築年数

購入1年のマンション売却で大損した失敗事例

築1年のマンション売却

普通はしばらく住み続けるつもりで購入するマンション。

しかし中には急な転勤などの事情で、買ってスグに手放さざるを得ない人もいます。

ということで、この記事では購入から1年という新築同様のマンションを相場より安く売ってしまった失敗例と、築浅マンションの売却成功術をご紹介します。

1. 築1年のマンション売却に失敗(Aさんの場合)

築1年のマンションを売却した失敗例として、一昨年買ったばかりのマンションを昨年手放したAさん(20代後半)の体験談を見ていきましょう。

神奈川県横浜市に住むAさんは20代前半で結婚し、妻と2人の子どもを持つ営業マン。
勤め先のメーカーX社は全国7か所に拠点を構えていますが、そのほとんどは東京都内を中心とした首都圏にあります。
勤務地の希望を聞き入れてもらいやすい風土もあって、遠方への転勤は当分ないものと安心し「長男が小学校に上がる前に」と決心して新築マンションを購入しました。

住宅ローンの返済期間は35年。
低金利時代の恩恵を受け、住宅ローン控除の金額は繰り上げ返済資金として貯金していました。

ところが、マンションを買ってすぐに社長が交代し、方針が大幅に変更。
マンション購入したことは上司にも伝えていたのに、よりにもよってBさんは、7か所ある拠点のうち、唯一首都圏から離れた長野支所に転勤する辞令を受けてしまいました。

単身赴任も視野に入れて妻と相談しましたが、やはり子どもが小さいうちは一緒に暮らしたいので、家族全員で引っ越すことを選択。
しかし、まだ20代で収入も少なく、住宅ローンを返済しながら転勤先での生活を維持するのは難しいと判断。
今後も転勤の辞令がいつ出てもおかしくないので、思い切って購入したマンションを売却して賃貸で生活することにしました。

「賃貸に出して家賃収入を得る」という案も出ましたが、入居者がすぐに確保できるとは限りません。
空室になれば長野での生活費に加え、住宅ローンの返済額や修繕積立金、管理費などが毎月出ていくことになります。
そのリスクを考えると、持ち続ける気にはなれません。

「新築同様で設備も充実しているし、それほど物件価格も下がっていないだろう」と楽観視し、ちょうどテレビCMで目にした大手の不動産業者に査定を依頼しました。
しかし、営業マンから購入時の8割程度の査定金額を提示され、Aさんは「そんなに安いのか・・・」と落胆。
とは言え、大手の不動産会社の営業マンが言うなら間違いないだろうと思い、媒介契約を結び、その値段で売り出しました。

売却を依頼してから購入希望者が決まるまでの期間は1か月ほどと短期間でした。
特に値下げの要求もなかったので、当初の査定額である購入価格の8割程度で売却。

マンション売却には諸費用も必要なので、ローン残債は売却金額ですべて清算できませんでした。
抵当権を外すため、住宅ローン控除などで貯めたわずかな手元の自己資金も返済にあてて、貯金はほとんどゼロの状態に。

長野県で忙しく働きつつ、お小遣いを減らし、ゼロからまた貯金をはじめたBさん。
先日、ちょうど元不動産屋の友人と飲む機会があり愚痴をこぼすと「それはいくら何でも安い。損をしている」と指摘されました。

Bさんのマンション売却は、何がいけなかったのでしょうか?

2. 中古マンションの平均的な下落率

不動産物件は住み始めた瞬間に中古物件になるので、新築物件に比べて急激に価格が下落します。
中古住宅の築年数と、一般的な不動産価格下落率の相場を見てみましょう。

築年数下落率
築1年約10%
築10年約24%
築20年約40%

※詳しい中古住宅の下落率はコチラでも解説しています。

https://fudousancollege.com/category/age

築1年で1割も価格が下落するということは、誰も住んでいない「新築」と、誰かが住んだあとの「中古物件」に、購入する人が心理的な違いを感じるということです。
もちろん下落率は、その時の不動産市況、エリア、利便性、周辺環境によって大きく異なってきますが、この表から価格の下落率が最も高いのは新築後1年だということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
これはマンションだけでなく、戸建にも共通して言えることです。

日本人は本当に新築物件が大好き。
「新築」と「築1年」に実質的な違いはないように思いますが、住宅市場で流通する物件のほとんどは新築物件です。
住宅・土地統計調査(総務省)によると、中古住宅の割合は全体の14.7%にすぎません。

アメリカやイギリス、フランスといった欧米諸国では、中古住宅のシェアが半数を超えています。
この現状を受け、日本政府は長期優良住宅の普及促進を図るとともに、戸建て・マンションともにリフォームによる中古住宅の有効活用を促す政策を打ち出しています。

3. 不動産会社の選び方が売却失敗の原因

では、話を戻します。

築1年のマンションでは売却価格が大きく下落するということをご紹介しましたが、Bさんのマンションは、平均的な下落率(10%)よりさらに安い値段で売却されています。
必ずしも平均的な下落率にBさんのマンションが当てはまるとは限りませんが、横浜市は人気エリアということを考えると下落率20%は安すぎます。

