駅遠マンションが安く売り払われるのを防ぐ売却術

「ウチのマンションは駅から遠いから安くしか売れないかも・・・」
あなたのマンションが駅近でなければこのような不安をお持ちかも知れません。

確かに他の条件が全く同じマンションであれば、駅遠より駅近の方が売りやすいのは事実です。
しかし、駅遠マンションは必要以上に安く売り払われているケースも少なくありません。

なぜなら悪意のある不動産会社や、レベルの低い営業マンが少なくないからです。

逆に言えば、信頼できる業者や、優秀な営業マンを見つけさえすれば、
駅遠マンションであっても安く売り払われる心配はありません。

もちろん、この記事では業者の選び方や営業マンの見抜き方まで解説しますので、
完全マスターして納得の行く売却金額を手に入れてください。

駅徒歩の定義

ネット、チラシなどの「駅徒歩〇分」といった不動産広告は、公正取引委員会の「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」によって「徒歩1分=80m」で計算すると明確に決められています。

表示規約に違反した不動産業者に対しは、「不動産公正取引協議会」が警告や罰則を課します。

駅近・駅遠の定義

駅から距離が近い不動産のことを「駅近物件」、逆に遠いものを「駅遠物件」と呼んだりしますが、
具体的に何分以内が「駅近」で、何分以上が「駅遠」という明確な定義はありません。

営業マンとしてお客さまと接して来た感覚として言わせてもらえれば、
駅から5~6分くらいまでが「駅近」、10~12分くらいまでが「徒歩圏」、13分以降は「駅遠」、
くらいが妥当なラインだと思います。

明確な定義はありませんが、不動産情報サイト事業者連絡協議会という業界団体の実施した、
徒歩圏とは、駅から住まいまで何分くらいまでを指すと思いますか?」アンケートによると、10分以内が一番多く、平均は12.6分となっています。

やはり一般消費者の皆さんも、13分以降は駅から遠い-という感覚になるのでしょう。

駅遠マンションは駅近より値下がり率が大きい

  • 駅近だから高く売れる
  • 駅遠だから安くしか売れない

このような表現は正確にいうと間違いです。

そもそも駅からの距離以外の条件が全く同じマンションがあれば、
購入時の販売価格がすでに「駅近>駅遠」なので、売却時にも「駅近>駅遠」なのは当然だからです。

正しくは-駅遠マンションは駅近より値下がり率が大きい-という表現になります。

値下がり率と実際のデータを解説していきます。

駅徒歩別マンション値下がり率とは

駅徒歩〇分のマンションが、中古で売却するときに、新築時の価格からどのくらい値下がりしたかの割合を、便宜上「駅徒歩別マンション値下がり率」とします。

まず「マンション値下がり率」は、以下の式で求めることができます。

  • マンション値下がり率=(新築購入価格-売却価格)/新築購入価格

計算結果が「0」なら新築時と同じ価格で売却、0より大きければ価格が値下がり、0より小さければ価格が値上がりということになります。

具体例

新築時5000万円のマンション

  • 中古で5000万円で売却
  • (5000-5000)/5000=0
    新築時と同じ価格

  • 中古で4000万円で売却
  • (5000-4000)/5000=0.2
    新築時から20%値下がり

  • 中古で6000万円で売却
  • (5000-6000)/5000=-0.2
    新築時から20%値上がり

この「マンション値下がり率」を駅徒歩別に分類すれば、「駅徒歩別マンション値下がり率」になります。

駅徒歩別マンション値下がり率のデータ

では、実際に駅徒歩別マンション値下がり率を確認していきましょう。

不動産データ配信最大手の「東京カンテイ」さんの「駅徒歩別中古マ ン シ ョンPBR(資産性がどのくらい維持できるかの指標)」の資料を参考に解説していきます。

上記データが、「全国の10年以内に新築分譲された駅徒歩15分以内のマンション」と対象が多いため、本サイトでは地域を1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)に限定しました。

