基礎知識

マンション売却前に知っておきたい修繕積立金と管理費について

管理費と修繕積立金

1. 修繕積立金と管理費について

修繕積立金や管理費は、毎月いつのまにか口座振替で引き落とされている方が多いと思います。
そのため、混同している方も少なくありません。

しかし、修繕積立金と管理費は似ているようで、使用用途が全く違います。

国土交通省(旧・建設省)のマンション標準管理規約でも、それぞれ使用用途は厳密に分けられています。

参考:マンション標準管理規約 第2節 費用の負担 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/common/000161664.pdf

まずは、それぞれの違いを確認してみましょう。

1-1. 修繕積立金とは?

修繕積立金とは大規模な工事のために管理組合でプールしておくお金。家計で言う所の貯金。

  • 修繕積立金の具体的な使用用途

計画修繕
地震や台風などによる修繕
改修工事
・・・etc

※計画修繕や改修工事はこちらで詳しく解説しています。
大規模修繕とは?マンション売却を検討中のあなたに読んで欲しい

1-2. 管理費とは?

管理費は掃除や定期点検などの日常的なマンション管理に使うお金。家計で言う所の生活費。

  • 管理費の具体的な使用用途

共用部分の保守・点検費用
共用部分の掃除費用
共用部分の光熱費
管理人の人件費
照明の故障など軽微な補修費用
・・・etc

2. 修繕積立金や管理費は売却後に返金されることはない

すでに支払った管理費や修繕積立金は、マンション売却後に売主へ返金されることはありません。

まず、管理費がマンション売却後に返還されないということは理解しやすいのではないでしょうか?
生活してきたなかで、管理費として支払った分は、日々の掃除などのサービスとして既に対価を享受しているからです。

一方、修繕積立金に関しては、居住中に大規模修繕などが行われていなければ、返金されないと損した気分になるかも知れません。
しかし、マンションの永続的な維持という観点から考えると、修繕積立金の返金はあり得ないのです。

例えば、築後15年で一戸当たり120万円の大規模修繕を行うマンションがあるとします。
あなたは築10年でこのマンションを売却し、今までに積み立てた修繕積立金80万円を返金して貰ったらどうなるでしょう?

将来の修繕のために積み立てられた管理組合の財産から、丸々80万円がマイナスになってしまうのです。
このような修繕積立金の返金を、マンションの売買が行われる度に行っていては、いつまでたっても大規模修繕の工事費用が貯まりません。

「マイナスになった修繕積立金は次の所有者に穴埋めさせればいいのでは?」と考えるかも知れませんね。
それでは、次の所有者は5年で120万円を積み立てる必要があり、とても負担が大きくなってしまいます。

このようなことから管理費や修繕積立金がマンション売却後に返金されることはないのです。

実際、国土交通省の「マンション標準管理規約」には、管理費や修繕積立金の返還請求はできないと明記されています。

参考:マンション標準管理規約 第60条 6項 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/common/001202416.pdf

3. 修繕積立金や管理費を滞納しているマンションを売却するとトラブルに

修繕積立金や管理費を滞納したままマンションを売却した場合、返済義務は新しい買主に引き継がれると区分所有法で定められています。

参考:区分所有法 第7条、8条 電子政府の総合窓口(総務省行政管理局)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000069

まともな不動産仲介業者であれば、滞納がないかを事前に調査します。
もし、滞納があれば仲介業者は買主に伝えなければいけませんから、売却しずらくなるのは言うまでもありません。

滞納があれば売却までに清算するか、滞納分を売却価格から値引きする等で対応しましょう。

4. 引き渡し月に関しての修繕積立金や管理費は日割り計算

引き渡し月分の修繕積立金や管理費は一旦は売主が負担し、決済時に日割り計算するのが一般的です。

例えば、決済日が10月11日であれば、以下のように日割り計算します。

  • 10月1日~10月10日 売主負担
  • 10月11日~10月30日 買主負担

修繕積立金と管理費の合計が18000円だとしたら、売主6000円、買主12000円をそれぞれ負担するとういうことになります。

5. 修繕積立金の貯蓄状態はマンション価格を左右する

管理組合に十分な修繕積立金が貯まっているかどうかはマンション価格を左右します。
大規模修繕の工事費用が不足しているマンションは、購入後に一時金を徴収されたり、大幅に修繕積立金が増額される可能性が大きく、買主から敬遠されるからです。

実際、国土交通省の調査では4割のマンションが大規模修繕の工事費用が足りないとされています。

自分のマンションの修繕積立金は健全に貯まっていってるかどうかを一度調査してみましょう。
もしも、明らかに修繕積立金が不足しえいるようであれば、問題が顕在化する前に売り抜けるという選択肢も検討しなければなりません。

※詳しい調査方法はこちらで解説しています。
マンション売却のベストタイミングは大規模修繕の前か後か?

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