結論から言うと、Bさんの失敗の原因は、複数の不動産会社に査定を依頼せず、1社にのみ査定を依頼してしまったところにあります。

というのも、査定額というものは不動産会社によって結構な差が出るものですが、Bさんのように1社にしか査定を依頼していないと、その査定金額がたとえ安くても比較対象がなく気付くことができないからです。

Bさんの場合「なんとなく安い」と感じたようですが、「大手だから間違いないだろう」と安易に考えてしまい結果的に大損をしています。

これに対して、複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの査定額を比較し平均を求めれば、だいたいの相場感を掴むことができます。
だいたいの相場が分っていれば、Bさんも安い査定額に気付くことができたはず。

ただ実際のところ、Bさんがそうしたように、知名度だけで大手の不動産会社に物件の売却依頼をする売主はたくさんいます。

ここで大手不動産会社の社員の立場になって考えてみてください。
取り扱う物件が多いということは、一つ物件に対してそこまで大きな労力を掛けることはできません。
大量の物件を次から次へと早く売りさばいていく必要があります。
この場合、査定額を抑え、相場より安いお得物件として売り出し、すぐに買い手を見つけるのが一番効率的です。

Bさんか依頼した大手不動産会社はまさにこのパターンだと考えられます。
もちろん全ての大手がこのスタイルということではないですし、大手には大手のメリットがります。

ここで言いたいことの本質は、大手だからとか、中小だからということではなく、
「知名度があるから大手に依頼しよう」と安易に1社に任せるのではなく、必ず、複数の不動産会社に査定依頼を出し、相場感を知ることが大切ということです。

何度も言いますが、だいたいの相場感があればBさんは査定額の安さに気付くことができたはずです。

4. 高過ぎる査定額にも注意

「じゃあ、一番高い査定額を提示してくれた業者に任せればいいのか!」と思われるかも知れませんが、これも安易です。

「少しでも高い金額で売りたい」というあなたの心理に付け込み、媒介契約を結ばせるため、わざと高い査定額を出している不動産会社も存在するからです。
さっきの薄利多売の大手とは真逆ですね。

そのような不動産会社は初めからその値段で売れないことは分っているので、たいした営業活動はしません。
そして、売主であるアナタがしびれを切らした頃に「頑張って営業してるんですが、反応が悪いですねーちょっと値段を下げませんか?」と言われるのがオチです。

この場合、高い値段で売り出している時間は完全にムダ。
最初から、相場価格、もしくは相場価格より少しだけ高い査定額を提示していた他の不動産会社に任せていればすでに売れていた可能性は十分にあります。

5. 査定額の根拠から信頼できる不動産業者を見つける

「安いのもダメ。高いのもダメ。じゃあ、どうやって信頼できる業者を見つければいいんだよ!?」
あなたはこんな風に思っているかも知れませんが、その通りです。
査定金額はあくまであなたが相場観を知るためのものであって、信頼できる業者を見つける指標とはならないのです。

では、信頼できる不動産会社を見つけるにはどうしたらよいのでしょうか?
それは、査定金額の根拠を聞くことです。

この時に、あいまいな根拠しか示せない業者なら媒介契約は見送った方がいいでしょう。

  • あいまいな根拠例(査定が相場より高い)
    「弊社には営業力があります」
  • あいまいな根拠例(査定が相場より低い)
    「競合物件が近隣にたくさんありまして・・・」
    「エリア的に価格が下げってます・・・」

この程度では根拠と言えません。

根拠を示すとは、
「売却希望エリアの過去の取引事例」
「数年分の相場推移」
「近隣で現在売り出し中のマンション価格」
これらの資料を使って、具体的に説明するということです。

逆に言うと、根拠がシッカリしていて、具体的な売却戦略を持っていれば、査定額が相場から多少離れていても信頼できる業者かもしれません。

査定額の高い・安いで任せる業者を決めるのではなく、しっかりと根拠があり、具体な販売戦略を持っている不動産会社を選びましょう。

6. まとめ

今回は、購入して1年しか経ってないマンションの売却に失敗した具体例を見ながら説明しましたが、

1.査定は1社ではなく、必ず複数の不動産会社に依頼し相場観を養う
2.査定額の高い・安いで一喜一憂せず、その根拠を聞く

この2つは、築年数が10年だろうが20年だろうが共通して大事なポイントです。
逆に言えば、この2つさえできていればマンション売却で大きな失敗はありえません。

確かに、複数の不動産会社に査定を依頼したり、根拠を聞いたりするのは面倒かも知れません。
しかし最近では、無料の不動産一括査定サイト(マンションナビなど)もあり、簡単な入力で複数社から査定額を貰うこともできます。

不動産売買契約は人生でそう何度も経験することではありませんし、選ぶ業者によって数百万もの損が出てしまいます。
面倒くさがらずに信頼できる不動産会社を見つけるようにしましょう。

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