共有名義のマンションで悩んでいるなら自分の持分だけ売却することも可能

マンションを共有名義にすることで購入時や取得時には多くのメリットがあります。

夫婦の共有名義にすれば、ローン審査が通りやすくなりますし、
相続であれば、物理的に分けられない不動産をとりあえず公平に分配することが可能です。

しかし、他の共有者と関係が悪化すると、共有名義のマンションは一転して大きな悩みの種となります。

共有名義不動産は一人で全体を売却することができないからです。

兄弟姉妹で意見が食い違うこともありますし、3組に1組は離婚する時代です。
「もう縁を切りたい!」
「共有名義のマンションを売りたい!」
このように思っても、他の共有者と交渉が決裂すれば「縁も切れない」「マンションも売れない」と八方塞がりの状態となってしまいます。

共有者同士が夫婦、親子、兄弟など、関係性が極めて近いため、一度トラブルが発生すると感情もぶつかり合い泥沼化することも非常に多いのです。

しかし、共有名義不動産のトラブルを解決するための知識を持っている人はほとんどいません。

この記事では、共有名義のマンションからいち早く離脱する方法を解説していきます。
もちろん、ただ共有関係から離脱するだけでなく、少しでも持分を高く売る方法も解説するので安心してストレスから解放されてください。

1. 共有名義不動産の基本的な知識

共有名義となっているマンションを購入、または取得してからだいぶ経っている人もいらっしゃるはず。
まずは、共有名義不動産の基本的な知識から解説します。

1-1. 共有とは?

共有とは、一つのモノに対して複数人で所有権を有している状態。
つまり「共同所有」しているということです。

ちなみに所有権とは、モノを自由に使えるし、自由に貸せるし、自由に売れる権利です。
民法でも以下のように規定されています。

民法第206条(所有権の内容)
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

引用元:総務省e-Gov

また、共有されているものを共有物、所有している人を共有者と呼びます。

不動産に置き換えると、複数人の共有者で登記されている共有物が共有名義不動産ということになります。

1-2. 持分とは?

また、共有名義不動産に対して、共有者一人一人が持つ所有権の割合を持分(共有持ち分)と言います。

持分の割合は、取得理由が、不動産購入であれば負担費用の割合、相続であれば基本的には法定相続分で決まります。

持分の具体例
夫婦で5000万円のマンションを購入。

夫:頭金1,000万円+住宅ローン2,000万円=計3,000万円
妻:頭金500万円+住宅ローン1,500万円=計2,000万円

夫の費用負担割合は3,000万円なので持分は3/5、妻の費用負担割合は2,000万円なので持分は2/5となります。

1-3. 共有名義不動産の登記

持分は、共有名義不動産の全部事項証明書(昔の不動産登記簿謄本)の権利部(甲区)には以下のように記載されます。

共有者
東京都〇区〇丁目〇番〇号
持分5分の3
山田太郎
共有者
東京都〇区〇丁目〇番〇号
持分5分の2
山田花子

全部事項証明書は、最寄りの法務局でも取得できますし、オンラインでも取得可能です。

参考:管轄のご案内(法務局)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

参考:オンライン申請のご案内(法務局)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/category_00003.html

2. 共有名義不動産の持分に応じて使用することが出来る

共有名義不動産は、共有者それぞれが持分割合の範囲で所有権を持っているのであって、特定の部分を物理的に所有しているわけではありません。
それぞれの共有者が共有名義不動産全体を使用することが可能です。

例えば、夫婦で共有しているマンションだからといって、右半分は夫の所有、左半分は妻の所有、となっているわけではありません。
夫も妻もマンション全体について権利を持ち、使用することが可能です。

民法でも以下のように規定されています。

民法249条(共有物の使用)
各共有者は共有部分の全部についてその持分に応じた使用をすることができる。

引用元:総務省e-Gov

ただし、全体に権利を持っているからといって、なんでもかんでも一人の共有者が好き放題できるわけではありません。
民法で明確に規定されています。

  1. 保存行為
  2. 共有名義不動産の現状を維持するための行為で、共有者が一人で行うことが可能です。
    保存行為の具体例としては、雨漏りの修繕などがあります。

  3. 管理行為
  4. 共有名義不動産を利用したり、改良したりする行為で、共有者の持分の過半数の同意が必要です。
    管理行為の具体例としては、賃貸に出す、軽微なリフォームを行う、などがあります。

  5. 変更行為
  6. 共有名義不動産の共有物の性質を変更、形状を変更、もしくは両方を変更する行為で、共有者全員の同意が必要です。
    変更行為の具体例としては、売却する、増改築を行う、などがあります。

