マンション売却でよく聞く「現状渡し」。
これは、マンションを現在の状態のまま取り引きするという意味で、現在の中古マンションの売買は「現状渡し」が主流となっています。
初めて「現状渡し」を知った方の中には、となんとなく「買主は物件の欠陥を全て納得して買ってくれる=後で欠陥が見つかっても売った側に責任を問われることはない」と考えた方もいるのではないでしょうか。
しかし、それは誤りです。
もしそのような認識で取り引きを行うと、後々損害賠償を請求される、といったような危険があります。
こちらでは、まず「現状渡し」について正しく理解し、トラブルに巻き込まれないために何ができるか、何をするべきかに紹介していきたいと思います。
1. 現状渡しとは?
「現状渡し」とは「物件の欠陥を修復することなくそのまま渡す」という取り引き方法です。
例えば、給湯器が壊れている場合や、カーテンレールが壊れている、ドアの建付けが悪い、旧配水管が壊れている、などといった欠陥を修復せずに引き渡すことを言います。
基本的に「現状渡し」と言われますが、他にも「現状有姿渡し」や「現状引き渡し」、「現状有姿取り引き」といった表現をすることもあります。
上記しましたが、中古マンション売買では「現状渡し」が主流となっています。
1-1. 紛らわしい「現状」と「原状」
「現状渡し」に似た言葉に「原状回復」という言葉があります。
賃貸に住んだことのある方は「原状回復(原状復帰)」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
これらは同じ「ゲンジョウ」という読みですが、漢字が違うように、意味も全く異なります。
紛らわしいので、ここで一度違いを確認します。
「現状渡し」とは、不動産売却において、いま現在の状態のまま売却する(引き渡す)こと。
「原状回復」とは、賃貸物件から退去する(明け渡す)際に入居時と同じ状態に戻すこと。
という意味で使われます。
中古マンション売却において「原状回復」という言葉が使われるのは、売買契約がキャンセルされた時です。
取り引きがキャンセルとなるった場合、売主は売却代金を、買主は物件を返却することとなります。この際、買主は物件の「原状回復」を行ったうえでの返却する必要が出る場合があります。
つまり、マンション売却において売主側に「原状回復」が必要となる場面は基本的にありません。
1-2. 現状渡しはどの程度の現状が許される?
「現状渡し」では、どのくらい現状のまま物件を引き渡すことができるのでしょうか。
まず答えを言うと、買主がどこまで了承するかで決まります。
例えば、給湯器が壊れていると言った場合や、雨漏りをしているという場合でも、買主の同意があればそのまま引き渡すことができます。
壁紙がはがれていても、ドアが外れていても買主がそれに了承すればそのまま取引を行います。
家具や家電に関しても基本的には撤去しますが、買主側から「そのままでもいい」と同意してもらえた場合は、家具や家電もそのまま残して退去することができます。
大げさに言えばゴミ屋敷も「現状渡し」で買主が了承すればゴミを一緒に引き渡すことが可能となります。
買主の内覧時などに「家具や家電などは基本的に持っていきますが、何か残していってほしいものがあったら一応おっしゃってください。可能であれば置いていきます」といったように言っておけば、買主にが置いて行ってもらえたら嬉しいものがわかります。
ただ、まっさらな状態でマンションを買いたいという方も当然います。
その場合は引っ越し先へ持って行ったり、売却したり処分をする必要があります。
処分にはお金がかかりますが、いま時はジモティなどで簡単に欲しいという人が見つかるので、そういったアプリを活用してみてもいいでしょう。
1-3. ハウスクリーニングは必要?
中古マンション売買の場合は、ハウスクリーニングをしないのが一般的です。
この先契約する不動産業者からも「ハウスクリーニングは不要です。常識的な範囲での掃除くらいで問題ありません」と言われるかと思います。
これまで住んできた感謝を込めて、そして次に住む人たちへの買ってくれた感謝を込めて、少し丁寧に掃除をすれば問題はありません。
もちろん、売主の方でハウスクリーニングを入れても問題はありません。
なお、ハウスクリーニングを行う場合は、引き渡し後に買主が自己負担で行うことが多いです。
※ハウスクリーニングについてはこちらで詳しく解説しています。
マンション売却でハウスクリーニングをする5つのメリットと費用の相場
2. 現状渡しのメリットとデメリットとは?
