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マンション売却における仲介手数料の疑問を全て解決

仲介手数料の仕組み

賃貸などでマンションやアパートに住んだことがある人は仲介手数料という言葉に馴染みがあるかも知れません。当然、不動産を売ったり買ったりするときにも仲介手数料は必要になります。

しかし、賃貸の仲介手数料は家賃の1か月分と計算しやすいですが、売買の仲介手数料は少し計算が複雑です。また、値引きや割引はあるのかもみなさん気になる部分かと思います。

最近では「仲介手数料無料」なんていう不動産業者もあったりしますが、その辺の真相も含め書いていきますので参考にしてください。

1. そもそも仲介手数料とは?

不動産会社にマンション売却を依頼し、販売活動を頑張って貰い、無事に成約。となったときに、仲介業務の報酬として支払うのが仲介手数料です。

そして、売買の仲介手数料は賃貸の仲介手数料と比べれは、かなり高額なものとなります。なぜなら、賃貸と違い、売買は取引金額も高額になりますし、仲介する際の手間暇も桁違いだからです。

2. 仲介手数料は成功報酬

ただ、仲介手数料は、あくまで成功報酬です。売買が成立しなければ、不動産会社は仲介手数料を請求することはできません。

また、不動産会社は不動産を契約するためにさまざまな広告費を支払いますが、そうした費用を売主が支払う必要はなく、成功報酬としての仲介手数料を支払えばそれで大丈夫です。

3. 解約になった場合の仲介手数料支払い

前述した通り、仲介手数料は成功報酬なので取引成立しなければ不動産会社はどんなに頑張っても受け取ることはできません。だからと言って、あとは決済だけという段階で売主や買主の一方的な理由で解約されて仲介手数料は1円も貰えない・・・なんてことではあまりに可哀相です。

なので法律では売買契約が成立した段階で支払い義務が生じると定められています。しかし実際には売買契約が完了していても支払わなくていいケースもあります。それぞれ確認してきましょう。

売主・買主の一方的な契約解除の場合は、不動産会社は何も悪くないので仲介手数料は支払います。 この場合、売主事由であれば手付金の倍額を買主に支払う必要もあります。買主事由であれば手付金の放棄します。(手付解約)

買主が万が一ローン審査に通らず契約解除になった場合は、買主・売主とも悪くないので仲介手数料を支払う必要はありません。(ローン特約:ローンが通らなかったときは売買契約を白紙に戻すことができる特約で盛り込むのが普通)

4. 仲介手数料の仕組み

4-1. 不動産会社が1社(両手)

売主が売却を依頼した不動産会社が直接買主も見つけてきたケース。
この場合、不動産会社は1社なので売主・買主の両者から仲介手数料を受け取れる。
業界用語で両手を呼ばれる。

4-2. 不動産会社が2社(片手)

売主が売却を依頼した不動産会社ではない、他の不動産会社が買主を見つけてきたケース。
この場合、不動産会社は2社なので、売主は売主側の不動産会社へ、買主は買主側の不動産会社へそれぞれ仲介手数料を支払う。
業界用語で片手と呼ばれる。

5. 仲介手数料に相場ってあるの?

仲介手数料は相場などがあるわけではなく、上限が法律で定められています。それを超えない範囲内で、不動産会社が自由に決めて良いことになっています。ほとんどの不動産会社は、上限に設定していますので、強いて相場と言われればほとんどの人が上限金額を払っているということになります。

6. 仲介手数料の計算方法

それでは実際の仲介手数料の「上限額」と「計算方法」を見ていきましょう。

契約金額仲介手数料の上限(消費税を含む)
200万円以下契約金額の5%+消費税(5.4%)
200万円を超え400万円以下契約金額の4%+消費税(4.32%)
400万円を超える契約金額の3%+消費税(3.24%)

※契約金額に消費税は含まないで計算するので注意※

仲介手数料の上限を表でまとめてみましたが、これを見ると、「3000万円のマンションなら3.24%を掛けて97.2万円!」と思われるかもしれませんがそうではありません。

3000万のうち「~200万に5.4%」「200超え~400万に4.32%」「400超え~3000万に3.24%」とそれぞれ分解して計算します。

計算すると、、、、

(200×0.054)+(200×0.0432)+(2600×0.324)
=10.8+8.64+84.24
=103.68万円

となります。

7. 仲介手数料の簡易計算式

上記のような計算をするのは非常に面倒なので、簡易計算式もあります。
マンション価格が400万円を超えているなら普通は簡易計算式を利用します。

  • 仲介手数料(税抜)=売買価格の3%+6万円
  • 仲介手数料(税込)=売買価格の3.24%+6.48万円
    ※([売買価格]×3%+6万円)×1.08を省略したもの

7-1-1. 3%+6万円の仕組み

「仲介手数料(税込)=売買価格の3.24%+6.48万円」という簡易計算式を使うと書きましたが、この6.48万円が何なのか説明します。「仕組みなんて気にならない、そういうもんだ」と割り切れる方は読まなくても問題ありません。

簡易計算式を分りやすく説明するために、税抜の「仲介手数料(税抜)=売買価格の3%+6万円」で説明します。

200万円以下の部分は仲介手数料が5%で、400万円を超える部分は仲介手数料が3%。
つまり、2%の差があります。
200万×0.02(2%)=4万円となります。

200万円を超え400万円以下の部分は仲介手数料が4%で、400万円を超える部分は仲介手数料が3%。
つまり、1%の差があります。
200万×0.01(1%)=2万円となります。

4万+2万=6万円

これが仲介手数料の簡易計算式の6万円の正体です。

8. 仲介手数料いつのタイミングで払うの?

