例外もありますが、マンションの価格は築年数が経過するごとに下落していくのが普通です。
三大都市のマンション価格の下落率を平均すると、築1年で-10%、築10年で-38%、築20年で-58%にもなります。
※下落率に関してはこちらでも詳しく解説しています。
マンション売却における築年数と資産価値の下落率
この数字はあくまで平均であり、
条件の悪いマンションであれば、下落率はさらに大きくなります。
今回は、そんな条件が悪く、平均より価格の下落率が大きなマンションの特徴を11個紹介します。
しかし、自分のマンションがその特徴に当てはまったからといって悲観する必要はありません。
オリンピック前のこの不動産市況であれば、条件の悪いマンションでも、それなりの価格で売リ抜けることもできるからです。
むしろ、問題山済みの日本の将来を考えると、条件の悪いマンションにとって最後のチャンスかも知れません。
条件の悪いマンションは、放っておけば通常よりも大きく資産価値を下げていくのですから、このチャンスで売り抜けるのは賢い選択なのです。
少しでもマンションの売却を検討しているなら、これから紹介する11の条件に当てはまっていないか、まずは確認してみてください。
※この記事は早めに売却するべき中古マンションの特徴を解説しています。
マンションを早く売却するためのテクニックはこちらのページです。
1. 条件の悪いマンションでもオリンピック前の今なら売れる理由
条件の悪いマンションでも、オリンピック前の今ならそれなりの価格で売リ抜けることが可能な理由は2つ。
- 住宅ローンの超低金利
住宅ローンが超低金利になっていることで、マンション購入希望者の全体数が増加。 - オリンピック需要
オリンピック施設やインフラ整備などの建築ラッシュでモノも人も不足するため、建築資材や人件費が高騰。
そのため、新築マンション1棟当たりの建設コストが高騰し、新築マンションの販売価格も上昇。
マンションを買いたい人は増えているのに、新築マンションの価格が上昇しているため、予算が合わない人はどんどん中古マンションに流れます。
需要が高まり中古マンションでも価格上昇が起こるため、そこでも予算に合わない人が出て来ます。
結果的に、今までは見向きもされなかった条件の悪い中古マンションでも売りやすい状況になっているのです。
新築・中古ともに、まさに不動産バブルと言えるでしょう。
しかし、歴史が証明している通りバブルは必ず弾けます。
数年以内にマンションを売る予定があるなら、今が売り時・・・というよりギリギリのタイミングです。
オリンピック需要が終わり、新築マンションの販売価格も適正価格に戻れば、中古マンションは確実に売りにくくなります。
一度査定を行い、いくらくらいで売れるのかだけでも早めに確認しておきましょう。
2. 早く売った方が良いマンションの特徴
では、さっそく早めに売却した方が良いマンションの特徴を解説していきます。
2-1. 人口減少エリアのマンション
人口減少が進んでいるエリアのマンションは早めに売却を検討しましょう。
人口が減少すれば買い手が少なくなるわけですから、売りづらくなるのは当然です。
また、売りにくい状況下では、売れ残りも増えるので、似たような条件のマンションが同時に売り出されることになります。
条件が同じなら、売り抜けるためには販売価格を下げるしかなく、泥沼の値下げ競争になりやすいのです。
さらに人口減少が進めば、タダ同然でも売れないような状況になってしまいます。
例えば、人口が増加している東京でさえ、人口のピークは2025年という統計が出ています。
参考:東京都 政策企画部
http://www.seisakukikaku.metro.tokyo.jp/actionplan_for_2020/honbun/honbun4_1.pdf
また、東京都多摩区※9においては、2015年時点で人口は減少に転じています。
参考:東京都 報道発表
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2013/02/documents/22n2i101.pdf
実際、多摩地区の一部では、すでに今までには考えられなかったような値段でマンションが投げ売り状態になっています。
東京でさえこのような状況です。
人口減少が更に深刻化しているエリアにおいては、特にマンションの売却を早めに検討する必要があります。
2-2. 競合物件が多い地域にあるマンション
競合物件が多い地域にあるマンションも、早めの売却が必要です。
最寄り駅が同じであれば同じ地域、
「価格帯」「間取り」「築年数」が似たようマンションを競合物件、と考えてください。
似たような条件の中古マンションがいくつもあれば、安い方から売れていくのは当然です。
結果的に価格競争が起きますし、買い手からは強気な値引き交渉を受けやすくなってしまうからです。
