売却手順 契約決済

マンション売却の「買い付け申し込み」とは?注意点と失敗しないコツ

マンション売却における買い付け申し込み

マンション売却では、購入希望者が現れると仲介業者から「買い付けの申し込みがあった」と連絡がきます。

買い付けの申し込みと聞くと「売却が決まったんだ!」と安心する方が多いですが、実はこれはまだ商談の入口です。

あくまでも購入することに前向きだという意思表示に過ぎません。
お互いに条件面のすり合わせがうまくいかなければ、申し込みは簡単にキャンセルされてしまいます

そこで、こちらの記事では

  • 買い付け申し込みとはどういう効力があるものなのか
  • 申し込みがあった時はどのように対応すればいいのか

について解説していきます。
せっかく現れたお客さんを逃さないよう、万全を期して対応をしましょう。

「まだマンションの査定をしてない・・」という方はは早くしたほうがいい 今後マンション売却について情報を集めていくことになりますが、あらかじめ自宅の査定額を知らないと意味がない事が多々あります。
そのため、マンション売却の可能性が出てきた時点で、すぐに査定を受けましょう。

この時の注意点は、まだ業者と契約を結ぶ段階ではないということです。
あくまでも、複数の不動産業者から査定を受け、その平均価格をおおよその自宅の価値として情報集めを進めることが目的です。

不動産一括査定サービスなどは、ネットから無料でかんたんに査定を受けることができるので、直接業者に連絡するよりもかなりハードルが低くなります。

まずは5社ほどを目安に査定を受けて自宅の資産価値を把握しておきましょう。

1. 買い付け申し込みとは

買い付け申し込みとは、購入希望者が「あなたのマンションを買いたいです」という意思表示するためのものです。

購入申込書などとも言われるため異勘違いしがちですが、申し込まれたからと言って購入が確定するものではありません。

あくまでも、ここから売主と購入希望者の商談が始まるのだと思っておきましょう。

というのも、「こういう条件で買いたい」という内容が記載されており、多くの場合は設定価格よりも低い金額が記載されています

マンション売買では、買い付け申込書を使った「値切り交渉」がよくあります。
この値切り交渉やその他の要望にどう対処するかで、交渉の成立と不成立が変わります。

そのため、買い付け申込書を受け取ったからと言って決して気を抜いてしまわないようにしましょう。

2. 買い付け申込書はどのタイミングで受け取るのか

買い付け申込書は、具体的にどの時点で受け取ることになるのか、マンション売却の基本的な流れと共に紹介します。

2-1. 査定依頼

さまざまな不動産業者から査定を受け、情報を集めます。
時間の許す限り多くの業者から査定額と意見を集め、自分のマンションの価値を理解する大切な期間です。

2-2. 売却依頼

集まった査定結果や情報、業者の対応を比較検討し、仲介を依頼する業者と媒介契約を結びます。
この時点で「売却に成功するか失敗するかが決まる」と言っても過言ではない大切な過程です。
業者は徹底比較をしましょう。

