「同じマンション内で、似たような部屋が他にも売りに出されている・・・。」
「競合相手は、自分よりも売り出し価格が安い・・・。」
「ライバルが販売価格を値下げした・・・。」
今まさにこのような状態で、マンションが売れそうにないのであれば、かなり焦っているかも知れませんね。
そこで、今回は競合がいる場合のマンション売却戦略を余すことなくお伝えします。
すべて、私が現役の営業マンだったころ、実際に使っていた方法です。
50戸もの競合がいるマンション(間取りが同じ部屋も10戸以上)で、私が担当する売主さんの部屋を売却した直後に、他の部屋が値下げ合戦を始めた時は我ながら良くやったと思います(笑)
この記事で戦略を学び、あなたも競合相手を軽く出し抜いてください。
1. 同じマンション内に競合が多いと値下げ競争が起きる
同じマンション内で、同じ時期に、似たような条件の部屋が売り出されると値下げ競争が起きやすくなります。
例えば、あなたが売りに出そうとしているマンションを、305号室だとしましょう。
ただ、すでに2か月前から、全く同じ間取りで405号室が3500万円で売り出されています。普通、上階の方が価格は高いので、あなたは売り出し価格を3400万円に設定。
ところが、あなたが売りに出してからすぐに、405号室が3300万円に値下げ。間取りが同じ上階の部屋が3300万円まで値下げしたのに、あなたが3400万円で売りに出したままでは割高に見えてしまいます。
あなたも負けじと、3250万円に値下げ・・・。
このようにして、同じマンション内で競合する部屋が売り出されていると、値下げ競争が起こってしまうのです。
上記の具体例では、競合する部屋は1つですが、2つ、3つと増えればそれ以上に状況は悪化します。
さらに、最悪なのが、マンション内での値下げ競争が買い手にバレること。
買い手は、不動産ポータルサイトなどで最新情報を常にチェックしているので「値下げ競争が起きてること」にすぐ気付きます。
「競合してるならさらに価格は下がりそうだな、もう少し様子を見てみよう。」
こんな風に買い手に思われてしまったら、それこそ泥沼状態・・・。
では、同じマンション内で競合が起きたらどう対策すればいいのか?
具体的な戦略を解説しています。
2. マンション内で競合相手がいる場合の対策
それでは、競合がいる場合の具体的な売却戦略を状況別に解説していきます。
2-1. 不動産会社と媒介契約を結ぶ前なら
「マンションの売却は考えているけど、まだ不動産会社と媒介契約を結んでいない」
こんな状況であれば、ますネットで同じマンション内に競合になりそうな部屋が売り出されていないか確認してください。
具体的には大手不動産ポータルサイトの3つ「SUUMO(スーモ)」「athome(アットホーム)」「HOME'S(ホームズ)」のチェックは必須です。
その結果、すでに競合しそうな部屋が売りに出されていて、あなたはマンション売却をそこまで急いでいないのであれば、
競合相手がいなくなるまで、売り出しを待ちましょう。
(※媒介契約を結んでいなくても、売却期限まで半年もない、という状況であれば話は別です。すぐに信頼できる不動産会社を見つけましょう。競合相手に対する戦略はこちらを参考してください。)
というのも、すでにお話したように、同じような条件の部屋が売りに出ているところに、あなたも売り出せば、競合して値下げ競争が始まる可能性が高いからです。
競合相手が売れていなくなった後で、値下げ競争を心配することなく、高額売却を狙えばいいのです。
ただし、売り出しを待つといっても、何もしないでただ待っているということではありません。
①複数の不動産会社から査定金額を出しても貰う
②信頼できる不動産業者と営担当業マンを探す
これらの作業を終わらせておく必要があります。
せっかく時間に余裕があるのですから、売却開始に向けてしっかりと準備しておいてください。
2-1-1. ①複数の不動産会社から査定を貰う
複数の不動産会社から査定を貰うことで、あなたはマンションの相場感が分かるようになります。
複数の査定金額を貰い、相場感が身に付くことで得られる最大のメリットは、2つあります。
・相場より安く売って損をすることを防ぐ
・相場より高く売り出していつまでも売れないことと防ぐ
ただし、それでけではありません。
相場観を身に着けることで、競合相手との戦いを有利に進められることもあります。
例えば、あなたがネットで自身の居住エリアを検索してみると、すでに同じマンションに競合相手がいたとします。
競合相手を201号室(西向き、80㎡、4500万円で売り出し中)、あなたの部屋を305号室(南向き、85㎡、売り出し未定)と仮定しましょう。あなたは私の記事の内容を思い出して、
「まぁ、売却を焦っているわけでもないし、複数の不動産会社から査定を出して貰って、じっくりと信頼できる営担当業マンを見つけよう」
