レインズを学んでマンション売却の成功率を10倍にする

マンション売却を考えるようになってから「レインズ」という言葉を何度も見たり聞いたりしているのではないでしょうか?

しかし、マンション売却を考えているあなたがレインズについて何となく知っている程度では大損する可能性があります。

そこで、このページでは、

・レインズってそもそもどんなもの?
・レインズの仕組みってどうなってるの?
・レインズは誰が利用できるの?
・世の中の物件は全てレインズに登録されるの?
・両手仲介のための囲い込みでレインズに登録しない悪徳業者
・囲い込みによる売主へのデメリット
・レインズに登録されているか売主が直接確認できるように

など、を学んで頂きます。

レインズを完璧にマスターし、マンション売却で1円たりとも損をしないようにしてください。

1. レインズってそもそもどんなもの?

レインズ(REINS)とは、Real Estate Information Network Systemの頭文字を取った言葉で、日本語では不動産流通標準情報システムと訳します。

国土交通大臣から認定を受けた(公財)東日本不動産流通機構「東日本レインズ」、(公社)中部圏不動産流通機構「中部レインズ」、(公社)近畿圏不動産流通機構「近畿レインズ」、(公社)西日本不動産流通機構「西日本レインズ」の4つの不動産流通機構によって運営されています。

2. レインズの仕組みってどうなってるの?

レインズの仕組みを知るためには、レインズのできる前と後に分けて説明する必要があります。

2-1. レインズができる前の不動産業界

レインズができる前の不動産業界について具体例を出しながら説明します。
マンションを売却したい売主Aさんが、不動産会社Xに売却を依頼した場合、Aさんのマンションを紹介して貰うことができるのは不動産会社Xを訪れた購入検討者だけです。

Aさんのマンションの情報はX社止まりですから、このマンションの条件にピッタリの購入検討者がどこかにいたとしても、X社を訪れない限り目に触れる機会はありません。

X社にある情報はX社を訪れた購入検討者、Y社にある情報はY社を訪れた購入検討者、Z社にある情報はZ社を訪れたお客さんにしか紹介されません。

無数にある物件の情報は、それぞれの不動産会社にバラバラに存在していたのです。これでは売主にも購入検討者にも大きな損失です。

2-2. レインズ登場後の不動産業界

この状況を改善するため、国土交通省(旧建設省)主導で、それぞれの不動産会社がバラバラに持っている物件の情報を共通のデータベースに集約し、お互いに共有することにしました。そのデータベースこそ、レインズです。

物件の売却依頼を受けた不動産会社1社だけで販売するのではなく、レインズを通して不動産業界全体で共有し、多くの不動産会社で販売できるようにしたのです。

実際に、レインズ上で物件情報がどのように集約・共有されるのか先ほどの例を使って見てみましょう。

①売主Aさんからマンションの売却を依頼されたX社が、レインズに物件情報を登録。

②Y社、Z社など、売却の依頼を直接されていない他の不動産会社もレインズにアクセスすることでAさんのマンション情報が共有できる。

③Y社、Z社などは、Aさんのマンションを自社の購入検討者に紹介できる。

ちなみに、Y社がX社の物件を取扱う場合は電話で以下のようなやり取りが行われます。

Y社がレインズでAさんのマンション情報を見つけ、自社の購入検討者の条件に合いそうなら、A社に電話で問い合わせをします。
(この問い合わせを物件確認と呼ぶ)

X社:「お電話ありがとうございます。A社です。」

Y社:『お世話になっております、Y社と申します。物件確認よろしいでしょうか?』

X社:「はい、どうぞ。」

Y社:『〇〇マンション、□□□□万円のお部屋です。』

X社:「まだご紹介可能です」

Y社:『わかりました、ご紹介がんばります!』(不動産業界で良く使われる言いまわしで、お客さんが気に入ってくれるように頑張って営業します!といった意味)

購入検討者が「内覧してみたい!」など気に入れば、Y社はX社に再度電話して、内覧方法を確認します。

ちなみに、X社のように、売却の依頼を受けている不動産会社を「元付け業者」、Y社のように、お客さんを連れてくる側の不動産会社を「客付け業者」と呼んだりします。

もちろん、Y社が売却依頼を受けた物件は、Y社が元付け業者になりますし、X社が自社の購入検討者に他社の物件を紹介すれば客付け業者になります。

このように全国の不動産会社はお互いに、売却依頼を受けた物件情報をレインズに登録したり、逆に他社が登録した物件情報を引き出したりし合っているのです。

後程詳しく説明しますが、基本的に売却依頼を受けた不動産会社は速やかに物件情報をレインズに登録することが義務化されています。つまりレインズは全国の不動産情報が集まる大規模市場です。

3. レインズに登録することでどんなメリットが生まれるのか?

