税金

譲渡費用となる費用の一覧!マンション売却で利益が出そうな売主必見

マンション売却の譲渡費用の一覧

マンションを売って発生する所得は譲渡所得と呼ばれ、売却代金から「買った時に掛かった費用」と「売る時に掛かった費用」を差し引いて求めます。

求めた譲渡所得がプラスであれば利益(譲渡益)が発生しているので、税金の支払いが必要です。

この、売った時に掛かった費用こそ譲渡費用と呼ばれるものです。

今回はどんな費用が譲渡費用として税務署に認められるのか、一緒に確認していきましょう。

1. 譲渡所得の求め方

まずは、前提として譲渡所得から確認していきましょう。
以下の計算式で求めることとなります。

譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)・収入金額・・・マンション売却代金
・取得費・・・買った時に掛かった費用(例:マンション購入代金)
・譲渡費用・・・売った時に掛かった費用(例:マンション売却時の仲介手数料)

求めた譲渡所得がプラスであれば利益(譲渡益)が出ているので、税金の支払いが必要というわけです。

※譲渡所得の計算方法はコチラで詳しく解説しています。
税理士監修!マンション売却にかかる所得税と住民税の計算法と節税術 - マンション売却カレッジ

2. 譲渡費用は漏れなく申告したいが何でも計上できるわけではない

譲渡所得の計算を見て分かるように、取得費や譲渡費用が多ければ、譲渡所得は少なくなるので、税額も減ります。

マンションの売却代金はコントロールできませんから、1円でも多く譲渡費用として計上したいところです。

ただし、あくまで節税であって、脱税になってはいけません。
マンション売却に掛かった費用だからと、何でもかんでも譲渡費用として計上できるわけではないのです。

3. 譲渡費用として認められるかは所得税法基本通達をベースに判断

当然ですが、最終的に譲渡費用と認めるかどうかは、税務署が判断します。

とはいえ、税務署は都道府県や市町村だけでなく、地域ごとに無数に存在しています。税務署ごとに譲渡費用の認定が異なっては納税者は納得できません。

そこで、全国の税務署は国税庁の「所得税法基本通達」をベースに譲渡費用として認めるか?認めないかを判断しています。

所得税法基本通達の33-7.8では、譲渡費用の具体的な範囲が定められています。

参考:譲渡費用の範囲 33-7、33-8 法第33条《譲渡所得》関係 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/04/07.htm

色々書いてありますが、重要なポイントには、以下の3つです。

  • 譲渡のために直接要した費用は譲渡費用になる
  • 譲渡価額を増加させるため当該譲渡に際して支出した費用は譲渡費用になる
  • その資産の維持又は管理に要した費用は、譲渡費用に含まれない

とはいえ、一般の方がこの通達だけで譲渡費用として認められるかどうかを判断するの困難でしょう・・・。

4. 譲渡費用として認められるもの一覧

そこで、マンション売却で発生する費用を一覧にして、それぞれ譲渡費用に認められるかどうかを解説します。

まずは、国税庁の「譲渡費用となるもの」というページが多少理解しやすいのでご紹介。

参考:譲渡費用となるもの 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm

(1)土地や建物を売るために支払った仲介手数料
(2)印紙税で売主が負担したもの
(3)貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
(4)土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
(5)既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で売るために支払った違約金。これは、土地などを売る契約をした後、その土地などをより高い価額で他に売却するために既契約者との契約解除に伴い支出した違約金のことです。
(6) 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など。

このように、譲渡費用とは売るために直接かかった費用をいいます。
したがって、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用などは譲渡費用になりません。

基本的に上記に記載されているものは全て譲渡費用として認められます。
しかし、記載されてる費用とはいえ、場合によっては認められないこともありますし、聞き慣れない言葉も多いのではないでしょうか?

