マンション売却は、マンション購入よりもはるかに難しいです。
なぜなら、購入は自分の希望に合った物件を見つけだけでいいのに対し、売却は自分の希望と相手の希望の両方を満たす必要があるからです。
相手の希望を満たせなければ買ってはもらえませんし、だからと言ってローンの残債や期限などの理由から「自分の希望は譲れない」という人もいます。
そんな難しいマンション売却で最も聞かれる苦労は「売れない」ということです。
こちらの記事では売れないマンションの特徴や売れない原因、そして「売れない」を回避するための対策について解説していきます。
最後まで読んで苦労しないマンション売却を目指していきましょう。
1. マンション売却でよくある苦労話は”売れない”
マンション売却でどんなことに苦労したかを聞くと、圧倒的に多いのが「売れずに苦労した」という話です。
マンション売却をする多くの方は、我が家の売却にそこまで苦労するとは思っていません。
しかし、いざ売りに出してみたら
- 問い合わせはあるが内覧者が来ない
- 内覧者が来てもそのあとは音沙汰がない
- そもそも問い合わせすらこない
といった状況が続いて時間だけが過ぎ、どうすればいいかもわからずただ気持ちだけが焦ってしまう……。
こういった状況に、どのほとんどの物件がなり得ます。
もちろん、売りに出してすぐに決まるケースもあります。
マンションの平均的な売却期間と言われる3カ月ほどで売れるケースもあります。
しかし、1年たっても売れないというマンションも少なくはありません。
自分のマンションがどれに該当するのか、根拠を持って言えるという方は少ないでしょう。
そこで、まずは次の章を読んで、自分のマンションは売りやすい物件なのか、それとも売りにくい物件なのかを把握しましょう。
2. 売りにくいマンションの特徴
マンションにはどうしても売りにくい物件というものがあります。
どのような特徴があると売りにくくなってしまうのかを具体的に解説していきます。
2-1. 駅から遠く交通が不便
電車移動がメインとなる地域であれば、駅からの距離が遠ければ遠いほど売りにくくなります。
目安としては駅から徒歩5分~7分以内であれば売りやすい物件と言えるでしょう。
反対にそれ以上、徒歩8分以上となってくると売却難易度が上がってきます。
もし、徒歩20分よりも以上離れているとなると売却難易度は格段に上がります。
2-2. 利便性・住環境が悪い
周辺に商業施設や公共施設、学校、児童福祉施設、老人福祉施設といったものがなく、利便性が低い物件は売りにくくなります。
例えば子どもがいる家庭であれば、学校の学区や児童福祉施設、または公園があるかを重視して物件を選びます。
また、高齢の人たちからは老人福祉施設があるような地域や、狭い地域に生活に必要なものが揃うような利便性の高さが求められます。
そのため、利便性・住環境が悪いマンションは人気が出ず、必然的に売りにくくなってしまいます。
2-3. 間取りに問題がある
特殊な間取りをしていると売りにくくなりがちです。
例えば室内の壁がカーブをしていたり、複雑な構造だったりすると、例え一見おしゃれに見える間取であろうと購入者からすると使いづらいと思われがちです。
また仕事や趣味などで作った防音室なども同様です。
他にも、済むうえで不便に感じる間取り(導線がしっかり確保されていないなど)の物件も、売却しづらくなってしまう原因となります。
2-4. 周辺に嫌悪施設がある
すぐ近くに嫌悪施設が近くにあったり、ベランダや窓から見えるところにあると売却しにくくなってしまいます。
嫌悪施設とは、存在が人から嫌われるような施設のことを言います。
例えば風俗店、廃棄物処理場、下水処理場、刑務所、墓地、軍事基地、火葬場、原子力発電所や放射性物質の処分場、ガスタンクなどが挙げられます。
個人の主観や、時代によって異なってくるため、必ずしも全員がその施設を嫌がるわけではありません。
しかし、それを忌避する人もいるわけであり、どうしても買い手の幅が減ってしまいます。
2-5. マンションの管理状態が悪い
マンションの管理状態が悪いと買い手が見つかりづらくなります。
例えばマンションの管理組合が機能していなかったり、管理会社の怠慢によっていい状態が保たれていないケースが考えられます。
なぜ買い手が見つかりづらくなるかというと、管理が適切にされていないと見た目が悪くなるからです。
ゴミが落ちている、外壁の劣化が目立つ、電灯が切れたままになっているなど、買い手の第一印象を悪くしてしまうのです。
また、それだけではなく不動産業者がそのマンションを紹介してくれなくなります。
