遠方に住む売主が最低限の労力でマンション売却を成功させる方法と手順

現役の営業マンだったとき、売主さんの2~3割は売却予定のマンションから離れた遠方に住んでいる方でした。

もし、あなたもそのような状況におかれているのであれば、
「何度も現地に行くのは面倒だしお金も掛かる・・・」
といった悩みを抱えているかも知れませんね。

結論から言えば、現地に1回も行かずにマンション売却を完了させることも可能です。

ただし、1回もあなたが現地に足を運ばいとなると、不動産会社選びの失敗は許されません。
あなた自身は内覧に立ち会うことはできませんから、いい加減な業者や担当者だったとしても簡単には見抜けないからです。

いい加減な業者ならまだマシで、悪意のある業者なら、不当に安く売られたり、ムダに時間が掛かったりしてしまいます。
昔よりマシになったとはいえ、不動産業界にはまだまだそういった悪徳業者は少なくありません。

なので、売却を依頼する不動産会社・担当営業マンは実際に顔を合わせて慎重に選ぶ必要があります。
具体的な方法は後述しますが、1日で選び切ることも可能です。
筆者としては、どんなに遠方でもこの1日、1回だけは現地に赴くことをオススメします。

確かに、マンションから離れた遠方にお住まいならそれなりの交通費が掛かるかも知れません。
しかし、実際に顔を合わせて依頼する不動産会社を選ぶかどうかで、それとは比べ物にならないほど売却金額に差が出て来るからです。

そのため今回は、遠方の売主さんが最低限の労力でマンション売却を成功させる方法を、6つの工程に分け手順に沿って解説していきますが、不動産会社・担当営業マン選びは特に詳しく書いていきます。

もちろん、どうしても1回も現地に行けない売主さんのために、本来は行く必要のある工程でも回避する方法も解説します。

まだまだ、グレーな不動産会社も多い業界です。
遠方に住んでるからと足元を見られ、不当に安く売られたりしないためにも最後まで読んでください。

査定

ますはマンションの相場を知るために査定を依頼します。
基本的なことですが、遠方に住んでいても売却予定のマンションがあるエリアの不動産会社に査定依頼しましょう。

その方か相場観があり、正確な査定になりますし、いざ、売却を依頼することになってもそのエリアの顧客や需要に合わせた販売戦略が必要だからです。

例えば、売りたいマンションが東京都武蔵野市吉祥寺なのに、北海道に住んでいるからと、北海道の不動産屋に査定を依頼するなど論外です。
さらに東京ならどこでもいいといいわけではありません、やはり武蔵野市や吉祥寺を得意とする不動産屋に査定を依頼するのがベストです。

しかし遠方ですから、マンションのあるエリアで不動産屋を一軒一軒探すのは難しいですよね。

そんな時は無料の不動産一括査定サイトの利用が便利です。

不動産一括査定サイト

一括査定サイトは、物件情報を入力するだけで、そのマンションのあるエリアを得意とする不動産会社が複数ピックアップされ、一括で査定依頼できるサービスです。

先ほどの例を出せば、北海道にいながら自宅のパソコン、スマホから物件情報を入力するだけで、武蔵野市や吉祥寺の中古マンション売買を得意とする複数の不動産会社に査定を依頼できます。

一括査定サイトにもよりますが、最大で5社~10社程度に一括で査定を依頼することが可能です。

机上査定か訪問査定か

不動産の一括査定サイトを利用すると、「机上査定」か「訪問査定」の選択項目があります。

  • 机上査定
  • 机上査定は、不動産屋が実際にマンションを訪れることなく、エリア、築年数、平米数、マンションや周辺の売買事例から簡易的に査定金額を算出する方法です。
    査定金額も電話やメール、郵送で教えてもらえるので実際に不動産屋と会うことはありません。

  • 訪問査定
  • 訪問査定は、不動産屋が実際にマンションを訪れ、外観から室内の状態までチェックし正確な査定金額を算出する方法です。
    基本的には立ち合いが必要なので、当日は時間を空けておかなければいけません。

(※机上査定と訪問査定についてはコチラで詳しく解説しています→)

当然ですが、机上査定より訪問査定をするべきです。
訪問査定の方が正確な査定金額が分りますし、営業マンに実際に会うことで人柄や人間性も見えてくるからです。

遠方に住まわれていれば、わざわざ査定のために行ったり来たりするのは面倒でしょう。
しかし、マンション売却において一番重要なのは売却を依頼する不動産会社と担当営業マンです。