3. 共有名義不動産で起こるトラブルの具体例

上記からも分かるように、1人で全体を売却することが出来ないため、共有名義不動産で一度トラブルが起きると非常に厄介です。
具体的なトラブル事例を解説していきましょう。

3-1. 相続した共有名義不動産をめぐるトラブル事例

相続した実家などを兄弟で共有している場合、「思い出を残しておきたい」「安く売りたくない」といった理屈ではない感情もあり、トラブルになるケースが多くあります。

相続によるトラブル例
父親が亡くなり、母も数年前に他界していたため、兄弟2人で群馬県の実家を持分1/2ずつ相続。
兄弟ともに東京で働いているため誰もその予定はない。
弟は空き家となっている実家を売却してお金を分けたいが、兄は空き家でもとりあえず残しておきたい、と対立。

3-2. 離婚する夫婦の共有名義不動産をめぐるトラブル事例

次に多いのが、夫婦で共同購入にした不動産をめぐる離婚時のトラブルです。

離婚によるトラブル例
共有名義のマンション(夫の持分10分の7、妻の持分10分の3)から、妻が出て行き離婚。
しかし、住んでもいないマンションの住宅ローンを支払い続けることに妻は納得がいかない。
妻は持分を買い取って欲しいと要求したが、夫はそれを拒否。

3-3. 共有名義不動産の連帯債務によるトラブル事例

共有名義不動産に課される税金などは共有者全員で負担しなければいけないのです。
これを連帯債務と呼びます。

この共有不動産の連帯債務に関わるトラブルも少なくありません。

連帯債務によるトラブル例
両親が亡くなり、実家を兄弟で持分2分の1づつ相続。
しかし、実家に住んでいるのは長男家族なのに、弟は税金を払わなければないけないことに不満だが、兄は親の面倒を見たのは自分だからそのくらい払えと対立。

4. 共有名義不動産のトラブルを解決する5つの方法

では、共有者と共有名義の不動産の方針を巡り、意見が食い違ったらどのように解決すればよいのでしょうか?

具体的な解決方法を5つ紹介します。

4-1. 解決方法①持分全部売却

持分全部売却は共有者全員の合意のもと、共有名義不動産全体を売却する方法です。

ただし、共有者のうち一人でも反対者が出ると持分全部売却はできません。
持分全部売却は変更行為にあたるからです。

売却代金は持分に応じて分けられます。

持分全部売却の具体例
Aさんの持分1/2、Bさんの持分1/4、Cさんの持分1/4の共有名義マンションがあったとします。
AさんがBさんCさんの合意を取り付け、不動産会社に売却を依頼。
4000万円で売却が成立すれば、Aさんは2000万円、Bさんは1千万円、Cさんが1千万円をそれぞれ受け取ることになります

共有者全員が合意してくれるなら持分全部売却がベストな形であります。
しかし、共有者全員の合意が必要なため基本的には話し合いがうまくいかない限り持分全部売却は使えません。

すでに共有名義不動産を巡り対立が起きている場合には難しいでしょう。

4-2. 解決方法②持分一部売却

自分の持分だけを共有者以外の第三者に売却する方法が持分一部売却です。

持分全部売却で、共有名義不動産全体を売却するためには全員の合意が必要です。
しかし、自分の持分だけを売却するだけであれば、他の共有者の同意を得る必要は全くありません。

すでに、「1-1. 共有とは?」でご説明させて頂きましたが、民法第206条(所有権の内容)でも「所有者は所有物を自由に処分してよい」と規定されいるからです。

共有名義不動産だろうが、持分の所有権を持っているのですから一部売却は可能ということです。

自分の持分だけ売却するということ自体に馴染みのない方も多いと思います。
しかし、すでに共有者と対立関係が起きており、合意を取り付けられそうもないケースにおいて一部売却はよく利用される手法です。

4-3. 解決方法③持分移転

持分移転は自分の持分を他の共有者へ売却する方法です。
一部売却は売り先が第三者でしたが、持分移転は売り先が他の共有者となります。

持分移転の具体例
Aさんの持分1/2、Bさんの持分1/2、の共有名義マンションがあったとします。
Aさんは共有関係から離脱したいと思い、Bさんに「自分の持分を買ってくれないか」と持ちかけました。
Bさんはそれに了承し、Aさんの持分を買い取りました。

