インタビュー 高く売るためのコツ

赤字続きの投資用ワンルームマンションを一発逆転で売り抜けた体験談

赤字のワンルームマンション

年金替わりになると諭され、投資用ワンルームマンションを購入したものの、税金や修繕を考えると結局赤字……。
空室におびえながら更新の時期を迎える……。

こんな投資家さんはたくさんいます。

今回インタビューさせて頂いた、千葉県にお住いの川名さん(仮名)も、そんな投資家の一人でした。

しかし、川名さんは赤字のワンルームマンションを上手く売り抜け、結果的に200万円もの利益を出すことに成功していました。

今、赤字続きで苦しい思いをしているワンルームオーナーさんも、Kさんの成功事例はとても参考になると思います。

今回も「マンション売却カレッジ菅原」が千葉の川名さんの元にお邪魔してきました。

1. 投資用ワンルームマンションを購入した経緯

-はじめまして、菅原です。本日はインタビューをお引き受け頂きありがとうございます。

川名さん:とんでもないです。暑い中ありがとうございます。

-では、さっそくですが、川名さんの簡単な自己紹介からお願いします。

川名さん:現在41歳で、3年前から会社を経営しています。現在の年商は2000万円ほどです。

-ということは投資用ワンルームマンションを購入された頃は、会社員をされていたんですか?

川名さん:そうですね、当時は都内で会社員をしていました。

-失礼な質問になってしまいますが、ワンルーム購入当時はどのくらいの年収があったんでしょうか?

川名さん:正確には覚えていませんが、1000万円は超えていたと思います。

-30代前半でそれは凄いです!それ位の高年収だとワンルーム屋さんからの営業電話が凄そうですけど、やはり購入のキッカケは営業電話ですか?

川名さん:いえ、購入のキッカケは営業じゃないんです。
20代から「金持ち父さん貧乏父さん」に影響を受けていて、いつかは不労所得を得たいと考えていました。
30代になって仕事も落ち着いてきて、そろそろ実際に行動に移そうとかなと思い始めたんです。
書店に置いてあった不動産関連の書籍を買い漁って(おそらく20冊くらい)ある程度勉強して、特に〇〇財託さんの「中古ワンルームは東京23区を買いなさい」という本に魅かれその日に電話、翌日には担当者に会いに行きました。
購入したのは33歳、今から約7年前の2011年になります。

2. 購入したワンルームマンションのスペック

-凄い行動力ですね!その感じだと購入物件も即決ですか?

川名さん:はい、用意された物件(5つくらい)を1日で回り、入居物件だったので中も見ずに利回りだけで決めました。
この時の心境は「オーナーになりたい」という気持ちが先行してしまっていたように感じます。

-どんなワンルームマンションを購入したですか?

川名さん:中野区の中古ワンルームで1450万円、最寄駅からは徒歩10分ほど、築8年で外観はキレイ、18平米ほどのバストイレ一体型の物件です。
環七から100メートルほどの位置でしたが特に騒音もなく、かといって暗がりでもない安心して暮らせる場所でした。

-最初の収支予定をザックリ教えてください。

川名さん:とりあえず予定ではこんな感じでした。
・頭金500万円
・ローン1000万円(借入金の利息は年2%、元金均等返済、20年払い)
・月の返済額5.5万円(平均返済額:元金均等返済は最初が一番高い)
・当初貸出家賃8.3万円
・修繕積立金0.5万円
・管理会社管理費0.3万円

-そうなると表面利回りは、約6.8%くらいでしょうか。
表面利回りと、ローン金利の差は5%はないと厳しいと言われているので、実際に運用し始めたら赤字になってしまいそうですね。

表面利回り
=年間収入÷物件価格×100
=8.3万円×12ヶ月÷1450万円×100
=6.8%

購入時の諸経費と税金も教えてください。

川名さん:ざっくりですが。
・仲介手数料50万円
・不動産取得税15万円(初年度のみ)
・固定資産税・都市計画税4万円(毎年)

-つまり、実質利回りは約5.6%、返済後利回りは約1.3%くらいですね。かなり厳しかったんじゃないでしょうか?