このようにレインズが不動産取引の中心となったことで、「売主」「売主から売却依頼を受けた不動産会社」「購入検討者」「購入の依頼を受けた不動産会社」のそれぞれにメリットが生まれました。

売主・・・物件情報はレインズを通して、日本全国の不動産会社に拡散され、より多くの購入検討者の目に触れるので売却が早くなる。

売却依頼を受けた不動産会社・・・自社だけでなく、他社の集客力や販売力を活かして販売することができる。

購入検討者・・・購入検討者はどの不動産会社を利用しても、レインズを通して他社の物件を含めた膨大な情報を比較・検討できる。色々な不動産会社を回る必要がない。

購入依頼を受けた不動産会社・・・自社だけでなく、他社の物件を含めた大量の物件情報を提供できる。

4. レインズは誰が利用できるの?

レインズを利用できるのは、指定流通機構に登録している不動産会社だけです。一般の人はレインズの情報を直接閲覧することはできません。

不動産会社を開業するときに「全国宅地建物取引業保証協会(通称、全宅)」か「全日本不動産協会(通称、全日)」に加入することになりますが、どちらも自動的に指定流通機構に登録されるので利用できない不動産会社はないと言えるでしょう。

5. 世の中の物件は全てレインズに登録されるの?

世の中の物件が全てレインズに登録されているのかというとそうではありません。

なので先ほども、「基本的に売却依頼を受けた不動産会社は速やかに物件情報をレインズに登録することが義務化されています。」と書きました。例外もあるということです。

レインズへの登録が義務かどうかは、売却を依頼した不動産会社とどんな種類の媒介契約を結んだかによって変わってきます。

媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3つがあります。

①専属専任媒介契約・・・5日以内にレインズへの登録義務があります。

②専任媒介契約・・・7日以内にレインズへの登録義務があります。

③一般媒介契約・・・レインズへの登録義務はなく任意です。

確かに、一般媒介ではレインズへの登録に法的義務はありませんが、積極的に登録するように規定されています。また、任意なので、売主が登録したいと思えば登録することが可能です。

すでにお分かりだと思いますがレインズは不動産取引の中心です。一般媒介契約を結ぶ場合は、必ずレインズに登録して貰いましょう。

(ちなみに、一般媒介は不動産取引の経験が豊富な人でない限り、オススメはしません。詳しくはこちらのページで)

6. 囲い込みや両手仲介のためにレインズに登録しない悪徳業者

「一般媒介契約」を除いてレインズへの登録は義務と書きましたが、「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を結んだにも関わらず、悪意を持ってレインズに登録しない不動産会社が存在します。

宅地建物取引業法に違反する行為にも関わず、レインズに登録しない不動産会社が後を絶たず問題になっています。

レインズに登録しない違反行為が行われる理由は不動産業界の報酬体系にあります。

不動産会社の利益は、不動産を売りたい売主と、不動産を買いたい買主の橋渡し(仲介)をした対価である仲介手数料(3%+6万円)がメインになります。そして、仲介手数料は売主・買主の双方から貰うことができます。

具体例を見てみましょう。

売主Aさんがマンションの売却を不動産会社Xに依頼。X社がAさんのマンションを自社の購入検討者Bさんに紹介し、成約。

この場合、X社は売主Aさんと買主Bさんの両方から仲介手数料を貰えます。

仮にAさんのマンションが3000万円だった場合、
X社は、3000×0.03+6万円=96万円をAさん・Bさんの両方から貰うことができるのでに192万円になります。

売主と買主の間には、X社の1社しか介在せず、仲介手数料を両方から貰えるので「両手仲介」と呼ばれます。

しかし、思い出して欲してください。

Aさんのマンションは、X社がレインズに登録することによって、不動産業界全体で共有され多くの不動産会社でも販売が可能になります。

つまり、他の不動産会社が買主を見つけて来ることもあります。

このような場合は、売主側の不動産会社、買主側の不動産会社の2社が介在することになります。

こちらも具体例を見てみましょう。

売主Aさんがマンションの売却を不動産会社Xに依頼。X社は速やかにレインズにAさんのマンショ情報を登録。不動産会社Yがレインズで見つけたAさんのマンションを購入検討者Cさんに紹介し、成約。

この場合、X社は売主Aさんから仲介手数料を貰いますし、Y社は買主Cさんから仲介手数料を貰います。それぞれ片方からしか仲介手数料を貰うことができません。

X社は、3000×0.03+6万円=96万円をAさんからしか貰うことができません。

売主と買主の間に2社が介在しており、それぞれ片方からしか仲介手数料を貰えないので「片手仲介」と呼びます。

売却依頼を受けたX社からすれば、買主を他社が見つけて来てしまったせいで、報酬が半分になった形です。

この報酬体系によって、

「買主を他社に見つけられたら仲介手数料が半分になってしまう!」
「なんとしても買主も自社で見つけて両方から仲介手数料を貰いたい!」
「物件情報をレインズに登録せず、自社の購入希望者にだけ紹介しよう1」