2-3. 売却活動【おおよそ2カ月~6か月】

不動産業者と話し合い、売却戦略を決めたうえでマンションの情報を市場に出します。
マンションの売買は平均3カ月と言われていますが、立地や条件によって前後します。

そして、内覧、【買い付け申し込み】、価格・条件交渉などが行われます。

2-4. 売買契約

主に買主のローンの審査待ちの期間です。

マンションの引渡し及び決済【契約からおよそ1カ月】
ローンが通ったら決済とマンションの引渡しを行い売買成立となります。

以上がマンション売買における、契約までの基本的な流れです。
そして買い付け申込書は、上記したように売却活動期間に受け取ることとなります。

3. 買い付け申し込みはキャンセルできる

買い付け申し込みは「意思表示」であり「契約」ではないため、法的な拘束力はありません。

そのため、買主側からの理由のないキャンセルは有効です。
逆に売主であるあなたが申し込みをした人に必ず売る必要もありません。

ここで注意しなくてはいけないことは、買い付け申し込みをしたあと買主は

「本当にこのマンションでいいのか」
「他に気になる物件が見つかった」
「親族や知り合いからの助言、反対で購入の意思がゆらぐ」

など、様々なキャンセルする原因が現れます。

特に第三者には「購入より賃貸の方がいいんじゃないか」「ローン地獄になるよ」「その業者は良い噂聞かないよ」など否定的な意見を伝える人がいます。

マンションは数千万円という高額な資産の買い物になるため、ネガティブな情報や噂話だけで簡単に意思が揺らぐこともあります。

そのため、購入希望者の気持ちが揺らいで冷めてしまう前に、相手からのアプローチに対して素早く返答することがとても重要です
できるだけ早い返答をし、できるだけ早く売買契約を締結できるよう動くということを、あらかじめ意識しておきましょう。

4. 買い付け申し込みの有効期限は?

買い付け申し込みは契約ではないため、明確に定められた期限というものはありません。

そのため、基本的には売主と買主で決めていくことになります。
そして、多くの場合は2週間以内に設定されますが、ここには法的根拠はありません。

5. 買い付け申し込みは先着順ではない

買い付け申し込みは先着順ではありません。

仮に、Aさんから先に申込があったとしても、次に現れたBさんがAさんよりも好条件であれば、Bさんを優先しても問題ありません。

誰に売るかは、売主であるあなたの自由です。

ただ、Aさんに対してただお断りをするのではなく、Bさんの購入希望価格をAさんに伝えそれ以上ならあなたと取引するように交渉する方法もあります。

このように上手く交渉をし利益を最大化できるよう意識しておきましょう。

6. 買い付け申込書に記載されること

買い付け申し込み書とは、具体的にどのようなことが記載されているのかについて解説します。

書式は購入希望者の利用する仲介業者で異なりますが、記載内容はほとんど変わりません。

6-1. 購入希望物件の概要

どの物件に対する申し込みかを明記します。ここには、あなたのマンションの情報が書かれています。

6-2. 購入希望価格

購入希望者があなたの物件をいくらで買いたいのかが記載されています。

あなたはその記載価格を見て、「手放しても良い価格か」、「手放すのに妥当な価格か」を判断することになります。

この際はローンの残債だけではなく、成約時に支払う仲介手数料などの諸経費を考慮することが大切です。

6-3. 手付金と残代金

購入希望者の支払う手付金の価格が記載されています。
手付金とは、売買契約するうえで買主が購入金額の一部を売主に支払っておくお金のことを言います。

このお金は契約解除時のペナルティとして機能をするもので、

  • 買主都合の契約解除の場合は手付金の放棄
  • 売主都合の解除の場合は受け取った手付金と、それと同額のお金を合わせて支払う

ということで契約解除が可能になります。
売主となるあなたは、この手付金が「安すぎないか」または「0円ではないか」を重視する必要があります。
手付金が安いとキャンセルされる可能性が高くなります。

例えば、他に本命のマンションがある状態で、そのマンションが駄目だった時の滑り止め感覚の申し込みの可能性があります。
また、手付金を用意できないような経済状況の相手の場合は、売買契約を結んでもローンの審査で落ちて契約解除となる危険もあります。

そのため、手付金が0円、または10万円のような申し込みには注意しましょう。
一般的には5~10%が手付金の目安です。

6-4. ローンの借り入れ予定額

買主が住宅ローンを利用する場合に。どの金融機関からいくら借りるのかが記載されています。
ローンを組むケースがほとんどですが、ローンの審査は必ず通過するわけではありません。

そのため、例え売買契約を結んだとしても白紙に戻るリスクがあることを理解しておきましょう。

6-5. 契約締結希望日、決済・引渡し希望日

申込書には、買主の希望する契約日や、引渡しの希望日が記載されています。

まず、買い付け申込書を受け取った日から、契約締結希望日までに時間がありすぎないかを気にしましょう
上記したように、契約まで長期間あいてしまうと購買意欲が下がる可能性が高くなります。