実質利回り
=(年間収入-諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100
=[(8.3万円×12ヶ月)-{(0.5万円×12ヶ月)+(0.3万円×12ヶ月)+4万円}] ÷1515万円×100
=[99.6万円-{6万円+3.6万円+4万円}] ÷1515万円×100
=[86万円] ÷1515万円×100
=約5.6%

返済後利回り
= (年間収入-諸経費-ローン返済額)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100
=[(8.3万円×12ヶ月)-{(0.5万円×12ヶ月)+(0.3万円×12ヶ月)+4万円}-(5.5万円×12ヶ月)] ÷1515万円×100
=[99.6万円-{6万円+3.6万円+4万円}-66万円] ÷1515万円×100
=[99.6万円-13.6 万円-66万円] ÷1515万円×100
=20万円÷1515万円×100
=約1.3%

川名さん:おっしゃる通りです。
当初の甘い計算では毎月2万円ほど増えていく計算(7.5万円-5.5万円)でしたが、最終的な返済後利回りは1%ちょっと・・・。
もちろん実際に運営していくと、空室や修繕などがあるので、結果として毎年赤字でした。

3. 実際の収支は毎年赤字の連続

-では、実際に運営していくなかでどのような出費があったんでしょうか?

川名さん:では順を追って。
まず、1年目は税金を払ったら結局赤字でした。

・1年目の収支
年間の家賃収入:7.5万×12か月=90万円
借入金返済:73万円
租税公課:20万円(※初年度は不動産取得税があるため高い)

ワンルーム購入1年目の収支は3万円の赤字です。
非常に上手く出来ているというか、、、ここまで計算し尽くして販売価格を決定しているんだと思います。大赤字にはならないけど黒字にもならない。
このままズルズルとマンションオーナーという肩書きを引きずっていかねばならない予感がしました。

-まぁ1年目は不動産取得税がありますもんね。続いて2年目はどうにか黒字になったんでしょうか?

川名さん:いえ。
退去、空室保証、家賃値下げと色々重なって大赤字だったのが2年目です。
2年目からは税金も安くなるからと安心していた矢先に、退去の連絡が管理会社から入りました。退去にかかるリフォーム代は確か6万円くらいだったような気がします。
また、規約を隅々まで読んでいなかったのが悪いのですが、空室保証は2か月の免責保証期間があり、その期間を経過しないと適用されませんでした。
さらに空室保証が間もなく始まろうかというタイミングで管理会社から家賃値下げ交渉があり、泣く泣く家賃を7000円下げたんです。すると、わずか1日で入居者が決まるというミラクルが発生しました・・・今思えば完全な出来レースのように感じます。
借手の入居日の関係で空室期間は2か月半ありましたので、約半月の空室保証を受けることができましたが、家賃の80%ですから雀の涙です。

・2年目の収支
年間家賃収入:71.8万円(7.5万円×6ヵ月=45万円、空室2ヶ月=0円、空室保証0.5ヶ月=3万円、6.8万円×3.5ヶ月=23.8万円)
借入金返済:70万円
租税公課:4万円
リフォーム代:6万円

ワンルーム購入2年目の収支は約8万円の赤字です。

-2年目は災難が一気に降りかかってきましたね。3年目はどうですか?

川名さん:3年目にはもう不動産投資にウンザリしていました。
「どーせまた何かあるだとうな・・・。」と諦めていたら案の定3年目はエアコンが壊れて修理費が10万円。夏の暑い日にエアコンが故障してすぐに直してほしいとの連絡が管理会社経由で来ました。
狭いワンルーム用のエアコンですから自分で買い換えた方が安いですが、特殊な工事が必要でどうしても10万円かかるの1点張り。

-ワンルームで10万円は高いですね・・・。

川名さん:もちろんそう思いましたが、すぐに直さないと入居者が可愛そうなので渋々払う羽目になりました。

・3年目の収支
収入:6.8万円×12か月=81.6万円
借入金返済:70万円
租税公課:4万円
エアコン修理:10万円

3年目は2万円強の赤字でした。

-それ以降も赤字続きでしたか?