なぜなら、管理状態の悪いマンションを紹介すれば、後々クレームとなってしまう可能性が高いからです
2-6. 売り出し価格が高すぎる
マンションの売り出し価格が相場からかけ離れて高いと売却が難しくなります。
マンションの価値は地域やマンションのスペック、不動産市況などによっておおよその相場というものがあります。
この相場よりも高く設定してしまうとなかなか売れません。
例えば、同じマンションの隣り合った部屋で室内の状況はほとんど変わらないものが2件売りに出されていたとします。
片方は3000万円でもう片方が4000万円だった場合、4000万円のマンションは高いと感じますし、買おうと思う人もいないでしょう。
これは、安い方に合わせるべきだという話ではなく、買い手が「割高だな」と感じる価格設定では売れないという例えです。
つまり、そのマンションの相場よりもはるかに高い価格で売却に出せば、買い手は現れなくなるということです。
2-7. 長期間売れていない
長期間売れていないマンションは、さらに売りづらくなってしまいます。
元々長期間売れていないのだから当たり前と思うかもしれませんが、長期間売れ残っていると必要以上に売れなくなってしまう可能性があります。
マンション売却において、相場より高めに売り出して段階的に価格を下げていくのは基本的な戦略となります。
これは、マンションをできるだけ高く売るうえで必須の戦略です。
ただし、相場以上の価格で売り出し続ける期間を必要以上に長くしてしまうと、その分長く売れ残ってしまうことにもなり得ます。
この時、そのマンションが気になってチェックしている人からすると
「この物件は長く売れ残ってるな。ということは、全然買い手が付かないということか。しかも、値下げをしてるしこのまま様子見をしていればもっと安くなるんじゃないか?」
と思われてしまうのです。
結果として購入検討者から「もっと下がるんじゃないか」と思われて、なかなか売れなくなってしまうという状況になる可能性があるのです。
2-8. 不動産業者の能力が足りていない
不動産業者の能力が足りていないために売却が長引いてしまう可能性があります。
というのも、不動産業者にも得手不得手があります。
- マンションが得意か不得意か
- 売買が得意か不得意か
- その地域に精通しているかしていないか
など、より多くの得意がある不動産業者の方がマンション売却に苦労しません。
例えば、賃貸の仲介がメインで売買は片手間の不動産業者よりも、マンションの売買のみを取り扱っている不動産業者の方がノウハウをたくさん持っています。
また、東京都千代田区の物件を売るのであれば、足立区にある不動産業者よりも千代田区にある不動産業者の方が土地の事を理解しています。
地域を理解しているという事は、周辺の相場を理解しているという事ですので、間違って安く売り出してしまうようなミスはしません。
また、あなたのマンションをどの購買層が欲しがるのかを知っていれば、売却戦略(広告作成、広告出稿箇所、売り文句など)に反映することもできます。
逆に能力のない業者であれば、ただ無難な物件広告を作って、無難なサイトに広告を出してあとは待つ事しかできません。
結果として、不動産業者の能力不足によって全然売れないという状況になる可能性があるのです。
3. マンション売却で苦労しないために必要なこと
ここまで読んで該当するものがある場合は、もしかしたら売却で苦労する可能性があるという事をまず認識しておきましょう。
そのうえで、いざマンションを売りに出してから「全然売れない……困った……」を回避するために必要なことは2つあります。
- 自分のマンションの適正価格を知る
- 能力の高い不動産業者を見つける
上記の2点は苦労しないためにかなり重要なポイントですので詳しく解説していきます。
3-1. 自分のマンションの適正価格を知る
まずは自分のマンションの適正価格を知ることが重要です。
安すぎる価格で売りに出せばすぐに買い手が見つかるかもしれませんが、もっと高く売れたはずの物件を格安で手放してしまうことになります。
逆に高すぎる価格で売り出せば、いつまで経っても売れないということになります。
できる限り高く売りたいというのは当然ですが、高すぎればほぼ確実に売却はできません。
徐々に値段を下げていっても、不必要に時間がかかってしまうだけです。
マンション売却でできるだけ高く、できるだけ早く売却するには、相場よりもある程度高い値段で欲しい人が現れるかを見ることが大切です。
そのためには、いくらが相場なのかを把握することが大切なのです。