共有者が親族だった場合などに、相場よりかなり安い金額で売却するケースがあります。
しかし、相場とかけ離れた金額で売却した場合、持分を買い取った他の共有者に贈与税が課されることもあり危険です。

4-4. 解決方法④持分買取

持分買取とは、自ら他の共有者の持分を買い取る方法が持分買取です。
持分移転と逆になるだけです。

持分移転の具体例
Aさんの持分1/2、Bさんの持分1/2、の共有名義マンションがあったとします。
Aさんはマンションを1人で所有したいと考え、Bさんに「買取価格○○○○万円でBさんの持分を買い取らせてくれ」と提案し、Bさんもそれを了承。

4-5. 解決方法⑤持分放棄

持分放棄とは、自分の持分を放棄することです。
持分を放棄することに他の共有者の同意などは必要ありません。

持分の放棄は、民法でも以下のように認められています。

民法第254条(共有物についての債権)
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

引用元:総務省e-Gov

また、上記にあるように放棄された持分は、他の共有者の持分割合に応じて分配されます。

持分放棄の具体例
Aさんの持分1/3、Bさんの持分1/3、Cさんの持分1/3の共有名義マンションがあったとします。
Aさんが持分を放棄。
B3とC3の持分割合は一対一なので持分は均等に分配されます。
つまり持分放棄後のBさんとCさんの持分はそれぞれ1/2ずつになります。

ちなみに持分放棄は民法で認められている権利ですが、実質的には他の共有者に無料であげていることになります。
そのため、持分が分配された他の共有者に贈与税が課される場合もあるので注意が必要です。

4-6. その他の解決方法

共有名義の解決方法としては他にも以下のようなものがあります。

  • 土地であれば分筆(現物分割)
  • 共有物分割請求訴訟

分筆はマンションとは関係ないのでこの記事では割愛します。

また共有物分割請求訴訟は、裁判によって共有名義の解決を行うものです。
しかし、共有物分割請求訴訟には様々なリスクがあるため一般の方が手を出すにはかなりの無理があります。

具体的には、裁判所がそもそも共有名義を解消する必要がないといった判断をする場合もありますし、最終的には競売になってしまい相場よりかなり安い金額になる可能性も十分に考えられるからです。

5. 共有名義不動産トラブル解決は一部売却が有効

ご紹介した共有名義不動産トラブルを解決する方法で一番現実的なのが持分一部売却です。

もちろん、共有者全員が対立しておらず合意形成できそうなら持分全部売却がベストな選択でしょう。
いまずぐに一括査定サイトなどで査定を依頼し、価格面や営業マンの資質などを比較したうえで信頼出来そうな不動産会社に売却を依頼するだけです。
通常の不動産売却と何も変わりありません。

しかし、すでに他の共有者と対立してしまっている方は持分全部売却の選択肢は消えます。
どうにか共有者と合意形成しても、いざ売り出しの場面になると価格面や売却方法をめぐりトラブルになることも少なくないという現実もあります。

また、持分移転や持分買取は、交渉して持分の購入や買取には賛成してくれても価格面で対立することがほとんど。
結局は持分を手放すことも出来ず、縁も切れない八方塞がりな状態が続いてしまうのです。

持分放棄に関しては、タダで譲ることになり損するだけですから選択する人はほとんどいません。

となると、共有名義不動産のトラブル解決手段として有効なのは一部売却となるのです。

5-1. 一部売却で持分を買うのは一般のお客さんではない

通常の中古マンション売却では、一般の売主さんが売却を不動産仲介業者に依頼。
その後、依頼を受けた不動産会社は、広告を打つなどして一般の買主を探します。

しかし、持分の売却となると、一般の買主はまず見つかりません。
見知らぬ人の所有権が含まれている住宅を欲しがる人などいないからです。

持分の購入者は、投資家または、専門の不動産買取業者に限定されます。
投資家であれば持分割合に応じて賃料収入を得ることを、買取業者であれば他の共有者と交渉して最終的に単独名義にして転売することを目的に持分を購入します。

5-2. 持分の売却を扱っている不動産会社は少ない

上記からも分かる通り、あなたが持分の一部売却行う場合、投資家をたくさん抱えている不動産仲介業者、または不動産買取業者を探す必要があります。

ただし、持分の売却に精通している不動産会社はとても少ないのが現実です。
一件一件不動産会社にアポを取っても門前払いされてしまうでしょう。
不動産一括査定サイトなどで一気に複数の不動産会社に問い合わせを行ってみるのが効率的です。