川名さん:確か、4年目がトントンで、5年目は初めて少しだけ黒字だったはずです。

-ついに初の収益ですね。そこからは黒字続きだったんですか?

川名さん:いえ、もう売却することにしました。
5年目は黒字とはいえ、5年トータルすればマイナスです。
今後も修繕や退去はあるでしょうし、500万円の頭金と、1000万円の借入というリスクに全然見合ってないと思ったからです。

-正しい選択ですね。

川名さん:ただ、売る方向で考え始めたものの、ローン借入の契約として「5年以内に返済をするとペナルティとして2%の違約金が発生」するという意味の分からない規約がありました。
銀行としては金利収入の期間が長ければその分儲かるという図式なのでしょうが、今考えると借りる側が圧倒的不利な立ち位置にいるな感じています。
また5年以内に売却すると、その利益に対する税金が2倍になってしまうので売り抜けるなら5年間経過するまで待つ必要がありました。

-譲渡所得税は売った年の1月1日を起点に何年経過しているかで計算されるので、5年経過しても税制上手放せないオーナーさんは多いですよね。

4. 投資用ワンルームマンションの売却して一発逆転

川名さん:ただ、そうこうしているうちにやっと税金計算上も5年経過しました。
ちょうど、そんな時、ニュースで「東京の地価が騰がっている」と聞き、早速一括査定サイトに申し込んでみたんです。
当初購入価格よりも高い査定価格(1600~1700万円ほど)でしたのですぐに売ることを決めました。

-確かに、高く売れるタイミングで売っておくのは賢い選択ですよね。聞いている感じだと修繕積立金が安過ぎるので、古くなって大規模修繕のタイミングに一時金などの出費もありそうですし・・・。

川名さん:その通りです。
しかも30年後とかにボロボロのマンションが売れるかかどうかも怪しいと思いました。
売れたところで二束三文なのは目に見えていましたし。

-では、一括査定で査定を提示してきた不動産屋のうちの1社に売却は依頼したんですか?

川名さん:いえ、結局査定は簡易査定のみで、売却自体は知り合いの不動産屋に任せました。
いま思えば、2~3社だけでも話を聞いてみれば、もう少し高い価格で売却できていたかもしれないと、少しだけ後悔しています。

-査定で連絡を取っていた不動産会社はその後にしつこく営業をしてきたりはしませんでしたか?

川名さん:特にしつこくはなかったですね。「もう他社に決めてしまいました、すみません。」と一回断ればすんなりと引いてくれました。

-では、お知り合いの不動産屋さんでは、普通に仲介で売却されたんですか?

川名さん:はい、仲介です。
結局1590万円で売れました。
当時の残債は700~800万円くらいだったと思います。
頭金として500万円を差し入れていますが、1500万円ほどの振込から800+500万円を差し引いても200数十万円はプラスになりました。

-毎年の赤字を考えても200万円前後はプラスですから、まさに一発逆転ですね。高く売れた要因は何でしょうか?

川名さん:ありがたいことに終わりよければ何とかです。
高く売れた一番大きい原因はタイミングだと思います。
あとは、知り合いに適当に任せた割には仕事がとても早かったので助かりました。言われたとおりに動くだけで200万円儲かった感じです。

-マンション売却の成功は不動産屋次第ですもんね。

川名さん:そうだと思います。
ただ、私はたまたま知り合いが優秀な営業マンだったから良かったですが、普通は何社かに話を聞いて業者を選んだ方が良いとは思います。

-その通りですね。最後にいま、投資用ワンルームで赤字に苦しんでいるオーナーさん達に何かアドバイスをお願いします。

川名さん:わかりました。
税金の安くなる購入5年後からは半年に一度は一括査定などで価格を調査しておくと良いと思います。
残債やこれまでの費用を計算して満足できる金額になるのであれば売りに出すことを検討してみれば良いんじゃないでしょうか?

-価格は常に動いていますから、定期的に「自分の物件はいくらで売れるのか?」をチェックしておくということですね。いまストレスを抱えているオーナーさんにには凄く参考になったと思います。本日はありがとうございました。

川名さん:
こちらこそ、ありがとうございました。

-インタビュー, 高く売るためのコツ