冒頭でも書きましたが、ここで手抜きをしてしまうと、いつまでも売れなかったり、不当に安い金額で売られてしまう可能性があるからです。
逆に言えば、信頼できる不動産会社、優秀な担当営業マンに任せれば相場より高額な売却も可能です。

後述しますが、売買契約や、決済・引き渡しは現地に行かなくてもできます。
なので、どんなに時間がない方でも、訪問査定の1回だけは実際に不動産屋と顔を合わせて「信頼できる業者か?」「親身になってくれる営業マンか?」をチェックしてください。

ただし、遠方に住まわれているあなたが、何社もの訪問査定に対応するのは現実的ではありません。

そこで遠方に住まわれている方は、訪問査定に来て貰う不動産会社を選ぶために、机上査定で予選を行うと効率的です。

具体的には、机上査定で5~6社程度に一括して査定依頼をします。
そこでの電話やメールの対応をチェックしたうえで、訪問査定に来てもらう不動産会社を2~3社ほどに絞り込むのです。

1社につき、1~2時間程度なので、3社程度であれば1日にまとめることができ、遠方にお住まいの方でもそこまで大きな負担にはなりません。
仮に、現在のお住まいが北海道、売却予定のマンションが東京だとしても、朝1で東京に来れば、11時~、14時~、17時~といったスへジュールで日帰りもできます。

わざわざ遠くから足を運ぶのですから、無駄なダメ業者と話してる時間はありません。
机上査定で絞り込み、訪問査定は一日にまとめてしまいましょう。

どうしても現地マンションには行けない売主さんであっても、机上査定で予選を行い、実際に訪問査定に来て貰う業者は絞っておきましょう。

2~3社に絞り込んでおけば、親族や信頼できる知人に訪問査定を立ち会って貰ったとしても、そこまで大きな負担にはならないからです。。

立ち会ってくれる親族や知人が周辺にいなければ、不動産屋に直接鍵を送って、正確な査定金額を出して貰いましょう。
会ったこともない不動産屋に鍵を預けるのは心配かもしれませんが、実際に売却活動が始まればどちらにしろ鍵は預かって貰うことになるのです。
もちろん簡易書留、もしくはレターパックで送るようにしてください。

優秀な不動産会社・営業マンの見極め方

では、不動産会社・営業マンを実際にどうやって選ぶのかを解説していきます。

まず、机上査定で予選を行い、訪問査定に来てもらう業者を決めますが、電話やメールでの対応だけでも十分に2~3社まで絞ることはできます。

ポイントは査定金額はそこまで気にしないことです。
机上査定はあくまで簡易的なものですから、結局は正確な金額でないからです。

それよりも、信頼できる不動産会社か?親身になってくれる営業マンか?を見極めましょう。
具体的には、

  1. レスポンスが遅い
  2. 最低限のビジネスマナーがない
  3. 査定金額を教えてくれない

といった不動産業者であれば、候補から外してください。

③はわかりにくかもしれませんが、簡易査定をお願いしているのにメールや電話で「実際に見ないと分りません」と繰り返す業者もいます。
とにかく会って話したいということなんでしょうが、このような営業マンはこちらの事情や不安をまずは一旦受け止め、お客さんに寄り添う、という営業の基本ができていません。

このような営業マンは購入希望者に対しても同じような態度で接するはず。
それでは売れるものも売れなくなってしまいます。躊躇せずに候補から除外しましょう。

断り方としては、一括査定で依頼して来ている時点で、営業マンは複数の不動産会社に依頼していることは承知しています。
「他の不動産会社からの回答を聞いて、お願いするようならこちらから連絡します」と言ってしまって問題ありません。

(※机上査定での業者の見極め方はこちらでも解説しています→)

机上査定で2~3社まで絞り込んだら、いよいよ訪問査定です。

まずは、訪問査定でも「信頼できそうか?」「親身になってくれるか?」以下のようなポイントをチェックしましょう。

  • 約束の時間を守れているか?
  • 身だしなみに清潔感があるか?
  • 専門用語は噛み砕いて説明してくれるか?
  • 疑問や質問には丁寧に答えてくれるか?

