間を表した数字です。

この場合、マンションの法定耐用年数は47年と税制で定められているので、マンション(減価償却資産)は47年(法定耐用年数)利用可能であるということになります。

(※ちなみに47年は、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)、鉄筋コンクリート(RC造)の場合で、重量鉄骨造であれば34年、軽量鉄骨造27年です。)

47年間利用可能と聞くと、47年でマンションの寿命が終わるような印象を受けますが、この数字はあくまで税務上の話です。

実際にマンションに住み続けられる年数、いわゆるマンション寿命とは一切関係ありません。

むしろ、マンションの寿命(物理的耐用年数)は、最新の建築技術なら100年以上とも言われています。

ですから、マンションの寿命が47年という通説は間違いです。

そして、どんなに古いマンションでも資産価値が0になることはありません。

マンションには土地の持ち分があるためです。

2. マンションの資産価値の目減りは不均等

では土地を除いた、マンション建物部分の資産価値は、100年かけて均等に目減りしていくのでしょうか?

残念ながら違います。

マンションの資産価値の目減りは、新築購入直後が一番大きくなります。

その理由が新築プレミアムです。

新築プレミアムとは?

新築マンションを販売するときのデベロッパー側の「経費+利益」は2割程度と言われています。
「営業マンの人件費」
「モデルルームの設営費」
「CM、パンフレット、チラシなどの広告費」
新築マンションの販売価格にはこれらの費用が上乗せされています。
この上乗せ費用が新築プレミアムです。

そんな新築マンションでも、誰かが住んで中古となれば、新築プレミアムは剥がれ落ちていきます。

極論、1日住んだだけで資産価値は2割目減りするということです。

もちろん極論ですから、築1、2年のマンションであればもっと高く買ってくれる購入者はいます。
しかし、主要都市の新築マンションであっても築1年で、1割程度の資産価値が目減りするはずです。

このようなことから、新築マンションの資産価値は購入してから数年で大きく目減りし、徐々に下落率は安定していきます。

3. 築年数の経過と下落率の関係

では、実際に、築年数と資産価値の目減り、下落率を数字で確認しましょう。

下記の表からある程度の築年別の価格相場観は掴めるはずです。

築年数別中古マンション坪単価(坪単価 単位/万円)

東京 大阪 愛知 3都市平均坪単価 3都市平均下落率
築1年 261.4 163.2 153.3 192.6 -10%
築5年 232.1 137.4 109.2 159.5 -26%
築10年 203.8 109.0 88.6 133.8 -38%
築15年 175.0 89.6 72.8 112.4 -48%
築20年 149.9 69.3 56.7 91.9 -58%
築30年 147.6 64.0 52.3 87.9 -59%
築40年 142.1 49.9 40.3 77.4 -64%

約3.3㎡=1坪

三井住友トラスト不動産の不動産マーケット情報の記事によると、
新築分譲マンションの場合、1年目から20年目までは急激に資産価値が下落しているものの、20年目からは緩やかなペースで低下を始めるので、築20年と築40年を比較すると査定額にほとんど差がないことが明らかにされています。

しかし、このデータは同じマンションを40年間追って下落率を計算したものではありません。

データ作成時に流通していた、それぞれの築年数のマンションの坪単価を平均化したものです。

つまりAというマンションが新築時と比較してどのくらい資産価値が下落したかを表しているものではありません。

また、マンション市場全体の相場が低いタイミングに新築で購入し、相場が高いタイミングで売却すれば、一般的な下落率より高く売れます。

逆もまた然りです。

結局のところ、購入したタイミング、売るタイミング、エリア、マンション市場の動向によって下落率は大きく変わるので、一概に〇〇年で〇〇%下落ということは言えません。

実際に不動産会社に査定して貰うしかないのです。

ですから、上記資料はある程度の目安として捉えるようにしてください。

4. 築年数別の中古マンション市場と売却術

ここまで、築年数別の価格相場と下落率をみてきました。

次は、それぞれの築年数で「中古マンション市場はどうなっているのか?」「どんな売却方法がベストなのか?」について解説していきます。

4-1. 築年数5年以内のマンション

通常、数年でマンションを売るつもりで購入する人は少ないです。

しかし、転勤や家族構成の変化等の止むを得ない理由で築浅のマンションを売却するケースもあります。

そんな築浅マンションを売却する場合の最大のメリットは売却額です。

立地が良かったり、標準設備が充実しているマンションは、新築時の販売価格とほとんど変わらずに売却できるケースもあります。

そもそも、この築年数で売り出されているマンションが少ないので、高めにの価格設定で売り出しても反響が期待出来ます。

近隣のライバル物件の売り出し状況を熟知している仲介業者を見つけましょう。

ただし、注意点もあります。

築浅の物件の場合、内覧者が多く、購入の意思が強い方も多いのですが、やはり売却価格が高額なため、ローン審査がおりずに、なかなか契約成立に至らないというケースもあります。