駅徒歩別マンション値下がり率のデータ

上段:駅からの徒歩時間
下段:値下がり率(※少数第二位は四捨五入)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
3.5 5.8 6 5 7.3 7.5 8 7 8.5 9 9 10 9.8 9 10.3

駅徒歩別値下がり率グラフ

一都三県の中古マンションの平均データですから、あなたの居住エリアに必ずしも当てはまるとは限りませんが、
表やグラフから、駅近マンションは中古として売却する際にも値下がり率は小さく、駅遠マンションは値下がり率が大きいことがお分かり頂けると思います。

ちなみに、それぞれの駅からの距離において、駅徒歩以外の条件に大きな誤差はありませんでした。
築年数はそもそも10年以内に絞ってありますし、広さに関しても誤差は0.9㎡です。

つまり、他の条件が全く同じマンションでも駅からの距離が変われば値下がり率にも差が出るのです。

2000年の新築当時に(A)駅徒歩4分:5000万円、(B)駅徒歩12分:4000万円のグレードが同じマンションがそれぞれあったとします。
2018年に売却することになったら(A)が-4%(200万値下がり)の4800万円、(B)が-10%(400万値下がり)の3600万円、という相場になります。
新築時は1000万円の価格差でしたが、売却時は1200万円の価格差になってしまうのです。

これが-駅遠マンションは駅近より値下がり率が大きい-ということです。

そもそもマンション購入を検討される方は利便性を重視するため、戸建と比らべ駅近に人気が集まる傾向が強くなります。
そのため、需要が多い駅近は価格を維持できますが、需要の少ない駅遠は価格を大きく下げてしまうのです。

駅遠マンションの値下がり率が必ずしも大きいとは限らない

駅遠マンションの値下がり率が大きいというのは、あくまで前提の話です。

駅遠のデメリットをカバーできる長所があれば値下げ率は小さくなるでしょうし、
駅からの距離なんか気にさせない大きな長所があれば、駅近にも負けない価格設定で売り出せる可能性もあります。

いくつか具体例を挙げてみます。

  • バス停がマンションから近い
  • 例えば、バス停まで1分、バスで駅まで7分なら、徒歩15分より良いと感じる買手は少なくありません。駅遠のデメリットをカバーしている代表例です。

  • 駅まで行かなくても日常生活に困らない
  • 駅からは遠いけど、スーパー・コンビニ・ドラッグストアなど日常生活に必要な施設は近所にあるという場合もデメリットをカバーしてくれます。

  • 子育てに良い環境/人気の学区/学校までは近い
  • マンション購入の同期として多いのが子供の入学といったケース。このような買手からすると駅前より魅力を感じることもあります。そのようなエリアは購入者からの人気も高く、駅からの距離など無視した価格設定も可能です。

  • 大きな公園が近所にある/緑が多い
  • にぎやかな駅前より、静かで落ち着いた環境を好まれる買手には大きなアピールポイントになります。

  • 管理の質が高い
  • 築年数が経過すればするほど管理の差が顕著になります。駅から遠く、築年数が経っていても管理がしっかりされているマンションは予想以上に高値の売却が可能です。

こういった長所があれば、駅遠マンションであっても値下がり率が小さくなることもあります。

「ウチのマンションは駅から遠いし、値下がり率も大きいだろう・・・」と諦めるのではなく、
長所は長所として価格設定に反映し、買手にも積極的にアピールしてください。

実際は売主が買い手に営業活動をするわけではないので、
正確には、
①あなたも気づいていない長所すらも見つけてくれて、
②長所をアピールするための売却戦略を持っている、
優秀な営業マンを見つけるということになります。

現実は駅遠マンションが安く売り払わられているケースも

駅遠マンションでも値下がり率が小さいケースもあるとお話ししました。
しかし、実際には必要以上に安く売られている駅遠マンションがたくさんあります。

駅から遠いマンションが安く売られてしまう大きな原因としては、以下の2つが考えられます。

理由①営業マンが売りやすいようにしている

前提として駅前よりも、駅遠マンションは売りにくいというのは事実です。
そこで不誠実な営業マンは「あえて相場より安い査定金額にしておこう。」と考えるのです。
売りにくマンションでも相場より安ければたいていはスグに決まるからです。