と考えました。そこで、不動産一括査定サイトを利用し、3社に査定を依頼。
A社3950万円、B社4000万円、C社4050万円、という査定結果をそれぞれ貰いました。この結果から、
「自分の部屋は相場が4000万円前後なのか」
「201号室は、階数も低く、西向き、さらに狭いのに、販売価格4000万円は高過ぎるのでは?」
と考えました。実際に不動産業者に相談すると、
「これなら競合相手が売れるのも待たなくても、4000万円で売り出しで、買い手に十分な割安感を与えることができます。」
と回答を貰いました。さらに、1社の担当営業マンからは、
「このマンションであれば、買い手の需要はあるので、値下げ競争が起こる前に相場通りの4000万円で売り抜けることはそんなに難しいことではありません。」
とアドバイスされたので、信用して彼に任せてみました。すると、実際にすぐに売却することができました。
ライバルがいたとしても、ただ待つのではなく、
複数の不動産会社に査定を依頼し、相場観を身に着ければ、戦略的に競合相手を出し抜くこともできます。
2-1-2. 信頼できる不動産業者と営担当業マンを探す
マンション売却が成功するかどうかは「不動産会社選び」「営担当業マン選び」に掛かっています。
逆に言えば、売主が頑張るのはそこだけです。
信頼できる不動産会社、仕事のできる営担当業マンを見つけてしまえば、あとは指示に従って動くだけだからです。
例えば、上記した競合相手を出し抜く戦略も、
・買い手からの需要
・すぐに売り抜けられる価格の上限
などを正確に導き出せる営担当業マンでなければ成り立ちません。
また、ちょっと際どい方法なので大きな声では言えませんが、本当に仕事のできる営担当業マンなら競合している部屋に探りを入れたりします。
例えば、他社に顔が知られていない事務方の社員などを仮の購入希望者として内覧させたりもできますし、方法は色々あります。
その結果、競合している部屋が予想以上に痛んでいたりすれば、強気に売り出し価格を設定するのも戦略的にはアリでしょう。
このように、選ぶ不動産会社や営担当業マン次第で、最終的な売却価格は大きく変わってくるのです。
また、しっかりと準備しておけば、競合相手が売れた瞬間にすぐ売り出すことができます。
逆に、準備せずに競合相手が売れてから不動産会社を探していたのでは、せっかくのタイミングを逃し、また新しい競合が出てくるかもしれません。
競合している部屋があるからと、ただ待つのではなく、一括査定サイトを使い、積極的に不動産会社にコンタクトを取るようにしましょう。
2-2. 不動産会社と媒介契約を結んだ後なら
不動産会社とすでに媒介契約を結んで、部屋を売り出した後で、
「競合に気付いた」
「競合が新規で現れた」
という場合の対策を解説していきます。
2-2-1. 売却を急いでいない/競合相手が値下げ
すでに売り出していて、競合相手が値下げしてきた。
ただ、売却は急いでいない。
このような状況であれば、値下げ競争に参加せずに売れていなくなるのを待ちましょう。
競合相手がどんなに値下げをしてこようとも、そこに合わせて価格を低く設定する必要はありません。
売却を急いでいないのですから、競合相手が売れた後に、楽々と高額売却を狙えばいいのです。
(売却期限に余裕があるの目安としては、6ヶ月)
また、値下げ競争に乗らないことをオススメするのは、売却期間に余裕があるからという理由だけではありません。
競合相手が値下げしなければならない特殊な事情があるかもしれないからです。
例えば、離婚などの事情を抱えた売主であれば、高く売ることより、1日でも早く売って現金化することを優先します。
そのため、相場よりかなり低い価格設定にすることは良くあります。
そんな事情を抱えた競合相手に価格を合わせていたら損をするだけ。
売却期間に余裕があるのであれば、値下げに付き合う必要はありません。
競合相手が値下げしてくるのであればいくらでも値下げして貰い、いなくなった後でゆっくりと高額売却を狙いましょう。
2-2-2. 売却を急いでいない/競合相手が値下げしない
もちろん、競合相手が全く値下げしてこないというケースも考えられます。
競合も、あなたも、相場付近で均衡を保っている状況ですね。
このようなケースでは、内覧で差をつけるしかありません。
内覧に気を使うのはマンション売却の基本中の基本ですから「いまさら?」と思われるかも知れません。
しかし、その当たり前ができていない売主がほとんどです。
競合と価格が均衡しているからこそ、基本である「内覧」を徹底しましょう。
内覧で差をつけるために大事なのは「部屋の印象」「売主の対応」の2つです。
2-2-2-1. 部屋の印象
買い手からすれば、値段が同じなら、丁寧に使われていた綺麗な部屋を買いたいのは当然です。少しでも部屋の印象が良くなるように努めましょう。