続いて、「現状渡し」のメリットとデメリットについて触れていきます。
2-1. 現状渡しのメリット
メリットは、現状渡しではリフォームや補修をする必要がないため、売却前に費用や手間をかける必要がないということです。
リフォームを行う場合、少なからず数百万円単位のお金が必要となります。それも、自己負担で捻出する必要があります。
確かに、リフォームされた物件は魅力的ですが、そのリフォームにかかった費用を全額上乗せした金額で物件が売れるとは限りません。
例えリフォームして少し高く売れたとしても、リフォーム費用が回収できずに、手元に残るお金がトータルで減ってしまうこともあり得ます。
しかし現状渡しであれば、売るためにお金をかける必要がありません。
リフォームにかけたお金を回収しなくては、という焦りも出ませんし、手元に現金がないという売主にとっては大きなメリットとなります。
2-2. 現状渡しのデメリット
デメリットは「高く売れにくくなる」、または「早く売れにくくなる」ということです。
というのも、買主からすると「現状渡し」というのは基本的にデメリットです。
例えば、全く同じマンションの隣り合った物件を想像してみてください。
- 1008号室は「リフォーム済み」で3000万円。
- 1007号室は「リフォーム未実施」で3000万円。
どちらとも間取りは全く一緒だったとします。
この時、買主視点で考えた場合、普通は「リフォーム済み」の物件を選びますよね。
そのため、リフォーム未実施の物件がリフォーム済みの物件と戦うためには、価格を下げる必要があります。
現状渡しでも物件が売れるのは、リフォーム済みと比較して安いからです。
少しでも高く売りたいという気持ちから、値下げをせずに売却しようとすればいつまでも売れない可能性があります。
もしかしたら、いつかは売れるかもしれませんが、長期間買い手がつかないかもしれません。
つまり、「現状渡し」で相場以上の値段で売りたいというのは、難しいという事を理解しておきましょう。
しかし、再度お伝えしますが。リフォーム済みの物件の【売却額-リフォーム費用】よりも現状渡しの物件の【売却額】の方が高くなる、という可能性は十分ありえます。
そのため「リフォームをして売る」か「現状渡しで売るか」の選択は慎重に行うことが大切です。
この判断はとても難しいので、専門家である不動産屋に「我が家の売却はどっちの方が適しているか」の判断を仰ぐことが大切です。
ただ、注意が必要なのは、一つの不動産屋の意見だけでは本当にそれが正しいかはわからないという事です。
そこでするべきことは、専門家による多数決です。
どういうことかというと、複数社の不動産業者に相談して意見を聞くという方法です。
複数の業者から意見を聞くことで、不動産屋1社だけの偏見ではなく、不動産業者から見た多数決的な意見が見えてきます。
「リフォームをするべき」か「現状渡しで売却するべきか」をそれぞれの不動産屋から意見を聞き、どちらの方が多くてもとにお金が残る事になるかを多数決によって、あなたでも判断ができるようになります。
ただ、1社1社に査定依頼をするのは大変ですので、不動産一括査定サービスを活用するのもいいでしょう。特にマンション専用の不動産一括査定サービス(マンションナビ)を活用すると、よりマンションの現状渡しでの売却が高額に繋がります。
無料で60秒程度かんたんに査定依頼できるので、とりあえず査定額の確認もかねて使ってみてもいいでしょう。
3. 現状渡しであれば契約不適合責任(瑕疵担保責任)は負わない?
まず、「契約不適合責任」についてご存じですか?
「契約不適合責任」というのは、2020年4月1日に施行される民法改正によって新しくできる、売主の責任に関する決まりです。
もしかしたら「瑕疵担保責任」という言葉であれば聞いたことがある人もいるかもしれませんが、「契約不適合責任」はこれまでの「瑕疵担保責任」の代わりとなるものだと、とりあえず理解していただいてもいいでしょう。
ただし、責任の発生する条件や、買主が行使できる請求権などが変わっているので、完全に「契約不適合責任=瑕疵担保責任」ではないということは覚えておきましょう。
それでは契約不適合責任について説明していきます。
3-1. 契約不適合責任とは?