そんな場合はすぐに気持ちを切り替え、根気強く優良な買手を待ちましょう。

4-2. 築年数10年程度のマンション

市場で一番ライバルが多くなのが、築10年前後の中古マンションです。

そのため、築10年前後のマンション値引き競争が起き、強気な価格設定だとなかなか売れません。

条件が同じマンションであれば安い方から売れていくのは当然のこと。
ライバルが多いからこそ、積極的な販売戦略を持った仲介業者を見つけましょう。

逆に言うと、販売戦略のない仲介業者に任せるとかなり厳しい売却活動になります。

よくある「内覧希望者が少ないので値下げしましょう」「〇〇〇万円値引き交渉が入っていますが、ここを逃すと売れない」など、後手後手になるのは販売戦略のない業者の代表例です。

また、マンション購入希望者がをインターネットで検索する場合、築10年以内かどうかで物件を絞っていくことも多いため、「築10年」を過ぎると内覧希望者がガクッと減ってしまいます。

現在の築年数が8年目、9年目で、マンション売却を少しでも検討しているのであれば早めに準備だけでも始めましょう。

4-3. 築年数15年程度のマンション

まず、築15年前後の中古マンションも市場には溢れているため値下げ競争が起きやすくなります。

次に、この築年数になると、購入者側のローンの問題があります。

すでにお話ししたように、マンション(RC造)を税務上の資産と捉えた場合、法定耐用年数は47年と設定されています。
銀行は住宅ローンの担保価値を法定耐用年数で見ているので、法定耐用年数を超えての借入期間でのローンは組めません。

一般的に、住宅ローンの最長は35年なので、47-35=12となります。

つまり、築年数が12年を超えてしまうと購入者が最長ローンを組めなくなってしまいます。
(あくまで前提であり、法定耐用年数を超えた借入期間でローンを組める銀行もある。)

また、1回目の大規模修繕の時期でもあり、修繕積立金がしっかりと貯められていれば問題ありませんが、足りなければ一時金を負担しなければなりません。

これを理由に嫌がる買主もいます。

さらに、築年数が15年位になってくると、共用部分の管理状態、室内の使用状況によっては経年劣化以上に古さが目立ってしまいます。

マンションごとの修繕積立金の貯まり具合や、管理の状態が大きな差になってくるのがこのタイミングです。

マンションごとに大きく状況が変わってくるこの時期では、
「新築分譲時の価格が〇〇〇〇万円で、15年経過しているので△△△△万円くらいが相場です」
といった査定をする不動産会社はほぼ役に立たないと考えてください。

査定額の根拠を必ず聞き、そのマンションの状況を細かく査定額に反映してくれる仲介会社を見つけましょう。

4-4. 築20年程度のマンション

築年数が20年を超えてくると、売却方法にも少し工夫が必要になってくるので、普通の不動産会社に任せると厳しい戦いになる可能性もあります。

いくつか代表例を見ていきましょう。

①リフォーム・リノベーションして住みたい人にも広告を打つ
「自分でリフォーム、リノベーションして住みたい!」と思っている人にアプローチできるような不動産会社を探しましょう。
具体的には(リノべる:https://www.renoveru.jp/)などの、ひとつのサイトで、物件探し、リノベーション工事の相談・提案、ローン、まで一括で請け負ってくれるサービスもあります。
このようなサイトに積極的に広告を出してくれる仲介業者なのか事前の確認が必須です。

②同じマンションに住んでる人に売る
マンション自体は凄く気に入ってるが家族構成の変化で、同じマンション内で住み替えたい。
または、息子夫婦のためにもう一部屋欲しいといったニーズ結構あります。

こちらから提案しなくても、これらの売却方法を提案してくれる業者なら間違いありません。

築年数が20年を超えていれば、今後は大きな資産価値の下落はありません。

売却を急いでいないのであれば、じっくりと信頼できる業者を探してみましょう。

5. 築30年だと売れないのか?

築30年以上経過しているマンションの場合、なかなか売れないのではないかと心配される売主も多いようですが、そんなことはありません。

年齢を重ねてからの住み替えを検討されている方の場合、長期の住宅ローンを組めないことも多いため、

①現金で支払える
②短期のローンで済む

といった、価格の安い中古マンションを探されていることが多いからです。

また、買い手の視点では、築30年以上の物件は、1981年6月に改正された新耐震基準のガイドラインに沿ったものではないため、震度6程度の大地震への備えとしては不十分ではないか?と心配されている方も多いので、そのデメリットを売り手側がどうクリアするかです。
(逆に1981年6月以降に建てられたものであれば、基本的にはこのガイドラインが守られている物件ですので、不動産仲介会社を通じて、その点をアピールされると良いでしょう。)

では、1981年以前の物件だと、やはり耐震面で不安だから売れないのでしょうか?