一つ一つ詳細を確認していきましょう。

4-1. 仲介手数料

仲介手数料は、マンション売却時に、売主(あなた)と買主の間に入ってくれた不動産会社(仲介業者)に支払う手数料のことです。

宅地建物取引業法で、仲介業者が受け取れる仲介手数料の上限は決まっています。

売買価格報酬額
200万円以下5%+消費税
200万~400万円4%+2万円+消費税
400万円以上3%+6万円

例えば、あなたが3,000万円のマンションを売却した場合、96万円+消費税が譲渡費用に含まれることになります。
・仲介手数料=3,000万円×3%+6万円=96万円(消費税別途)

※マンション売却時の仲介手数料についてはコチラで詳しく解説しています。
マンション売却における仲介手数料の疑問を全て解決-マンション売却カレッジ

4-2. 収入印紙

不動産売買契約書に貼る収入印紙代は問題なく譲渡費用に含めることが可能です。
通常、売買契約書は売主用・買主用に2通を作成し、収入印紙代もそれぞれが負担します。

収入印紙の金額は以下のようになります。

  • 500万円超~1,000万円以下・・・5,000円
  • 1,000万円超~5,000万円以下・・・10,000円
  • 5,000万円超~1億円以下・・・30,000円

マンションの売買金額が上記に当てはまらない場合は国税庁のHPをご覧ください。

参考:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm

4-3. 立退き料

賃貸に出しているマンションを売却したい売主が、借り手に立ち退いてもらうための代償として支払う立退き料は譲渡費用に含めることが出来ます。

一般的に借り手を立ち退かせることでマンションの売却価格は上がるからです。
投資目的の場合を除き、一般的には借り手が住んでいるマンションを購入しようという買主はいません。価値が0とは言いませんが、一般の買手はまず見向きもしないでしょう。
ですが、借り手を立ち退かせることで、少なくとも相場程度の価値が付くことになりますから、立退き料は売却価格を上昇させてると言えます。

ただし、譲渡費用に含めることが出来るのは賃料をもらっている住民の立ち退き費用だけです。
例えば無料で住んでいる親族への立ち退き料などは認められません。

4-4. 建物の取り壊し費用

一棟マンションを持っている場合などは、その取り壊し費用を譲渡費用に含めることが可能です。
ただし、取り壊し後に更地にして、すぐ売却した場合でなければ譲渡費用に含めることは出来ません。

例えば、買主の希望で建物を取り壊してすぐに売却した場合などは譲渡費用となります。
なぜなら、取り壊しという行為が、そのまま売却額を高めることに繋がるからです。

何年も前に取り壊してしていたものを売った場合は、譲渡費用に含めることが出来ません。

4-5. 契約解除のための違約金

契約済だった買主Aよりも、より高く購入していくれる新たな買主Bが現れた場合、
買主Aに違約金を支払い契約を解除することが可能です。

この時、買主Aに支払った違約金は譲渡費用に含めることが出来ます。

ちなみに、売主は売買契約時に買主Aから手付金をすでに受け取っていますが、
この手付金を返すだけでなく、手付金と同額の違約金を上乗せして支払う必要があります。

例えば、受け取っていた手付金が100万円で、契約解除のために違約金分100万円上乗せした計200万円を買主Bに支払ったとします。
この場合、違約金分の100万円だけを譲渡費用に含めることが可能です。

買主Aから受け取っていた手付金100万円は譲渡費用に含まれない点を注意してください。

※手付倍返しと呼ばれます。詳しくはコチラで解説しています。
マンション売却をキャンセルしたい売主へ!シチュエーション別の違約金と対処法 - マンション売却カレッジ

4-6. 名義書換料(承諾料)

借地権付きマンションは、基本的に地主の承諾がなければ第三者に売却することが出来ません。
(借地権が地上権の場合は除く)

この地主の承諾を得るための名義書換料(承諾料)は譲渡費用に含めることが可能です。
名義書き換え料の相場は、借地権価額の5~15%を支払うことが一般的。

5. 譲渡費用として認められるか判断が難しい費用一覧

国税庁の「譲渡費用となるもの」に記載されている費用は、すでに述べたとおり一部注意点はあるものの、基本的には間違いなく譲渡費用に含めることができます。
それぞれの税務署はあくまでお役所仕事。国税庁と異なる見解をすることはまずないのです。

ここからは、国税庁のHPに書かれておらず譲渡費用に含まれるか判断が難しいものを解説します。

5-1. 引っ越し代

売主が引っ越すための、家具や荷物の運搬費、ゴミの処分代金は譲渡費用に含めることが出来ません。

引っ越しはあくまで日常生活の出費で、売却と引っ越しのタイミングがたまたま被っただけという解釈になるからです。
例えば、引っ越して空き家にしておき何年か後に売却、といったケースも十分考えられます。