そして、訪問査定では正確な査定金額が出ますから、もちろん金額の比較は大切ですが、
それ以上に重要なのは、査定金額の根拠を聞くことです。

査定金額にばかり目が行ってしまうと、大した根拠もなく売主から好感を得たいがために高額査定を出した不動産業者を選んでしまう可能性が高くなるからです。

例)

実際に訪問査定して貰った結果、A社5200万円、B社5000万円、という金額。

A社・・・とにかく頑張ります!と気合十分。
B社・・・数年分の周辺の売却事例など豊富な資料でさて金額を説明。

B社の方が理論的だと感じたが、やはり金額の高さに負けてA社に売却を依頼。
しかし、結局その金額では購入希望者がいつまでも現れず、値下げを繰り返し、結局5000万円で成約

査定金額だけに釣られてしまえばこんなことは十分にあります。
それなら最初からB社にしていれば、値下げを繰り返したムダな時間も掛からなかったはずです。

このようなことを防ぐためにも査定金額の根拠を聞き、冷静に比較・検討することが大切です。

(※査定金額の根拠から業者を見極める方法はこちらでも解説しています→)

媒介契約

売却を依頼したいと思える1社が見つかったらいよいよ、その不動産会社と媒介契約を結びます。

簡単に言えば、
あなたは不動産会社に「私のマンションを買いたい人を見つける仕事を依頼します。成約したら仲介手数料を払います。」と約束し
不動産会社はあなたに「あなたのマンションを買いたい人を見つけます。成約したら仲介手数料を受け取ります。」と約束する
売主と不動産会社の契約です。

媒介契約には3種類(専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約)あります。

遠方にお住いの売主さんであれば、専任媒介契約の方が有利です。
専任媒介契約には、不動産会社が売主に売却の活動状況の報告義務がありますが、一般媒介契約にはないからです。

遠方であれば、室内の内覧などに立ち会うことがありませんから、売却活動が上手く行っているのか全くわかりません。
加えて報告も貰えないとなれば、現状、何人が問い合わせしてきて、何人が内覧して、内見者の温度感はどの程度か検討も付きません。

一方で専属専任媒介なら7日に一回、専任媒介なら14に一回は確実に売却活動報告があります。
それを見て、値下げするのか、もう少しこの金額でいくのか?など今後の売却戦略も取れるのです。

また、媒介契約は郵送契約が可能なので、遠方にお住まいでも現地まで行く必要はありません。

売却活動

売却を依頼する不動産会社との媒介契約が完了すれば、いよいよ売却活動の開始です。
ネットやチラシを見て、実際に購入希望者が室内の内覧をするわけです。

あなたが遠方に住んでいる場合、毎回の内覧に付き添うことはできませんから、不動産屋に鍵を預けて案内は全て営業マンに任せるとになります。

まれに室内に荷物が残っていると、勝手に内覧されるのを嫌がる売主さんもいます。
しかし、高額なマンションを図面と外観だけで購入してくれる人などいません。
営業マンが立ち会うのですから、基本的には紛失や盗難にあうことはありませんが、どうしても心配なら売却活動が始まる前に、片付けてしまいましょう。
部屋が荷物がなければ広く見えますし一石二鳥です。

注意するポイントとしては、専属専任媒介の7日に1回、専任媒介の14日に1回の報告義務だけは徹底するように営業マンに伝えておくことです。

内覧のたびに売主さんと顔を合わせていれば、営業マンはそのたびに気を引き締めなおすことができます。
しかし、売主が遠方だとどうしても緊張感がなくなります。

営業マンの気を引き締め直す意味でも報告義務は徹底させ、できればメールではなく電話で行って貰うようにしてください。

売買契約

不動産の売買契約は売主・不動産会社・買主の三者が立ち合い、署名捺印するのが基本です。

買主は売買契約時に手付金を支払います。
金銭のやり取りが発生するのにも関わらず、売主不在で相手方の顔が見えないと不安になる買主もいるので、本来は立ち会うのがベストです。

しかし、遠方にお住いで売買契約の立ち会いが困難な売主さんには、「①持ち回り契約」もしくは「②代理契約」という2つの代替手段があります。

①持ち回り契約

持ち回り契約とは、買主があらかじめ署名捺印した不動産売買契約書を郵送でやり取りする方法です。

この持ち回り契約を遠方の売主さんに提案する際によく聞かれたのが「契約時に宅建持ってる人に重要事項を説明する義務みたいのありませんでしったけ?」という質問です。
確かに、不動産会社の宅地建物取引士は重要事項説明書(重説)の直接対面で説明する義務を負う、と宅地建物取引業法35条で定められていますが、あくまで買主に対しての説明義務です。
ですから、あらかじめ宅建士が買主に対面で重説を行い署名捺印さえしてあれば、売主とは郵送での契約であっても法律上全く問題ありません。