5-3. 持分の売却は買い叩かれることに注意

通常の不動産売却、もしくは持分の全部売却であれば、時価5,000万円のマンションは市場に出しても5,000万円前後で売れるでしょう。

しかし、一部売却は時価より安い売却金額になってしまうことが一般的です。
例えば、時価5000万円のマンションで持分が1/2ずつだとしても2,500万円にはなりません

持分を購入したところで、様々な行為に他の共有者の同意が必要になるなど権利が大きく制限されているため、一般の購入者には売ることができないからです。

だからこそ、買取業者や投資家というように売却対象が限定的になっています。
そして、彼らは利回りや転売益が目的であって自分が住むわけではありません。
商売ですからなるべく安く買って大きな利益をあげたいのです。

1社のみの査定では不当に安い査定額でも気付くことすらできません。
少しでも、高く売れるように最低でも3社程度には査定依頼を行い査定金額を比較するのが賢い選択でしょう。

6. 離婚による共有名義不動産の売却には注意が必要

3-2の例のように離婚する夫婦の共有名義不動産が、夫の持分が10分の7、妻の持分が10分の3だったとします。

しかし、共有名義不動産が婚姻中に購入したものであれば、離婚における財産分与の対象となり、妻の潜在的な持分は2分の1と裁判所に判断される可能性が高いでしょう。
(もちろん、協議離婚であれば交渉で減らしたり0にすることも可能ではあります。)

また、夫婦間には扶養義務(ふじょぎむ)があります。
実際、民法には以下のように規定されています。

民法752条(同居、協力及び扶助の義務)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

引用元:総務省e-Gov

これらのことから、財産分与が確定する前に夫婦のどちらかが勝手に第三者に自分の持分を売却することに裁判所も否定的な判例が多く出ています。

もちろん、離婚が成立すれば財産分与も終わっているでしょうから、自分の持分を第三者に売ることは自由です。

7. 共有名義不動産の持分売却は不動産会社選びがカギ

すでにお伝えした通り、共有名義不動産の持分を売却する場合、売り先は買取業者か投資家です。

買取業者であれば、直接不動産会社が買い取るわけですから単純に査定金額が勝負となります。
一括査定サイトなどを利用し、なるべく多くの不動産会社から査定を貰い一番高く買ってくれる業者を探す必要があります。

また、投資家に売るにせよ投資家とあなたを取り持つ不動産仲介業者を見つける必要があります。
持分の売却に精通し、投資家を多く抱える不動産仲介業者は多くはありません。
なるべくたくさんの業者にコンタクトを取ってください。

買取業者と投資家どちらに売るのが良いかはケースバイケースなので、一括査定サイト(マンションナビ)などで査定を依頼するとき「記入欄」や「フリーコメント欄」に以下のように書き込むと良いでしょう。

現在、共有名義不動産の持分売却を考えております。
共有者は●人で、それぞれ持分は、Aが○%、Bが○%、Cが○%です。
直接業者さんに買い取ってもらうか、それとも仲介業者さんを通して投資家さんなどへの売却か迷っています。
査定金額と併せてアドバイスも頂ければと思います。
よろしくお願い致します。

このようにして査定を依頼すれば、複数の不動産会社から査定金額と共に、アドバイスを貰えるはずです。

実際に、メールや電話を通し、アドバイスが的確で信頼できると感じた不動産会社があれば、可能な範囲で実際に共有名義不動産を見てもらい正確な査定を行って貰いましょう。

また「一部売却にすると完全に決まったわけではない。まだ、他の共有者と完全決裂したわけではないから全部売却の可能性も残っている・・・。」という方もいらっしゃると思います。
そんな方こそ、早めに信頼できる不動産屋を見つけることが有効になります。
不動産屋という第三者の存在が入ることで、他の共有者も態度を軟化させる可能性もあるからです。

査定を行ったからといって必ず売らなければいけないわけではありません。
共有名義不動産で悩んでいるなら相談するくらいのつもりで、気軽に不動産屋に頼りましょう。

共有持ち分の買取に強い業者さんも一応参考までにご紹介しておきます。
不動産の共有持分(共有名義)を売却したい!買取価格相場は?

8. 一括査定サイトを使ってみる場合

マンション売却時は普通の一括査定サービスではなく、マンション専用の一括査定サービスを使った方が高額査定に繋がります。

例えばマンションナビというサービスがありますが、こちらは

  • マンション専用
  • 完全無料
  • 利用者数360万人以上

といった特徴があり、60秒ほどの手続きでかんたんに査定依頼が完了します。

まずはこういったサービスを活用して、不動産屋に相談してみてはいかがでしょうか。

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