あくまで目安ではありますが、不動産ポータルサイトで以下の条件で検索して、3件以上似たような中古マンションがヒットすれば「競合が多い」と言えるでしょう。
- 最寄り駅
- 徒歩分数
- 築年数
- 広さ、間取り
(ただし、都心に近いほど競合不動産は多く、地方ほど競合不動産は少ない傾向にあるので、3件はあくまで目安です。)
競合する中古マンションが多い地域では、中古マンションの「需要」も「相場」も高い今のうちに売り抜けてしまうことを検討しましょう。
2-3. 総世帯数が100戸を超えるような大規模マンション
エリアという観点をごく近隣まで落とし込んでみると、ライバル物件は同じマンション内にも存在します。
総戸数が100戸を超えるような大規模マンションも早めの売却を検討しましょう。
世帯数が多ければ多いほど、売り出し中のライバル物件は多くなりますし、築年数が経過すればするほど、ライバルの数は増えてしまうからです。
築5年も過ぎればチラホラ売り出し中の部屋が出てきて、築10年を過ぎたあたりから売り出しが増加、築15年も経てば常に複数の部屋が売りに出されていような状態になります。
こちらも前項と同じように、値下げ競争になりますし、買い手から強気な値下げ交渉を受けやすくなります。
大規模マンションも、中古マンションの「需要」も「相場」も高い今のうちに売り抜けることを検討してください。
2-4. 駅から徒歩10分以上の距離にあるマンション
駅から10分以上歩かなければいけないようなマンションも早めの売却がおすすめです。
そもそも駅から距離のあるマンションは不人気ですから、中古で売りに出しても売却しにくく、相場より下げて売るしかないケースも少なくありません。
それに加え、どんどん増えているお年寄りは、便利な駅チカのマンションに引っ越すため、駅遠物件の需要は減少傾向です。
駅10分以上の駅遠マンションは、この市況を上手く利用して売り抜けてしまうのが賢い選択と言えます。
2-5. 日常的な管理・清掃の状況が悪いマンション
日常的な管理や清掃状況が悪いマンションは早めに売却してしまいましょう。
たとえば、築数年が10年以下にも関わらず、共用部の汚れや傷みが目立つマンションは、管理状況が悪い、もしくは日常的な清掃の質が低いマンションです。
この管理・清掃は管理会社に一任しているケースがほとんど。
そのため、管理・清掃状況を改善するためには管理会社の変更が必要になります。
しかし、管理会社を変更するには、臨時総会を開催し、区分所有者の過半数の賛成が必要なため、簡単には行えません。
そのため、管理・清掃状況の質を突然上げることは難しく、その間にもマンションはどんどん劣化していきます。
劣化の速度が早ければ、マンション価格の下落も通常より早くなります。
著しく価値の下落が起きる前に、日常的な管理・清掃の状況が悪いマンションは売却してしまうのが賢明です。
2-6. 管理費・修繕費の高いマンション
マンションの購入は住宅ローンを組むのが一般的です。
しかし、実際にマンションに住めば、「住宅ローン」の他にも、「管理費」「修繕積立金」というランニングコストが月々発生します。
買手にとっては、家計を圧迫する毎月の支払という意味でどちらも変わりませんから、「管理費」「修繕積立金」の負担が大きい中古マンションは敬遠されがちです。
まずは、自分のマンションのランニングコストが現時点で高いかどうか、それぞれの相場をチェックしていきましょう。
2-6-1. 管理費の相場
管理費の相場はエリアごとに異なり、以下の通りです。
- 関東:212円/㎡あたり(70㎡換算14,840円)
- 関西:146円/㎡あたり(70㎡換算10,220円)
- 九州:97円/㎡あたり(70㎡換算6,790円)
2-6-2. 修繕積立金の相場
修繕積立金の相場は以下の通りです。
- 関東:95円/㎡あたり(70㎡換算6,650円)
- 関西:84円/㎡あたり(70㎡換算5,880円)
- 九州:80円/㎡あたり(70㎡換算5,600円)
参考:不動産流通推進センター 不動産業統計集
http://www.retpc.jp/wp-content/uploads/toukei/201603_5kanri.pdf
管理費・修繕積立金ともに上記金額を超えるようなら、買い手にとってマイナス要因となります。
また、新築時は買手が購入しやすように、管理費や修繕積立金を安く設定しているマンションも多くあります。
特に、修繕積立金はかなり安く設定されているケースが多く、
大規模修繕のタイミングで、値上がりしたり、一時金が発生することも珍しくありません。
実際、HOME'Sの調査では、半数以上のマンションで修繕積立金が値上がりが確認できます。
参考:LIFULL HOME'S
https://www.homes.co.jp/cont/buy_mansion/buy_mansion_00176/