などと考える不誠実な不動産会社が現れるのです。

このように他社に情報を流さず、自社だけで情報を隠す行為は「囲い込み」と呼ばれテレビや新聞でも問題になりました。もちろん、レインズへの登録は義務ですから法律違反です。

また、売却を依頼された不動産会社がレインズに登録すると、レインズから「登録証明書」が発行され、売主に交付することも宅地建物取引業法で定められています。これを知っている方は「登録証明書」さえ貰えば安心と思っている方もいます。

しかし、中にはレインズに一旦登録し「登録証明書」を売主に発行した後、すぐに削除するといった手の込んだ手法を使う不動産会社も存在します。

また、同じ理由で、レインズへの登録はするものの、他の不動産会社から問い合わせに対して「商談中」や「契約予定」などと偽の情報を伝え、他の不動産会社に仲介させないようにする方法もあります。

これも囲い込みの手法の一つですが、特に「売り止め」と呼ばれたりします。

「売り止め」にしろ「囲い込み」にしろ、問題なのは売主の利益を無視して、両手仲介という、自社の利益だけを優先している点に問題があります。

こんな風に書くと「両手仲介」が悪いように感じるかも知れませんが、両手仲介が悪いわけではありません。あくまで「両手仲介」をするための情報の「囲い込み」が悪いのです。

売却依頼を受けた不動産会社がしっかりとレインズにも登録し他社にも情報提供を行ったうえで、自社で営業を頑張り買主を見つけ両手仲介になることも当然あるからです。

7. 囲い込みによる売主へのデメリット

“売主の利益を無視した両手仲介”と書きましたが具体的にはどんな不利益があるのでしょうか?

もし、あなたがマンションを売却する時に囲い込みをされたらどうなってしまうのでしょうか?

7-1. 囲い込みによるデメリット1:売却期間の長期化

売却を依頼した不動産会社1社での販売になるので集客力は低く、売却期間が長期間します。

レインズで広く情報を共有し、たくさんの不動産会社に販売をして貰えば、買主がすぐに見つかるような物件だとしても、囲い込みが行われることによって無駄に売却期間が長期化してしまうのです。

不動産という特性上、売主のマンションが売れなくても不動産会社に在庫コストが掛かるわけではありません。囲い込みで売却期間が長期化しても両手仲介を狙った方が得なのです。

7-2. 囲い込みによるデメリット2:相場以下で売られてしまう

1社でしか集客しないことによるデメリットは売却期間の長期化だけではありません。集客力が低くければ内覧者の数も少なくなるのは当然です。

例えば相場3000万円のあなたのマンションが囲い込みをされていたとします。囲い込みのせいで集客力が低く、1か月たっても内覧者が全く現れません。

しかし、囲い込みが行われていることを知らないあなたは「3000万円では厳しいのか・・・値下げが必要かな?」と、内覧が少ないのは値段のせいと考え始めます。

そんな時、売却を依頼した不動産会社が「予算が2700万円なら買う」という購入希望者を見つけて来ました。さすがに2700万円では厳しいとあなたは断るでしょう。

売主が断っているのですから、普通の不動産会社なら他の購入希望者を探しますが、囲い込みを行う不動産会社は、あなたに早く売り払うように強引に迫ってきます。

「3000万円で売り出してもなかなか内覧者来なかったでしょ?」
「2700万円に値下がりしたとしてもこのお客さんを逃さないほうがいいんじゃない?」
「次のお客さんは当分現れないかもしれないよ?2700万円で決断しましょう!」

不動産会社は内覧者が少なくて心配になっている売主の心理に付け込んで来るのです。

不動産会社からすれば両手仲介さえ達成できれば、どんなに値下げしても、片手仲介に比べれば儲かります。損するのは売主だけということです。

8. レインズに登録されているか売主が直接確認できるように

「囲い込み」にはこれだけのデメリットがあるにも関わらず、現実に囲い込みは横行し、多くの売主が不利益を被っていたのです。

しかし、近年、囲い込み被害がメディアで報道されたことにより、国土交通省は、囲い込みの防止策を講じるよう強くレインズ側に要請しました。

そんな背景もあり、レインズは2016年から新しい機能(ステータス管理)を導入。売却依頼主(売主)は、自身の物件情報がちゃんと登録されいるかレインズ上で直接確認できるようになりました。