契約不適合責任とは「売主が契約とは違うものを買主に引き渡した場合に売主が負う責任」の事です。
例えば「雨漏りしていない物件」として契約したのに、引き渡された物件が「雨漏りしていた」という場合、契約不適合ということになります。
こうした場合、買主に対して契約不適合責任を問う事ができます。
上記した改正前の「瑕疵担保責任」の場合は、「隠れた瑕疵」と言われる、買主が契約前に発見不可能だった瑕疵があとから発覚した場合に売主が負う責任でした。
これは別の考え方をすると、買主が「購入時にすでに瑕疵の存在を知っている」または「注意をしていれば気付けた」であろう瑕疵であれば、瑕疵担保責任を主張することができなかったのです。
こうして売主が一部保護されていました。
しかし、民法改正で「契約不適合責任」になったことで、「隠れた瑕疵」である必要はなくなりました。
つまり、買主が発見できなかったかどうかは関係なく、契約内容と不適合な部分があれば売主は契約不適合責任を負わなくてはいけなくなりました。
3-2. 現状渡しでも売主は契約不適合責任を負う?
「現状渡し」で売却するのであれば、一見、「買主は物件の欠陥を全て納得して買ってくれる=後で欠陥が見つかっても売った側に責任を問われることはない」と考える方もいます。
しかし、それは間違いです。
あくまでも、買主は売主から説明された契約内容に同意して購入するのですから、その契約内容にない欠陥が後から発覚した場合は、それは契約内容の不適合となります。
当然、売主は契約不適合責任を果たす必要が出てきます。
もし契約に不適合なところが見つかった場合、買主は売主に対して次の4つの権利を主張することが可能となります。
- 追完請求
- 代金減額請求
- 損害賠償請求
- 解除
それぞれがどういった事ができるのかをかみ砕くと、
- 追完請求「契約になかった欠陥があるので直してください」
- 代金減額請求「欠陥を直してくれないならその分安くしてください」
- 損害賠償請求「欠陥によって出た損害と、欠陥がなければ発生していたはずの利益を補償してください」
- 解除「欠陥があまりにもひどいので契約を解除します」
といったような、様々な方法で契約不適合責任を問う事ができるようになります。
瑕疵担保責任の時は「③損賠賠償請求」と「④解除」の2つの権利のみで、損害賠償請求や解除は買主にとってハードルが高かったため、瑕疵があっても責任追及をしていなかった案件があったと考えられています。
しかし、契約不適合責任に変わる事で増える「①追完請求」や「②代金減額請求」は「給湯器が壊れてるの契約時に聞いてなかったから直して」であったり、「雨漏りしてるの契約時に聞いてなかったから少し安くして」と責任追及のハードルが下がりました。
そのため、民法改正後の取り引きではこの契約不適合責任を問われるケースが増えるのではないかと考えられています。
補足として、契約内容の不適合の度合によって請求できる権利は変わってきます。
度合というのは例えば、給湯器が壊れていた場合と、土壌が汚染されていて健康被害が出る場合では明らかに度合が違います。
どこか不適合が見つかった場合、全ての請求権を行使できるわけではありません。
また、次に紹介する「売主がやるべきこと」をしっかりとやっておけば、必要以上にナーバスになる必要はありません。
4. 契約不適合責任を負わないためにするべきこと
それでは次に、契約不適合責任を負わないために売主ができること、やるべきことについて触れていきたいと思います。
基本的には、以下の3つをしっかりと行うことが大切です。
- 瑕疵の存在を隠さない
- 契約不適合責任の免責
- インスペクション・保険の利用
それぞれを細かく見ていきます。
4-1. 瑕疵の存在を隠さない
売主が把握している不具合や欠陥は、必ず全て不動産会社に伝えましょう。
汚れや破損などの一目でわかるようなものから、実際に住んでいないとわからないような事もです。
例えば、「ドアの開閉が重い」であったり「トイレの水の出が悪い」、「カーテンレールが壊れている」、「床がギシギシと鳴る」、「雨漏りあり」など、細かく伝えることが重要です。
基本的に売却する際は付帯設備表と告知書(物件状況確認書)という書類を作成します。
これは、備え付けの設備や物件の欠陥や不具合について記載する書類です。
これに物件の欠陥や不具合箇所、修復の履歴などを記載し、それらを買主に納得してもらうための書類です。
そして、これに記載されていない欠陥が発覚した時に、売主は契約不適合責任に問われる重要な書類です。
マンション売却にでは①付帯設備表と②告知書それぞれに必要な記入項目をおおまかに説明すると、
①付帯設備表
・水回り(キッチン、浴室、洗面、トイレ、洗濯機など)
・居住空間(空調、証明、収納など)
・窓・玄関・その他設備
②告知書
・建物本体(雨漏り、シロアリ、傾き、給排水、耐震、改修履歴など)
・周辺環境(土壌汚染、騒音、振動、異臭、近隣の建築計画など)
・管理費、修繕積立金に関する記載(積立金の変更予定、大規模改修予定など)
といった内容です。
これらの欠陥や不具合、修繕状況、対策状況などを記載します。
各項目はさらに細かく分かれてており、かなり詳細な記載が必要となります。
中には難しそう、大変そうだから専門家の不動産業者の人に書いてもらいたい、と思う方もいるのではないでしょうか?
