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築10年のマンションを売却!失敗から学ぶ相場と手放す時期

築10年のマンション売却

マンションは住居であると同時に、資産価値のある不動産でもあります。
そして、築年数とともに、マンションの資産価値は下落していくのが一般的です。
(一部の超高級物件や、周辺環境の変化で値上がりするマンションもある)

築年数と、資産価値に密接な関係があるということは、マンションを売却する時期は売却価格に大きな影響を与えます。
せっかく大切な資産を手放すのなら、誰しも「少しでも高く売りたい!」と思うはず。

そこで今回は、築10年のマンション売却に失敗した実例をもとに、売却金額と手放す時期の密接な関係を紹介します。

1. 築10年のマンション売却に失敗(Aさんの場合)

所有するマンションを「築10年前後で手放そうかな」と思っている人は、築10年を迎える前に手放せるよう、早め早めに売却に向けて動き始めてください。築10年を迎えているかどうかで、マンションの物件価格は大きく変わると言われているからです。

例として、東京都内のマンションを最近手放したAさん(40代前半)のケースをご紹介します。

Aさんは30代前半で購入した新築物件の分譲マンションに、当時就学前だった子供が成人するまでは住み続けるつもりでした。

ところが、築9年6ヶ月迎えるころになって埼玉県に勤め先が支所を出す話が持ち上がり、Aさんはその支所長として転勤することになりました。
首都圏なので無理すれば通えない距離ではありませんが、引越し先は新築住宅建設が盛んで、今住んでいるエリアよりも手ごろな価格で新築マンションが手に入ります。

Aさんは自分の住むマンションが時おり売りに出ていると、何となく気になって中古価格動向をチェックしていました。
そして、この10年で大きく売却価格が下がっていないことを知っていたため、子供の高校進学のタイミングに合わせ、思い切って住まいを売却することにしました。

人気マンションなのですぐ売れると思い、知り合いが経営する不動産屋1社のみに売却の相談をしました。
購入価格とほぼ同じ査定額を提示されたので、そのままの価格で売り出しました。

実際に売り出しを開始するとポツポツと内覧者はいましたが、売れる気配はありませんでした。
その後、築10年を迎え、さらに内覧者が減り、立て続けに2回の値下げをしやっと売れました。
現実の売却金額はいくらだったかというと、当初の査定価格の-35%ほどになってしまいました。
売却前は「残った手元資金で繰り上げ返済をしよう」と考えていましたが、住宅ローンの借入残高は以前とほぼ同じ。
新しい家に住むことができたものの、何か腑に落ちないものが残りました。

Aさんの売却方法は、何がいけなかったのでしょうか?
マンションの中古物件売却に関して「築10年」が持つ意味をひも解き、正しい売却方法を探っていきましょう。

2. 買い手目線から見るマンション築10年が持つ特別な意味

不動産価格を考える際、忘れてはならないのが買い手の視線です。
住宅購入希望者は、築年数で物件を絞り込んで探しています。

中古住宅の購入希望者は主に不動産情報サイトで不動産物件を探しますが、そのようなサイトでは物件検索の絞り込み条件に、必ず「築年数」の項目があります。
築年数の選択肢はサイトによって違いますが、「10年以内」という項目が入っていないケースは間違いなくありません。

ここで大事なのは、不動産情報サイトでは、築9年12ヶ月だと「築10年」、築10年1ヶ月なら「築11年」に分類されるとういうことです。
つまり、築10年を少しでも過ぎたら「10年以内」では表示されなくなってしまうのです。

実際は買い手にとって「築10年」と「築11年」の物件に大きな違いはありませんが、「10年以内」の検索条件で絞り込みをかけた際に、築11年のマンションは表示されなくなります。

そして、不動産情報サイトでは「10年以内」を目安にマンションを探している人が全体の6割を占めます。

Aさんのマンションは売り出した当初は築9年6ヶ月だったのでネット上では「築10年」に分類され、「10年以内」の検索条件にも表示されていたはずです。
しかし、築10年を迎え「10年以内」の条件に表示されなくなったため、購入希望者の目に触れる機会が劇的に減ってしまったのです。

目に触れる機会が減るということは、そもそも内見者数が減るので中古住宅市場において負け組マンションとなってしまったも同然。
実際、Aさんの場合も、築10年を超えて、さらに反応が悪くなり立て続けに値下げしています。

また、築10年を目安に物件を手放す人も増えるので、住宅市場にライバルが多いということもマイナス要因です。

3. 築10年でマンションの資産価値は25%下落

不動産会社の査定価格の相場も、10年を境に大きく下落します。

価格の下落割合はマンションの立地や管理状態、景気などの条件によって異なりますが、築10年だと平均下落率で約25%。
つまり、新築価格から築10年経過したマンションの価格維持率は75%です。

もちろん、エリアによって格差はありますし、都心の一部人気エリアでは値上がりしているケースあります。

3-1. 築10年を過ぎると大規模修繕工事も必要

マンションにとって築10年は、最初の「大規模修繕工事」を迎える時期でもあります。

(※実際、国交省では12年周期での大規模修繕を勧めている)