レインズ上といっても、あくまで自身の物件がちゃんと登録されているか確認できるということで、不動産会社と同じような画面が見れるわけではありませんが、囲い込みに防止に大きな効果があるはずです。

8-1. 売主がレインズで掲載状況を確認する方法

レインズを運営する4つの指定流通機構は、それぞれ売主専用画面を開設しました。それぞれ以下のWEBサイトです。

公益財団法人 東日本不動産流通機構「東日本レインズ」
http://www.reins.or.jp/

公益社団法人 中部圏不動産流通機構「中部レインズ」
http://www.chubu-reins.or.jp/

公益社団法人 近畿圏不動産流通機構「近畿レインズ」
http://www.kinkireins.or.jp/

公益社団法人 西日本不動産流通機構「西日本レインズ」
http://www.nishinihon-reins.or.jp/

上記WEBサイトのログイン画面に、物件ごとに発行された「ID」と「PASS」を入力することで、自身が売却を依頼した物件の登録状況を確認することができます。

売却を依頼した不動産会社が物件情報をレインズに登録すると、レインズから「登録証明書」が発行され、不動産会社は売主に渡さなくてはいけません。

この登録証明書に、物件ごとに発行される「ID」と「PASS」が記載されています。

8-2. 売主専用画面で何が確認できるの?

売主専用画面では「物件情報」「図面」「取引状況」の3点を直接確認できます。

「物件情報」と「図面」はとくに説明する必要はないと思いますが、「取引状況」については詳しく解説します。この「取引状況」こそ「囲い込み」の防止に大きな役割を果たすからです。

取引状況は、売却依頼を受けた不動産会社が次の3種類の中から設定します。

①公開中
客付け業者に物件紹介を行っている時に設定。客付け業者は「物件の問い合わせ」「内覧の依頼」「購入申込書の提出」のすべて可能で、元付け業者は拒否できない。

②書面による購入申し込みあり
書面(メールやネット上での申し込みも含まれる)による購入申し込みを受けた時に設定。元付け業者は客付け業者への紹介を拒否できるが、売主が2番手の申込も受け付けるよう要請がれば、拒否することができない。

③売主都合で一時紹介停止中
売主の都合で、客付け業者への物件紹介を一時的に停止している時に設定。客付け業者への紹介を拒否できるが、必ず売主の了解を得たうえで設定する。

売主が自身の物件を直接確認できるようになったことで「レインズに未登録」や「レインズにいったん登録してにすぐ削除」という手法は完全に通用しなくなるでしょう。

残るは、他社からの問い合わせに「商談中」などと嘘の情報を教える「売り止め」です。

元付け業者が取引状況を「公開中」にしておいて、いざ他の不動産会社から問い合わせがあれば「商談中」などと嘘を付く可能性はまだあります。

しかし、他の不動産会社が「公開中」になっている物件に問い合わせをしたにもの関わらず、紹介を断られた場合は、レインズを運営する機構に申し立ても行えるようになりました。

機構の調査で囲い込みが認められれば、ステータス管理違反として処分されることになっています。

逆に、「書面による購入申し込みあり」「売主都合で一時紹介停止」にしておけば、他の不動産会社はそもそも元付け業者に問い合わせをしないので囲い込みができそうです。

しかし、売主がこまめに取引状況を確認すれば「申込書なんて貰ってない!」「売り出しを中止した覚えはない!」と気付くことは簡単なはずです。

ここまでの仕組みができた上で、それでも堂々と囲い込みを行う不動産会社はなかなかいなはずですが、もし、取引状況が実際と違うようなことがあれば即座に売却を依頼した不動産会社にどうなっているのか連絡しましょう。納得いく回答がなければ業者変更をしなくてはいけません。

9. まとめ

ここまで基本的なレインズの仕組みから、囲い込みまで説明してきました。

文中でも書きましたが、現状、レインズは不動産取引の中心です。そのため、レインズへの登録なしに「早期売却」「高額売却」をすることは難しいと言えるでしょう。

それだけ重要なレインズを無視し、両手仲介のために囲い込みをする悪徳不動産会社を野放しにしていいわけがありません。国土交通省やレインズの運営機構も対策を行っており、囲い込みは難しい状況になってきています。

ただ、売主は、対策が取られているからと安心せず、

・登録証明書を必ず貰う
・定期的に売主専用画面を確認する

などを徹底しましょう。

また、不動産会社と密に連絡を取り合い、積極的に売却活動に参加する姿勢を取ることで「この人は業者に丸投げだから騙しやすそう」と思わせないことも重要です。

そもそもの大前提としては、囲い込みなど1ミリも考えず、売主のために働いてくれる不動産会社に売却を依頼することがベストです。不動産会社選びは慎重に行いましょう。