- 掃除の徹底
内覧前には徹底的に掃除してください。まず、掃除で忘れられやすいのが玄関前とベランダ。
玄関はその部屋の顔です。
特に、外廊下の場合、扉の外側や、玄関前の排水溝は想像以上に汚れています。また、荷物をベランダに置いてしまっている場合、移動、もしくは新居で使わなければ撤去しましょう。そして、一番重点的に掃除したいのが、水周りです。
最後にニオイ。
マンション購入の決定権は奥さんが握っているケースが少なくありません。
そして、多くの奥さんが重視しているのが水周り。
水周りを徹底的に掃除して、決定権を持っている奥さんにアピールできれば売却成功はグッと近付きます。住んでいる本人は気付きませんが、その家特有のニオイというのはあるもの。
掃除については下記の記事でも詳しく書いているので参考にしてください。
内覧前には窓を開けて風通しを良くしましょう。
また、芳香剤には好みがあるので、なるべく無香料の商品を使ってください。
・内覧時の掃除についてはこちら
https://fudousancollege.com/previewcleanup
・詳しい掃除方法についてはこちら
https://fudousancollege.com/housecleaning
・居住中の掃除方法についてはこちら
https://fudousancollege.com/living - 広く見せることを意識する
室内を広くみせるためには「①角にものを置かない」「②なるべく床を見せる」の2点を意識してください。 - 昼間でも照明を付ける
どんなに日当たりが良くても照明を点けましょう。
少しでも明るく見せたいというのもありますが、広く見せる視覚効果もあります。
2-2-2-2. 売主の対応
買主も人間です。値段が同じなら、好感の持てる売主から買いたいのは当然です。内覧ではお客様を接客するという意識を持ちましょう。
- 奥さんが対応する
先にも説明しましたが、購入の決定権は奥さんにあることがほとんど。
内覧も奥さんが対応するようにしましょう。そもそも家のことは奥さんが一番把握しているはずですし、女性との会話は女性に任せるのが一番。また、旦那さんまでいると内覧客は遠慮してしまいますし、小さい子供がいたら生活感が出てしまいます。
内覧中は旦那さんと子供に出かけて貰うようにしましょう。 - 積極的に営業しない
内覧客に積極的なセールスをしないようにしてください。
セールスポイントを伝えたい気持ちは分りますが、余計なことを言うと営業マンのトークが狂ってしまうこともあります。 内覧客に圧迫感を与えないためにも、「わからないことがあったら何でも聞いてくださいね」と伝え、あとは営業マンに任せましょう。 - 細かい気遣い
細かい気遣いができているかどうかで結果は変わってきます。・快適な室温を保つ・・・夏25~27℃、冬18~22℃
・スリッパは多めに用意する・・・購入者側の営業マン、や購入者の家族まで考えると4~5足は準備しておきましょう。
・近隣情報をまとめておく・・・住んでいる人にしか分らないような近所の情報をまとめてみてください。「美味しいパン屋」「綺麗な公園」「腕の良い歯医者」などは住んでいるあなたにしか分りません。私が現役の時のお客様で、近隣情報を紙にまとめて内覧客にあげていた売主さんもいましたが、主婦トークがかなり盛り上がっていました。
2-2-3. 売却を急いでいるなら一気に値下げして売り抜ける
マンションの売却を急いでいるなら、思い切って一気に値下げして売り抜けるしかありません。
上記した競合相手が売れるのを待つというのは、売却を急いでいないことが前提。
離婚、相続、転勤、買い替えなど、価格よりも早さを優先しなければいけない状況もあります。
特に売却期限が迫っているのであれば、間に合わないということは許されません。
マンションの売却を急いでいるなら、販売価格を限界まで値下げして、さっさと売り抜けましょう。
もちろん、半額にしましょう、ということではありません。
今の販売価格から1割も値下げすれば十分なインパクトになります。
結局のところ、競合相手の担当者営業マンがどんなに凄腕でも、「安さ」には勝てません。
2-2-4. 競合が多すぎるなら一気に値下げして売り抜ける
競合が多すぎる場合も、マンション販売価格を一気に値下げ、売り抜けるのが賢い選択です。
1部屋、2部屋なら戦略でどうにかなりますが、5部屋、6部屋もあったらいくら待っても競合がいなくなることはありません。
販売価格が拮抗しているなら一気に値下げして売り抜けてしまいましょう。
例えば、間取りが似たような部屋が4000万円前後で5部屋出ていたとします。
そこで、あなたは一気に3600万円まで価格を落とします。この急激な値下げに追随してくる競合は現れず、あなたはスグに売り抜けるられました。
一方で競合相手は、あなたが売り抜けたのを見て、