相場を調べる方法については後ほどお伝えするのでご安心ください。
3-2. 能力の高い不動産業者を見つける
能力の高い不動産業者を見つけることは、マンション売却で苦労しないためにかなり重要です。
不動産売却では「業者選びで売れる価格は9割決まる」とも言われています。
なぜそこまで業者選びが重視されているのかというと、業者選び以外に売主にできることはほとんどないからです。
マンションを売却する場合不動産業者と媒介契約というものを結ぶことになります。
そして、この媒介契約を結び終わると自分にできることはほとんどなくなります。
案内する部屋の清掃、整理整頓と契約後の書類関係しかすることはありません。
もし、能力の高い不動産業者を見つけることができれば、あなたが自分で何をせずとも、適切な価格設定に適切な売却戦略、ターゲット設定、ターゲットに刺さる広告作成、ターゲットがよく目にする媒体で広告を打ち出しなど、あなたに提案をしてくれるでしょう。
逆に、能力の低い業者を選べばどんな不利益を被るかはわかりません。
そのため、不動産業者を選ぶという作業がマンション売却において最も重要な過程だと言われているのです。
絶対に「有名だから」「面倒だから」「知り合いの紹介で」などといった安易な理由で不動産業者を選ぶことはやめましょう。
4. マンション相場の調べ方と不動産業者の探し方
最後に「マンションの相場の調べ方」と「不動産業者の探し方」について解説していきます。
基本的に推奨している方法であれば、1つの事をするだけで同時に解決できます。
その方法は「複数の業者から査定を受ける」ということです。
まず、複数社から同時に査定結果が届くことで、プロから見た相場が簡単にわかります。
例えばA社が3000万円、B社が2700万円、C社が3300万円、D社が3500万円と査定結果が出たとします。
すると、その平均価格は3125万円となり、およそA社とC社の中間がおおよその相場だとわかります。
そしてB社は相場よりかなり低い査定であり、逆にD社はこの中で一番高い査定額だったことがわかります。
この時、もしB社だけを頼った場合は、恐らく相場以下でのマンション売却となってしまっていたでしょう。
このようにして平均価格を知ることで安すぎる業者と、自分の「〇〇万円くらいで売れるだろう」という思い込みを排除することができます。
また、それだけではありません。
同時に不動産業者の話を聞くことで、業者の対応の善し悪しの判別がつくようになります。
- 丁寧な対応なのか雑な対応なのか
- 連絡の折り返しが早いか
- 社会人のマナーを守れているか
- 価格設定の理由にちゃんと根拠があるのか
- 宅建の有資格者が営業マンをしているか
などを比較することで、この人なら信頼できるという人を4人の営業マンの中から選ぶことができるのです。
そのため、マンション売却で苦労したくないという場合は、少し手間はかかりますが複数社から査定を受けるようにしましょう。
5社ほど受けることができれば、自信を持って不動産業者と媒介契約を結べるようになるでしょう。
4-1. 5社も不動産業者から査定を受けるのは大変だという方は
もし、マンション売却で苦労はしたくないけど、たくさんの不動産業者から査定を受けることは難しい、という方がいる場合は、不動産一括査定サービスを活用してみてください。
一括査定サービスとは、ネットで簡単に複数社に査定依頼ができるというサービスです。
マンション売却であればマンションナビを推奨しています。
理由はマンション売却が得意な業者しか集まっておらず、なおかつ、物件情報で入力された地域を特に得意とする業者が自動的にピックアップされます。
そのため、
- 不動産業者の探し方がわからない
- 査定を受ける不動産業者のあてがない
- 複数社を探してに連絡する時間がとれない
- マンション売却が得な業者に査定を受けてみたい
というような方は、完全無料で使えるので一度試してみてもいいでしょう。1分程度(入力が遅い人でも5分)で完了します。
5. まとめ
周囲の環境があまり売却に有利でないとしても、売りにくくなるだけであって売れないわけではありません。
適切な戦略をたてて売却活動を行えば、高く、早く売れる可能性が出てきます。
この適切な戦略をたてるのは、優秀な不動産業者です。
能力の高い不動産業者と出会えれば、それだけで売却で苦労せずに済む確率はぐんと上がるでしょう。
必ず複数社を比較検討したうえで、契約を結ぶことを徹底しましょう。
それが、後悔しないマンション売却へと繋がります。