買主としては、できるだけ1週間以内に契約に持っていけるように交渉しましょう。

また、決済・引渡し希望日が売買契約後から時間があいている場合も注意しましょう。
例えばあなたが住み替えですでに新居を購入しているような場合、引渡しまでのマンションの管理費や固定資産税、ローンの利子などを余計に払うことになってしまいます。

一般的には売買契約締結後1.5カ月~3カ月以内での引渡しとなります。
それ以上、例えば半年先などを希望された場合は、まずは理由などを聞き早められないか交渉するようにしましょう。

6-6. その他の条件、特約など

最後に、その他に何か条件があるかを記載する欄があります。
こちらには「協議のうえ決める」というような事が書かれていたり「住宅ローン特約(融資特約)あり」などと書かれていることがあります。

住宅ローン特約とは、万が一買主の住宅ローンの審査が通らなかった場合、無条件で契約を解除することができるというものです。

ローンを組んだ不動産の購入では、基本的に住宅ローン特約をつけるものだと思っておきましょう。

そして、買主がローンの審査に落ちてしまった場合は、事前に受け取った手付金は買主に返す必要があります。
そのため、手付金は使わずに残しておくようにしましょう。

契約の突然の白紙で買主に対して憤りを感じるかもしれません。
しかし、買主自身も買いたかったマンションを買えずに残念な思いをしているということを理解してあげましょう。

7. 買い付け申込書が届いたあとの対応

買い付け申込書の内容に特に不満がなく、そのまま合意した場合は記載された条件で売買契約へと進みます。

それに対し、買い付け申込書の内容に合意できなかった場合は、売主と買主の希望をすり合わせなくてはいけません

そして、双方で納得できる条件に調整したうえで、売買契約の手続きとなります。
反対に、この調整で双方の合意が得られなかった場合は、契約には進まず売主の不承諾または買主のキャンセルで話は流れることになります。

そこで、スムーズな取引を行ううえで、あらかじめ理解しておくべきことをお伝えします。

それは「マンション売却では価格交渉があるのが当たり前」ということです。

特徴としては、買い付け申込書に販売価格よりも安い購入希望価格が書かれており、それをもって値下げ交渉とするケースが多くなっています。
そして基本的に、お互いの仲介業者を介して希望を伝え合います。

この時、かたくなに値下げを断れば、相手の購買意欲が低下してしまう可能性が上がるでしょう。
そのため、値下げ交渉に対してある程度譲歩する心づもりをしておくことが大切です。

また、あらかじめ値下げ交渉の存在を知っていれば、値下げありきの価格設定にすることもできます。
(例えば3500万円で売りたい場合には、3580万円という価格設定にし80万円の値切り用の端数をプラスしておくなど)

こうして細かな調整をし、最終的に双方がなっとくできる条件が整って、ようやく売買契約が締結されます。
一度契約を結べば拘束力が発生するため気軽にキャンセルはできません。

契約破棄をする場合は手付金を使ったペナルティが発生します。
そのため、「本当にこの買主さんに売ってもいいのか」を契約までにしっかりと見定めるようにしましょう。

8. まとめ

買い付け申込書が届いた場合は、何よりも購入希望者の熱が冷めないうちに対応することが重要です。
そして、できるだけ早く売買契約まで繋げることが、マンション売却には必要です。

そのため、値下げ交渉などでも迅速に返事ができるよう、あらかじめ売りたい価格を決めておくようにしましょう。

もし、まだ自宅の資産価値を正しく把握できていないという方は、早めに査定を受けてどれくらいの価格で売れそうなのかを確認してください。
その金額によって、今後の人生設計が大きく変わってきます。

とりあえず査定を受けるという場合は、無料の不動産一括査定サービスなどを試してみるといいでしょう。

-売却手順, 契約決済