説明義務がないとはいえ、あなたが実際に契約書や重説を見て不明点があれば、不動産会社の宅地建物取引士が電話で説明してくれるはずですから特に心配いらないでしょう。

②代理契約

代理契約とは、売主の親族や知人などが代理人として不動産売買契約書に署名捺印して貰う方法です。

売主が、正式な委任状を作成する必要だけありますが、法律上は全く問題ありません。
委任状も不動産会社に依頼すれば雛形を貰えるはずです。

ただし、代理人がどんな条件で契約をしようとも責任はすべて売主が負うことになるので本当に信頼できる人物にお願いしてください。

このようなリスクを考えると、買主が持ち回り契約に同意してくれるようなら代理契約を無理に選ぶ必要はないでしょう。

決済・引き渡し

不動産売買契約が終わり、買主の住宅ローン審査が正式に承認されればいよいよ最後に決済・引き渡しです。
買主が手付金を除いた残代金を支払し、司法書士が確認、最後に所有権を移転して完了となります。

決済・引き渡しも基本的には売主は立ち合いが必要となります。
不動産詐欺などの犯罪を防ぐため、司法書士には所有権移転前に、売主に直接会って、本人確認、売却の意思確認をすることが義務付けられているからです。

ただし、売主が遠方に住んでいる場合は、司法書士に自宅まで来て貰うという代替手段もあります。

決済・引き渡し前に司法書士に自宅まで来て貰う

あなたが遠方に住んでいて、決済引渡当日に現地に行けないようであれば、事前に司法書士を自宅に呼んで本人確認を行って貰うことも可能です。
本来、売主が出向かなければいけないところを、来てもらうわけですから司法書士の交通費は売主持ちになります。

また、本来であれば決済引渡日に、署名捺印する書類もあります。
司法書士に来てもらうケースでは、訪問時に書いて渡し、持って帰って貰うことになります。

もちろん、決済・引き渡し日は代理人を立て行ってもらうこともできます。
しかし、代理人をたてたところで売主本人の司法書士確認は必要ですからあまり意味がないでしょう。

遠方に住んでいるなら買取という選択肢も

実家のマンションなどを相続した売主さんは、不動産会社に直接マンションを買ってもらう「買取」という方法を検討してみても良いかも知れません。

相続税の申告・納税までは期間が10か月しかなく、売却益で税金を支払うつもりであれば、かなりタイトなスケジュールとなるからです。
特に、相続人が複数おり、遺産分割協議が長引けば、納税期限までほとんど時間がないため、不動産業者に一から買主を探して貰う余裕はありません。

買取であれば、不動産会社と買取金額の折り合いさえ付けば、すぐにでも現金を受け取ることが可能です。
買主を探す手間や、買主とのスケジュール調整もいらないので早ければ1~2週間で現金化できます。

しかも、買取は数字が全てですから、営業マンが親切かどうかなど関係ありません。
買取金額を何社かに比較させ、一番高い不動産会社に買い取って貰う、それだけです。
わざわざ営業マンをチェックするための顔合わせをする必要もないので、遠方の方には向いていると言えるでしょう。

もちろん、買い取ったマンションに不動産屋が住むわけではなくリフォームなどを行い、業者の利益を乗せて再販することになります。

そのため、買取金額は「リフォーム代金」や「利益」を差し引いた数字になります。目安としては相場の6~7割です。

  • 相続したマンションが遠方で今後地元に帰る予定もない
  • 金額よりも売却スピードを重視する

このような売主さんであれば、買取は一つの手段としてありです。

※業者買取に関してはこちらで詳しく解説しています。

マンション売るなら仲介と業者買取どっちがお得なの?

まとめ

遠方にお住いのあなたが最低限の労力でマンション売却を成功させる方法を、6つの工程に分け手順に沿って解説してきました。

まとめると、下記のようになります。
・1回も現地に行かずにマンションを売却すること自体は可能
・ただし、マンション売却において不動産会社選びは重要なので、訪問査定の1回だけは現地で顔合わせをして信頼できる業者かを確認することは重要
・余裕があれば訪問査定に1回、決済・引き渡しで1回の合計2回だけ現地に行く

マンション売却は不動産業者選び、担当営業マン選びが大切です。
しかも、売主さんが遠方にお住まいであれば、なおさら不動産屋任せになります。

選んだ不動産屋の実力がダイレクトに売却の価格やスピードに反映されるということです。
必ず複数社を比較したうえで慎重に不動産会社を選んでください。