1981年以前は、高度成長期でしたから、マンションを建てる時に、もともと耐久性のある資材を使用していたり、構造に工夫がなされていたり、改正後に耐震改修をおこなっているような高級物件も多いので、それをアピールできるなら問題ありません。

5-1. ただ、30年を越してくると、条件によっては厳しい

とはいえやはり築30年というのは、条件によっては厳しい売却活動になります。

この条件における重要なポイントは以下の3つです。

5-1-1. 立地の問題

マンションの建物自体の資産価値はほとんどないので、立地が「価格」「売りやすさ」に大きな影響を与えます。

周辺環境はもちろん、都心へのアクセス、駅やスーパー、コンビニに近いかどうかも重要です。
東京や大阪、もしくはそれらの通勤圏などの中古マンションであればほぼクリアできる条件と言えるでしょう。

利便性が高く人気のエリアであれば、住み替えまでのつなぎに中古の住宅購入をされる人もいるので価格交渉の余地を残しておきましょう。

5-1-2. 建て替えの問題

築30年を超えているようなマンションは建て替えを意識せざるを得ません。

しかし、このようなマンションは住んでいる人も高齢化が進んでいるため「年金」で細々と暮らしている方も多く、建て替え費用(相場は500万~1,000万程度)を捻出できません。

建て替えには5分の4以上の賛成が必要なので、実現はかなり厳しいでしょう。

しかし、容積率に余裕がある場合は、マンション建て替え時に、階数を増やし、その分を分譲し新たに購入者を募集することができます。

この場合、旧マンションからの居住者は費用負担が0になる可能性すらあります。

賢い購入者は、そこに注目し敢えて築年数が経過しているマンションを狙っている人もいます。

容積率を確認し、余裕がある場合には十分なアピールポイントになるでしょう。

容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合。

例えば1000m2の敷地に、1階100m2、2階100m2・・・10階100m2で計1000m2のマンションであれば、その容積率は100%となります。
ちなみに用途地域によって50%~1300%の範囲で制限がある。

5-1-3. 管理組合と修繕積立金の問題

立て替えの前に大規模修繕も目の前の問題として立ちはだかります。

築年数が30年も経過すれば、所有者が賃貸に出している割合が増えたり、前述した居住者の高齢化で管理組合がまとめに機能していないマンションも多く見かけます。

管理組合がまともに機能していないマンションでは修繕積立金の滞納も当然多くなります。

修繕積立金が足りなくなれば一時金として追加徴収するか、月々の修繕積立金を値上げするしかありません。

これは購入者から見れば大きなネックになります。

逆に管理組合や修繕積立金に問題がなければこちらも購入者にアピールしましょう。

6. 築年数は何年で売るとコスパがいいのか?

それでは、結局マンションは築何年で売るとコストパフォーマンスが良いのでしょうか?

コストパフォーマンスを考える上では購入者目線に立つ必要があります。

購入者が「買いやすい」タイミングが、売主側から「売りやすい」タイミングでもあるからです。

まず「築10年以内」が1つの目安になります。
中古マンション購入希望者の6割以上が築10年以内で探しているとも言われているからです。

築10年を1日でも過ぎればネット上では築11年に分類されます。

つまり、10年以内の検索結果には表示されなくなります。

そう考えると10年以内の売却を考えているのであれば、8年目・9年目で準備しても決して遅くありません。

次に「購入者のローン」から考えると「12年以内」です。

こちらは上記した「築年数15年程度のマンション」で詳細は確認してください。

そして「税金面」から考えると「25年以内」です。

住宅ローン控除(所得税からの控除)は25年を過ぎた中古マンションには適用されななるからです。

7. 築年数が経過しているならリフォームした方がいいのか?

築年数が経過しているマンションは、売り手がつくように大規模なリフォームした方が良いのでしょうか?
答えはNOです!

ペットを飼っていた、子供がいてフロアや壁に目立つ傷がある、といった場合でも、簡単なピンポイントリフォームやハウスクリーニングで対応できることがほとんど。

また、できるだけ安く購入して、自分たちで好きなようにリフォームしたいという方もたくさんいます。

このような場合は、売主が勝手にリフォームするのではなく「リフォーム・リノベーションを0から自分達でしたい!」というターゲットに広告を売って貰うようにしましょう。

※リフォームについてはコチラで詳しく解説しています。
中古マンション売却前のリフォームは効果的?それとも損? – マンション売却カレッジ

8. まとめ

築年数ごとの「下落率の相場」や「売却術」を知ることは大事ですし、実際、売りやすいタイミングも、売りにくいタイミングもあります。

しかし、結局のところ、どんな築年数のマンションでも優秀な担当者や仲介業者を見つければ満足のいく結果は手に入ります

築浅だからと安心してませんか?
古いからと諦めていませんか?

不動産会社選びを成功させ、最高の結果を手に入れてください。

9. 不動産業者に査定依頼をしたら410万円の差が出ました

目安に不動産一括査定サービスを試して我が家を査定してみたました。
その結果、最高額の会社と最低価格の会社に410万円の差が出ました。

必要な項目を記入するだけで簡単にマンションの価値がわかり、しつこい営業電話もありませんでした。

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