修繕積立金の積立額によっては、まとまった追加費用を支払わなければなりません。
そのため、修繕積立金の貯まり具合によっては、購入希望者が本体価格から値引きを求めてくることもあります。

大規模修繕工事とは、外壁塗装や屋上防水などをはじめとする建物全体の修理のこと。
鉄筋コンクリートの建物は一件丈夫に見えますが、メンテナンスを怠ってコンクリートにヒビが入ると中の鉄筋が錆び、強度が落ちてしまいます。
そのため、定期的な外壁塗装でコンクリートの表面を守り、ヒビなどを修繕する管理やメンテナンスが非常に重要なのです。
「マンションの資産価値は管理で決まる」という言葉もあるほどです。

3-2. 築10年を迎える総世帯数の多いマンションはさらに過酷な値下がり

築10年は、新築時の購入者が徐々に手放しはじめるタイミングだというのは前述の通りです。
さらに、総世帯数が多いマンションは、中古不動産市場に同じ物件が多く出回ることになります。
ただでさえ、築10年過ぎのマンションがゴロゴロ市場に出ているのに、自分のマンションの他の部屋までライバルになるわけです。

激しい競争によってさらに売却価格が下がりやすくなるため、手放すなら早めのタイミングを狙いましょう。
同じマンションで、同じような間取りの部屋が売りに出ていたら、安い部屋が先に売れるのは当然です。
総世帯数の多い物件を高く売るには、ライバルが増える前に売却し、価格競争に巻き込まれないように早め早めに行動しましょう。

4. 築10年でも失敗しないマンションの売却術

Aさんの失敗談をもとに「築10年を迎えるマンション」の売却を成功させるポイントを押さえていきましょう。

  • Aさんの致命的なミス1 : 最初の売り出し価格が高過ぎ
  • Aさんの致命的なミス2 : 値下げが後手後手

4-1. ミス1の解決策−複数の不動産業者に査定を依頼して相場を知ることが重要

マンションの売却では、複数の業者に査定を依頼し、それらを比較することが大切です。

マンションを売却するには不動産会社の査定を受けなければ始まりません。
そして、この査定額は、業者によって大きく異なります。

Aさんのように一社だけに査定を依頼したら、その査定金額の高いか安いかを判断することができません。
複数の査定額があってこそ正しい相場がわかるのです。

いくらAさんのマンションが10年で大きな値下がりをしていなかったいっても、購入価格とほぼ同じ査定額はさすがに高過ぎです。
この高すぎる査定額も、複数の不動産会社に査定を依頼していれば見抜くことはできたはず。

Aさんのマンションは平均下落率で考えると、本来の査定額は購入価格の75%ほど。
これで売り出していれば、築10年を迎えるまでの売りやすい時期に売り抜けることはそんなに難しいことではなかったはずです。

そんな売りやすい時期に、わざわざ割高で売り出し購入希望者からはスル―されてしまったのです。
値下げした頃には、もう10年を迎え、売りにくい時期に入ってしまい結果的に2回も値下げするはめに・・・
最終的に、-35%、つまり購入価格の65%での売却になってしまいました。

複数の不動産会社に査定を依頼し、正しい相場がわかっていればこんなことにはならなかったでしょう。

4-2. ミス2の解決策−築10年を迎え売りにくくなる前に確実に売り切る

正直、Aさんの知り合いの不動産会社はマンションの売却計画が後手後手で話になりません。

しっかりと売却戦略を立てる不動産会社であれば、
「築10年を過ぎたら一気に売却しにくくなります。残り半年間で売り抜けられるように反応が悪ければ早めに値下げしましょう。」
とアドバイスをくれるはずです。

確かにAさんのマンションは売り出しが高すぎましたが、築10年を迎える前に、早めの値下げをしていれば、その時点で売れていた可能性は十分にあります。
つまり値下げは1回で済んでいたはずです。

しかし、Aさんの知り合いの不動産会社は反応が悪いのに半年間放置。
その後、1回目の値下げしたものの、築10年を過ぎ反応はさらに悪くなっているため、立て続けに2回目の値下げをしています。

このように築10年前後は、早め早めの売却戦略が重要になります。
Aさんのように安易に知り合いの業者に任せず、しっかりとした売却戦略を持った不動産会社を選びましょう。

具体的な選び方としては、上記した複数の不動産会社に査定を依頼したときに、必ず具体的な売却戦略を聞くことです。
ここで、細かく売却戦略を提案してくれるなら、かなり信頼できる不動産会社と言えるでしょう。

5. まとめ

マンションにとって、「築10年」が持つ大きな意味をご理解いただけたでしょうか。
Aさんのマンション売却における失敗をご紹介しました。
2つの致命的なミスがありましたが、どちらも複数の業者に査定依頼をすることで防げたはずです。

複数の業者に査定を依頼するのは面倒に感じるかも知れません。
しかし、不動産無料一括査定サイトを利用すれば、1回の入力で複数の業者から査定を取り寄せることができます。

有名どころだと、マンション特化の「マンションナビ」や、SONY不動産運営の「HOME4U」、提携不動産会社数No1のイエウールなどです。

できるだけ多くの業者に査定を依頼し、大切な資産を自分にとって一番よい条件で手放せるようにしましょう。

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