しかし、物件については売主にしかわからない事がたくさんあります。
例えば、過去に雨漏りがあり、売主がそれを補修し、壁紙も綺麗に張り替えていた場合、不動産業者には雨漏りがあったことを知ることはできません。
もし買主にこの雨漏りの補修について伝えないまま売買契約を結び、あとでこの補修痕が見つかった場合「意図的に欠陥を隠した」とみなされて損害賠償請求を受ける可能性もあります。
そういった理由から、必ず売主本人が記載するようにしましょう。
昔の事で覚えていないという場合もあるかもしれません。
その場合も、思い出す努力や調査をするようにしましょう。
例えば、工事完了報告書や契約書、領収書などを探してみることができます。
他にも例えば一緒に住んでいた人に聞くこともできますし、一時期別の人に管理してもらっていた期間がある場合は、その人に連絡をとって確認してみることもできます。
付帯設備表と告知書は売主を契約不適合責任から守るための大切な書類です。
未記載や虚偽などがあった場合は、のちに裁判に発展する可能性もあります。そうなれば、少なくない費用がかかりますし、心理的負担も大きいものとなってしまいます。
必ず正直に、できる限り細かく思い出しながら記載するようにしましょう。
4-2. 契約不適合責任の免責
続いて、契約不適合責任の免責についてご説明していきます。
まず、契約不適合責任は「任意規定」です。
任意規定とは、「契約当事者の合意がある場合は、規定よりも合意内容の方が優先される」というものです。
そのため、基本的に個人間での中古マンション売却では「契約不適合責任を負う期間を三か月とする」または「契約不適合責任は全て免責する」と言ったような特約を付けて、責任の一部免責や全部免責を行います。
この特約をつけないと、売主は長い間責任を負う可能性を持ち続けることになります。
改正民法では、
①買主が契約の不適合を知った時から1年以内に売主にその旨を通知すれば責任追及権がある
②引き渡しから10年で責任追及権は消滅する
といった内容が書かれています。
つまり、引き渡してから9年後に買主がなんらかの契約の不適合を知った場合、1年以内に売主に通知をすることで売主は買主に対して契約不適合責任を追及することが可能ということです。
それではあまりにも責任の期間が長いため、改正前の瑕疵担保責任と同様に、契約不適合責任でも一部免責や全部免責という特約をつけるのが一般的となるでしょう。
なお、この契約不適合が売主に悪意(知っていたが伝えなかった)によって隠されていた場合は、例え契約不適合責任の特約をつけていても、告知義務違反となり免責にはなりません。
このような不法行為による契約不適合が発覚した場合は、損害賠償請求を行える期間は知ってから3年、引き渡しから20年と拡大されます。
4-3. インスペクション・保険の活用
インスペクションとは建物の専門家(建築士など)が、第三者的な立場から建物の安全性や劣化具合などをチェックするサービスです。
「既存住宅現況検査」や「既存住宅診断」とも呼ばれています。
2018年4月1日に行われた法改正で、宅建業者(不動産屋)は売主または買主に対してインスペクションを使うか確認する事が義務付けられました。
これは、知識を持っていない個人でも、安心して中古住宅の取り引きが行える環境を整えることが目的となっています。
ひとつ注意が必要なのは、インスペクションの利用には費用がかかります。
しかし、費用をかけて利用するメリットはあります。
一つ目は、第三者による品質チェックをしてもらう事で、物件の欠陥を洗い出すことができる事です。売主が把握できていなかった欠陥をインスペクションで発見できれば、事前に告知書などに記載し買主に伝えることができます。
事前に契約に盛り込むことで、その欠陥について「契約不適合責任」を負わずに済みます。
二つ目は、第三者によるチェックが入っているというのは、買主から見て印象がよくなります。
そしてもう一つは、既存住宅売買瑕疵保険への加入が可能となることです。
建物が一定の品質水準をクリアしている必要がありますが、万が一契約不適合な欠陥が発覚した場合に補修費用、調査費用、転居・仮住まい費用などが全額保険金でまかなうことができます。
また水準をクリアできなかった場合も、その箇所を補修することで保険への加入が可能となります。
この保険に加入しておけば、売主にとっては売却後に欠陥が発覚してもお金を持ち出さずに済みます。
また、買主にからすると保険に加入しているということは、一定の品質が保証がされているということであり、万が一欠陥が発覚した場合も保険から全額保証されるというのは、安心して物件購入できる判断材料ともなります。
もし、保険に加入していない場合、売主個人に対して補修費用を請求しなくてはいけません。
もし、売主がすでに亡くなっていたり、支払い能力がない状態であれば結局買主は自己負担するしかないというのは、買主にとって大きなリスクとなります。
つまり、インスペクション・既存住宅売買瑕疵保険を利用することで、お互いが安心して売買を行うことができるようになるのです。
5. リフォーム、修繕、補修をして売った安心?