「やっぱり値下げすれば売れるのか、でも一気に400万円も落とすのは怖いから200万円だけ・・・。」
と考えます。
そして、競合相手の1部屋は3800万円まで値段を下げます。
これくらいの値下げ幅だと、他の部屋も追随するでしょうから1部屋、また1部屋と値下げをし、結局は多くの競合が3800万円前後になってしまいました。
そうなれば次に売り抜けるにはさらに一段階、例えば3500万円まで大きく値下げするしかありません。
結局、競合が多いマンションでは、少しずつ段階を踏んだ値下げはあまり意味がありません。
それだけ競合が多いマンションなら、さらに新規の競合も出てくる可能性も高いはず・・・。
そんな泥沼状態になれば売ろうにも売れなくなってしまいます。
もちろん、値下げ幅は仮の数字ですから、信頼できる担当営業マンと細かく打合せしてください。
競合相手が多ければ、後手にれば回るほど値下げ競争に巻き込まれてしまいます。
複数の競合が混戦してるなら、自分が先頭を切って販売価格を一気に値下げして売り抜けましょう。
3. 競合がいると値引き交渉されやすい
中古マンションの売買において値引き交渉は計算に入れておく必要があります。
そして、競合がいるとなれば、値引き交渉される確率はさらに高くなります。
特に似たような部屋が安く売り出されていれば、買い手は「同じくらいまで値下げしてくれませんか?」と交渉を入れてくるかもしれません。
その値下げ希望金額があまりに大きければ、下手に出る必要はありません。
無理な値引き交渉には「〇〇〇〇万円以下では売れません。」とハッキリ伝えましょう。
というのも、買い手は「あなたの部屋」も「競合の部屋」も内覧しているはず。
その上で、何らかの理由であなたの部屋の方が気に入って値引交渉を入れているのです。
その理由は、競合相手に、
・室内の損傷が激しい
・設備に不具合がある
といった欠陥かあったからかも知れません。
例えば、あなたが3980万円で売り出している部屋を305号室、似たような3500万円で売りに出している部屋を405号室だとします。買い手は305も405も内覧して、
「405は室内の状態が悪いな・・・。できれば305を購入したい・・・。でも305はちょっと高い・・・。
まぁ、間取りは同じだし、ダメ元で480万円の値下げ交渉をしてみよう。」
と考えました。
売主のあなたからすれば、室内の状態は分りませんから、
「同じ間取りの上階が480万円も安いのか・・・。なら3500万円まで値下げするか・・・。」
と考えて交渉に応じてしまいました。
このように相場より明らかに安く売り出している競合は何らかのドラブルや、事情を抱えているケースもあります。
あなたがそこに値段を合わせてしまうと損するだけです。
1.あなたは相場通りの価格で売り出している。
2.競合は明らかに相場より安い。
このような状況で、買い手から「競合相手に価格を合わせてください」と交渉が入っても、無理に値下げしないようにしましょう。
ただし「1円も値下げはしない」という態度だと悪い印象を持たれてしまうので、許容範囲内の値引きなら快く応じてあげてください。
具体的に交渉が入ったら「〇〇〇〇万円以下では売れません。」と答えるのも一つです。
もう少し心理的に攻めるなら、詳細な値下げ可能金額は答えずに「こちら(売主)にも資金計画があって、大きな値下げはできません。いくらなら即決できますか?」と答えてください。
これなら、大きな値下げはできないけど、値引交渉をしないわけではない、という柔軟な姿勢を見せる事ができます。
また、即決できる金額を、買い手の口から言わせることで、それより下げられないボーダーラインが引けます。
さらに、資金計画という言葉を使うことで「金銭面が苦しいのかな?」と買主の情に訴えることができ、大きな値引はしずらくなります。
もちろん、実際の価格交渉は不動産業者の仕事です。
あなたは上記のような交渉をして欲しいことを伝えることができれば問題ありません。
4. まとめ
今回は、マンション内で似たような部屋が競合している場合の売却戦略を書いてみました。
簡単にまとめると、以下のようになります。
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ前 or 売却を急いでいない
・・・マンションの売り出しを待つ。ただ待つのではなく、信頼できる業者や担当者を見つけておく。
- 不動産会社と媒介契約を結んだ後 or 売却を急いでいない or 競合相手が値下げ
・・・競合に価格を合わせる必要はなし。値下げしないで待つ。
- 不動産会社と媒介契約を結んだ後 or 売却を急いでいない or 競合相手が値下げしない
・・・内覧で差をつける。
- 売却を急いでいる
- 競合が多すぎる
・・・一気に値下げして売り抜ける。
この記事を参考にして、競合やライバルに振り回されることなく、軽々と売り抜けてください。