つまり、引っ越し代は、必ずしも売却に直接必要な費用ではないと解釈されているのです。

5-2. 抵当権抹消費用

あなたが住宅ローンを借りてマンションを購入していれば、金融機関の抵当権が不動産登記簿謄本の乙区に設定されています。

基本的には抵当権の付いたマンションなど誰も買いません。
そのため、マンション売却の際に、まだローンの残債があれば、売却代金で一括返済するのが一般的です。

このような場合、決済当日に売却代金が買主から売主の口座に振り込まれるとすぐに金融機関がローン残債を引き落とします。
すると、住宅ローン完済の証明書が金融機関から発行されるので、司法書士に渡し、抵当権を乙区から抹消して貰うのです。

この時に司法書士に支払うのが抵当権抹消費用(司法書士への報酬+印紙代)ですが、譲渡費用に含めることが出来ません。

抵当権抹消の本来の目的は、住宅ローンが完済したときに正式な不動産所有者になるための手続きであって、
マンション売却に直接関係があるわけではないと解釈されているためです。

5-3. 修繕費用

修繕費は基本的には、リフォーム・リノベーションやハウスクリーニングの費用と考えて貰って問題ありません。

国税庁のHPの最後に、“修繕費などその資産の維持や管理のためにかかった費用は譲渡費用にならない”と書かれています。
ポイントは、維持や管理のためという部分です。

売却など考えていない頃に、ちょっと古くなってきたからと行ったリフォーム費用は通常の維持管理ですから譲渡費用になりません。
住んでいる自分のための個人的支出ですから当然でしょう。
また、何年も前にいずれ売却するつもりで早めに行ったリフォームなども売却に直接関係ないので譲渡費用に含まれません。

逆に、買主からの希望でリフォームなどを行った場合、売却のための直接の費用と判断され、譲渡費用に含めることが出来ます。

5-4. 固定資産税・都市計画税

固定資産税も国税庁のHPの最後に“固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用は譲渡費用になりません。”と書かれています。

こちらも、自宅マンションでの生活を維持・管理するために個人的な支出ですから、譲渡費用に含まれないのは当然です。

5-5. 税理士・弁護士・司法書士費用

マンションを売却するに際して、税理士・弁護士・司法書士に何かを依頼することもあるでしょう。
ここでもポイントになるのは、売却に直接関係のある費用かどうか?になります。

すでに解説した通り、抵当権抹消のために司法書士に支払う費用は譲渡費用になりません。

また、税理士へ依頼する確定申告も譲渡費用になりません。
売却があろうがなかろうが、自分で毎年確定申告を行うのが原則です。サラリーマンの方は会社が代りに処理してくれているに過ぎません。
よって売却に直接関係がある費用とはいえないのです。

ただし、一般の方は少ないとは思いますが、売却価格の交渉を弁護士に任せることも稀にあります。
この際の弁護士費用は譲渡費用に含めることが可能です。

5-6. 広告費

不動産屋に売却を依頼せず、自分で買主を探すために支払った広告費は譲渡費用に含まれます。
または、不動産屋に売却を依頼してはいるものの、追加で特別の広告を自腹で行った場合も同様に譲渡費用に含めることが可能です。

ただ、自宅マンションの売却で自腹で広告費を支払うことはまずないでしょう。

ちなみに、不動産屋を通してない場合、買主を見つける、もしくは購入を決断させるための支出は全て譲渡費用になります。
例)買主に会いに行く交通費・宿泊代、買主との通信費、買主との食事代(接待交際費)

6. まだ所有マンションの正確な資産価値を知らないという場合

まだ、マイホームの正しい資産価値を知らないという方は、まずは正しい資産価値を把握しましょう。

ある程度正しい資産価値を把握しておかないと、事前にどれくらいの譲渡所得が得られるのかの仮計算ができません。
また、間違った数字で計算をおこなってしまうと、売却直前になって予定が大幅に狂ってしまう可能性があるので注意が必要です。

そのため、早い段階での資産価値の把握をおすすめします。

もし、これからマンションの資産価値を調べるという場合は、普通の一括査定サービスではなく、マンション専用の一括査定サービスを使った方が高額査定に繋がります。

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