仲介手数料の支払いのタイミングは、50%を売買契約締結時、残りの50%は決済・引き渡し完了時としている不動産会社が多数です。実際、行政庁も契約時50%、決済時50%を業者に指導しています。

9. 仲介手数料は値引や割引ができるの?

前述した通り仲介手数料の金額は「上限規定」です。上限と聞いて仲介手数料の割引や値引を要求する方もいらっしゃいます。確かにマンションを売却するにあたり諸費用の中で仲介手数料は一番大きな金額になりますから「割引や値引ができるなら」と考える気持ちもわかります。

ただ、結論から言うと仲介手数料の値引き交渉や割引交渉はあまりオススメしません。なせなのか?具体例を見ていきましょう。

例えば、仲介手数料が100万円のマンション(売買代金にすると3000万程度)を必死に交渉し半額の50万に割引きして貰うとします。そんなことに労力を使うくらいであれば仲介手数料を上限満額払って、不動産業者に販売活動を頑張ってもらい少しでも高く売って貰った方が売主にとってはメリットがあります。少しでも高くと言いましたが、不動産の少しは100万、200万の差になりますから50万の値引きに必死になるよりずっと得です。

不動産屋も商売ですから、サービスの対価をしっかり貰える仕事には力が入ります。購入希望のお客さんが現れた時に、条件に合うマンションが複数あれば、満額払ってくれる売主さんのマンションを優先的に紹介するのは当然ですし、広告予算の割り振りも当然変わるでしょう。

実際、私も営業マン時代、成約を取りたいマンションはアルバイトではなく、自らポスティングをしました。アルバイトなので仕方ないですが、彼らは何も考えずワンルームマンションにポスティングしたりします。ワンルームに一人で住んでる人が突然3LDKを購入するわけがありません。

値引交渉して仲介手数料を半額にしてもらっても営業マンから見て後回しの物件になっては本末転倒。業者を気持ちよく働かせて少しでも高く売って貰いましょう。

10. 仲介手数料無料!0円でできるカラクリ

仲介手数料の割引や値引はデメリットの方が大きいと話しましたが、今度は「仲介手数料無料」「仲介手数料0円」を謳っている不動産業者についてです。

仲介手数料無料や0円の不動産会社は最近少しずつ増えてきましたが、安易に選んでしまうのは危険です。なぜなら仲介手数料無料を謳う不動産会社でトラブルが続出しているからです。

仲介手数用無料の業者で良く聞くトラブルを1つ1つ見ていきましょう。

  1. 内覧は売主さん任せ(人件費の削減)
  2. 仲介手数料は0円だがよくわからない多額の費用が請求さてる(○○業務手数料など)
  3. レインズに登録しない
  4. 本当は成約していないマンションなのに、他社からの問い合わせには「成約済み」と嘘を言って断る
  5. あの手この手で売主に売買代金の値下げを要求する

①と②は分りやすと思いますが、問題は③~⑤です。
上記「仲介手数料の仕組み」でも書きましたが、仲介会社が購入希望者を直接見つければ仲介手数料は両者(売主と買主)から貰えますが、他社が見つけてきた買主であれば買主からの仲介手数料は入りません。
つまり、売主からの仲介手数料を無料にしている場合、買主は絶対に自社で見つけなければ利益が0になってしまうといことです。

レインズに載せて他社にも情報を行き渡らせると、他社が買い手を見つけてしまう可能性があるので情報をクローズして囲いむのが③です。

④も同じ理由で他社からの問い合わせは断ります。

⑤も情報を囲い込むところまでは一緒ですが、具体例を見た方が早いかと思います。
例えば、適正価格3000万円のAマンションを3000万円で売るとします。適正価格で売り出しているマンションですから、情報を他社にも広く行き渡らせれば必ず欲しい人は現れます。しかし、自社だけで情報を囲い込んでいれば条件ピッタリの購入希望者が現れる可能性は低くなります。
もちろん囲い込みをしている不動産業者も自分たちだけで条件ピッタリの購入希望者が現れるなんて思っていません。
ではどうするのか?
2500万円までしか出せないお客さんにも3000万円のAマンションを「500万円値下げ出来たらどうですか?」と言って紹介するのです。お客さんの返事は当然YES。そんなに値下げできればどうみてもお買い得なマンションです。
一方で、情報を囲い込まれているせいで内覧希望者が来ず不安になっている売主には「500万値下げしてくれれば買ってくれるお客さんがいます。いままで全く問い合わせがなかったんですから、このお客さんを逃さない方がいいです!」と丸め込むのです。問い合わせがないのは情報を囲い込んでる自分達のせいなのに・・・。

このように仲介手数料無料や仲介手数料0円は売主にとってメリットではなく大きなデメリットになってしまうのです。

11. まとめ

「仲介手数料を値引き!」
「仲介手数料が0円!」

という言葉はとても魅力的に見えます。

しかし、不動産業者はあくまでも営利目的であり、どこかで儲けを出さないといけません。
そして、マンション売却を仲介する業者は、基本的に売主から得られる仲介手数料で利益を得ます。

その利益の基本となる手数料を減額、または0円にするというのは単純な売主に対する奉仕の精神でしょうか?

もしかしたら、売主の見えないところでそのしわ寄せが生じ、あなたの不利益となっている可能性があること理解いただけたかと思います。

仲介手数料が安ければお得というわけではありません。

そのため、マンションを売却することを決めたら、必ず複数の不動産会社を比較しましょう。
そして、最終的にはその不動産会社の担当者を見て、信頼してもいいと思える担当者を選びぬくようにしましょう。

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