理由②営業マンがマニュアル通りの査定しかできない

新人や、自信のない営業マンが算出したマニュアル通りの査定金額は安すぎることがあります。
駅から遠いという短所はしっかりと減点されるにも関わらず、マニュアルで点数化できない周辺環境などの長所は無視されてしまうからです。
特に、住んでみないと分らない長所が多いマンションは注意してください。

駅遠マンションが要以上に安く売られるのを防ぐ方法

駅遠マンションが必要以上に安く売られてしまうのを防ぐためには、複数の不動産会社に査定依頼するだけです。

仮に悪意のある業者や、マニュアル営業マンが明らかに安い査定金額を提示していても、複数の不動産会社に結果を比較すれば簡単に違和感に気付くことができるからです。

優秀な営業マンを見抜く方法

複数の不動産会社に査定を依頼するということは、複数の営業マンと直接会うということです。
優秀な営業マンかどうか売主であるあなたが逆に査定しましょう。

優秀な営業マンを見抜くための方法はこちらで詳しく解説していますので、
今回は駅からの距離にフォーカスしてみたいと思います。

具体的には、以下の2点です。

  1. 査定金額の根拠を聞く
  2. 売却戦略を聞く

査定金額の根拠を聞く

査定金額の根拠を聞けば営業マンのだいたいの実力が分ります。

あなたの想像よりも査定金額が低ければ、「けっこう安く感じるのですがなぜですか?」と聞いてみましょう。

「スーパーやコンビニも割と近くにあるのですが、バス停までも距離があるので、駅からの15分というデメリットは埋められないと判断しました。」といったような回答であれば、長所も短所も考慮して総合的に査定できているので、高い確率で優秀な営業マンです。

「駅から遠いので。」といった短所しか見ていないだろう回答が返ってくれば平凡以下の営業マンと思ってください。
先ほど説明したマニュアル通りの営業マンです。
もしかしたら、本当は長所も考慮していたけど、説明不足でこのような回答になってしまったのかも知れませんが、説明不足な営業マンでは困るのです。
内覧客にも説明不足では売れるものも売れなくなってしまうからです。

根拠は詳しければ詳しいほどあなたのマンションを丁寧に見ているはずです。
あなたのマンションの長所も短所も正確に把握して適切な査定金額を提示してくれる営業マンを選びましょう。

売却戦略を聞く

駅から遠いことが短所なのであれば、
「ウチは駅から遠いですけど、具体的にどんな売却戦略をお考えですか?」
と聞いてみましょう。

例えば駅から遠くても環境や学区が良ければ「子育て」を長所をして前面に押し出す売却戦略は王道です。
子供に良い環境を与えたいと思わない親御さんはいないので、ネット広告にも、チラシにも子育てに適した環境であることを徹底的にアピールします。
実際の内覧中も「子供」というワードを中心に駅近と比較していきます。
「駅近は確かに便利です。しかし駅から遠くても、電動自転車やバス、どうしてもお疲れの日はタクシーなどちょっとお金を払えば解決できます。
しかし、こんなに子育てに適した環境は何億払っても買えません。」

もちろん売主であるあなたがこのような営業トークを覚える必要はありません。
このように明確な営業戦略を持った営業マンを選ぶことが大切なのです。

まとめ

悪意のある不動産屋、レベルの低い営業マンのせいで、必要以上に安く売り払われてしまっている駅遠マンションはたくさんあります。

あなたのマンションがそんな不動産屋の餌食にならないためにも、以下の防衛策を徹底してください。

  1. 複数の不動産会社に査定を依頼する
  2. 査定金額の根拠を聞く
  3. 売却戦略を聞く

いまは不動産一括査定サイトもあるので、複数の不動産会社に査定依頼するのも簡単です。

信頼できる業者、優秀な営業マンを見つけ損のないマンション売却にしてください。