ここまで読んで、もしかしたら契約不適合責任を負うリスクがあるくらいなら、リフォームをや修繕、補修などを行ってから売った方がいいのでは?と考える方もいるのではないかと思います。
確かに、古リフォームを行えば、契約不適合責任のリスクを減らすことに繋がるでしょう。
しかし、リフォームには大金がかかります。
確かに、リフォームをすることによって早く売れるようになる可能性はあります。しかし、リフォームしたからといって高く売れたり、かけたリフォーム費用をちゃんと回収できる保証はどこにもありません。
というのも、近年リフォームが注目されており、中古住宅を買う7割の買主が「リフォーム前提で」購入しているというデータもあります。(近畿圏不動産流通機構調べ)
つまり、自分たちの好きなようにリフォームをして住みたい。そのためには、現状渡しで安くなっている物件を買いたい。という人たちにとっては、リフォーム済みという状態は逆にデメリットにもなり得ます。
むしろ、リフォーム代が上乗せされて高くなっている物件よりも、現状渡しの物件の方が買主にとって都合がいい場合もあるのです。
ただし、リフォームするべきかしないべきかは、上記したように地域に精通した専門家(不動産業者)に相談して見る事が重要です。
リフォーム済みの物件を探している人が多いのであれば、リフォームをした方が有利に売却を進められますし、現状渡しの物件の問い合わせが多い地域であるなら、リフォームをしない方がいいでしょう。
ですから、少しでも査定額を上げるためにリフォームをしてから不動産屋に査定をしてもらう、というのは絶対にやめましょう。
まずは不動産屋に連絡をして物件の査定をしてもらい、そのうえでリフォームをするべきか、しないべきかのアドバイスを聞くべきです。
そうしないと、場合によっては無駄な費用をかけてしまい、結果として損をしてしまう危険があります。
何よりもまずは、信頼できる不動産屋を見つけて、相談してみましょう。
6. まとめ
ここまで読んで、現状渡しに関して理解が深まったと思います。
中古マンションの売買において、現状渡しは最もスタンダードな取引方法ですが、そこに潜む危険を知らずに不動産業者に全てを任せて売却するしていたら……と思うと怖くありませんか?
しかし、こちらのページを読んだことで、マンションの欠陥を余すことなく買主に伝える重要性はすでに理解できていると思います。
ここを読む前はできるだけ買主に欠陥を伝えたくないな、という気持ちは少なからずあったと思います。
確かに、自分のマンションの欠陥を伝えることによって、程度によっては売却額に影響は出てきます。
しかし、これくらいは伝えなくても大丈夫かな?とか、これは誰が見ても明らかだから明記する必要はないかな?と安易に考えると後々大損をしてしまう危険があることももうご存じですよね。
少し気が引けたという方もいるかもしれませんが、しっかりと事前に欠陥を伝えておけば、怖くない取引方法です。
だからこそ、売却のパートナーとなる不動産屋選びは、大変重要な作業となります。
もし、書類作成が雑な不動産業者を頼ってしまえば、後々重大なトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。
できるだけ多くの不動産業者から意見を集めて、ぜひあなたのマンションに最適な売却方法を選んで、できるだけたくさん手元にお金が残る売却にしてください。