実際、私が現役時代に担当した売主さんのマンションは、新築時から修繕積立金が3倍になり、一時金も100万円以上徴収されていました。
ここまでのケースは珍しいかも知れません。
しかし、ランニングコストの値上げのタイミングが迫っていて、値上げ額も高いようなら今が売り時と言えるでしょう。
まずは、修繕積立金が今後どうなるか、管理規約内にある長期修繕計画で確認しましょう。
重要事項説明書にも抜粋があります。
2-7. 駐車場が確保されていないマンション
若者のクルマ離れは進んでいますが、ファミリー層はいまだに車をお持ちの方がほとんどです。
そのため、ファミリー向けにも関わらず、駐車場が確保されいないマンションは必然的に検討者が減ってしまいます。
「このマンションは駐車場を別に借りなきゃいけないけど、他が高すぎるししょうがない・・・」
買手がこのような心理を抱きやすい今のタイミングで売り抜けることも検討してみましょう。
2-8. 日当たりが悪いマンション
共働き世帯だと「昼間は家にないから」という理由で、日当たりを気にせずにマンションを購入した方もいると思います。
しかし、共働き世帯が増えているとはいえ、まだ6割程度です。
奥さんが家にいる家庭であれば日当たりは確実に気にしますから、4割の買手からはマイナスの評価を受けてしまいます。
また、マンション内で似たような条件の部屋が売りに出ていれば、日当たりの良い部屋より価格を下げなけれ売れません。
日当たりが悪く競争力に劣るマンションをお持ちで、売却を検討しているのであれば、この市況を上手く使いましょう。
2-9. 間取りが特殊なマンション
間取りが特殊なマンションの例は以下のようなものになります。
- 家具が配置しにくい部屋の形
- 1つ1つの部屋が狭い
- 開口部が小さい
間取りは、リノベーションで変更することもできます。
しかし、大規模なリノベーションになれば、費用は数百万円単位です。
数年後、リノベーションに数百万円も掛けるて売りやすくするくらいなら、
条件の悪いマンションでも売りやすくなっている今のタイミングを利用して早めに手放す方が合理的と言えるでしょう。
2-10. 嫌悪施設が近所にあるマンション
イメージの悪い建物が近所にあるマンションは、早めの売却を検討しましょう。
以下のような施設を総称して嫌悪施設と呼びます。
- 風俗店
- 騒音、汚染、悪臭、など健康や精神・快適な生活を害する施設
- 刑務所、基地、火葬場、墓地、廃棄物処理場などイメージの悪い施設
新築や条件の良い中古が適正価格に戻れば、このような嫌悪施設が近隣にあるマンションは、売却に苦戦することは目に見えています。
また、このような施設の建設予定がある場合、近隣住民に説明会が開かれます。
住民説明会の情報をキャッチしたら、いち早くマンションの売却を検討した方が良いでしょう。
2-11. 事件や事故のあったマンション
過去に事件や事故のあったマンションの売却は困難を極めます。
事故物件と聞くと、自殺や殺人をイメージしますが、最近では複数回空き巣に入られたようなマンションでも告知する不動産会社も増えてきました。
購入者にとっては良い傾向ですが、売主はかなり厳しい売却活動が予想されます。
しかし、絶対に売れないかと言えばそんなことはありません。
「安いなら全然気にしない」という人もいるからです。
実際、現役時代に扱った事故物件は、時間こそかかりましたが、相場の3000万円が約3割引きの2000万円ほどで売却となりました。
5年ほど前の話なので、当時の相場3000万円の中古マンションは2018年現在であれば3500万円くらいで売れ売るはずです。
つまり、単純計算で2018年現在の相場なら3割引きでも2500万円ほどで売れることになります。
参考:東京カンテイ 市場調査部
https://www.kantei.ne.jp/report/c201711.pdf
事件や事故のあった中古マンションでも、今の相場ならある程度の価格で売却できる可能性は十分にあるのです。
3. まとめ
ここまで見てきたように、2018年現在、超低金利やオリンピック需要によってマンションは高い価格を維持しています。
しかし、「新築マンション」や「条件の良い中古マンション」だと、価格が高すぎて予算オーバーになってしまう人も少なくありません。
そのため、条件の悪い中古マンションでも比較的売りやすい状況になっているのです。
しかし、新築マンションが適正価格に戻れば、条件の悪いマンションはまた見向きもされなくなります。
まさにオリンピック前の今が、条件の悪いマンションを売り抜く最大のチャンスなのです。
あなたが、そのようなマンションをお持ちなのであればまずは査定からはじめてみてください。
実際に売るかどうかは査定金額を見てから判断すればいいのですから、気軽に一括査定サイト(マンションナビなど)を利用してみましょう。