売却手順 契約決済

マンション売却で手付金が払われるタイミングは?手付金は使用現金!

マンション売却の手付金

マンションを売却する際に売主が最初に受け取るお金が「手付金」ですが、ちゃんと正しく理解できている人は意外といません。

そこでこの記事では

  • 手付金とはいったいどういた役割があるのか
  • どれくらい受け取るものなか
  • 手付金に関する注意点はなにかあるか

を解説していきます。

手付金の扱い方に失敗すると、予想外のトラブルに発展してしまう可能性もあります。
正しく理解をしておくようにしましょう。

1. マンション売却における手付金とは?

手付金とはマンションの売買契約が成立した際に、買主から売主に支払われるお金のことです。

契約成立の証であり、マンション売却において売主が最初に受け取るお金になります。
この手付金は法的な義務ではありまませんが、不動産売買では契約締結時に支払うことが慣習となっています。

よく「手付金が売却代金の一部先払い」だと勘違いされますが、これは間違いです。
手付金はマンションの代金の先払いではなく、保証のような意味で買主が売主に預けているお金です。

勘違いされる原因は、本来であれば決済を行う場合、手付金を返却したうえでマンションの代金を受け取ることになります。
しかし、手付金を一度返却するのは無駄手間となるため、取引の現場では手付金はそのままに、残っているマンションの代金を支払って決済を完了とします。

つまり、問題なく売買が進んだ場合、手付金の返却という段階を飛ばし、残代金とあわせて計算をおこなうということです。

このように、通常の取引ではマンションの代金の一部のような扱いをするため、手付金が代金の一部だと勘違いされてしまいがちです。

2. マンション売却手における付金の役割

手付金の役割には「解約手付」「証約手付」「違約手付」の3つの役割があります。
手付金を受け取る側として、最低限は把握しておきましょう。

2-1. 解約手付

解約手付とは、売買契約締結後にどちらかが解約を申し出る際に、そのペナルティとしての役割を持ちます。

解約手付については民法第557条第1項に定められています。

第五百五十七条 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。

電子政府の総合窓口「e-Gov」:民法

基本的にこの手付金の金額が基準となりますが、売主と買主で対応方法は異なります。

2-1-1. 買主側から契約解除する場合

買主は支払った手付金を放棄することで、契約の解除をすることができます。

これを「手付流し」と言い、例えば200万円の手付金を支払っていた場合は、この200万円を放棄することで契約解除が可能です。

売主はこの200万円で解約を受け入れなくてはいけません。

2-1-2. 売主が契約解除する場合

売主は受け取った手付金の2倍の金額を買主に支払うことで、契約解除をすることができます。

これを「手付倍返し」と言い、例えば買主から200万円の手付金を受け取っていた場合は、倍の400万円を買主に支払うことで契約解除が可能です。

すでに受け取っている200万円を含めですので、実質は買主が支払った手付金と同額のお金を支払うことで契約解除ができるということです。

買主はこの400万円を解約を受け入れなくてはいけません。

2-2. 証約手付

証約手付とは、売買契約が締結された証明としての役割を持ちます。

買主が売主に対して証約手付としてお金を支払い「私はあなたの物件を買う意思があります」という意思を具体的な金額で提示します。

2-3. 違約手付

違約手付とは、売買契約締結時の契約で決められたことをどちらかが守らずに(債務不履行)、相手方が不利益を被った際に賠償金としての役割を持ちます。

この場合は、解約手付と同様に買主の場合は手付金が没収され、売主の場合は手付金の倍額支払う必要が出てきます。

3. 手付金を受け取るタイミング

売主はどのタイミングで手付金を受け取るかと言うと、売買契約を結んだ時点でもらうことになります。

マンション売却の基本的な流れは

  1. 不動産業者から査定を受ける
  2. 業者を決めて媒介契約を結ぶ
  3. 販売活動を開始する
  4. 買主候補から買い付け申込書が届く
  5. 買主と売主の条件をすり合わせる
  6. 条件で合意したら売買契約を締結する
  7. 双方の準備を済ませ契約で決められた日に決済・引渡し

となりますが、⑥の「条件で合意したら売買契約を締結する」の時に手付金を受け取ることになります。

受け取り方は2種類あり、現金を手渡しで受け取るか、預金小切手で受け取ることになります。

基本的には現金で手渡しの場合が多いですが、預金小切手をもらった場合は自分で銀行へ持って行き、自分の口座へと振り込んでもらうことになります。

現金で受け取った場合も、小切手で受け取った場合も、必ずその場で金額に間違いがないか一度確認しましょう。

4. 手付金の相場

手付金として支払われる額は、一般的に売買金額の10%前後と言われています。

物件の取引価格によってもことなりますが、高くても20%以内に収まるケースがほとんどです。

また、買主のによっては10万円や100万円固定というケースもありますし、売却をしていると「手付金は0で」と言われることも出てくるでしょう。

この時に注意が必要なことは、手付金が安いほど解約されやすくなるということです。

買主側にも事情があるかもしれませんが、手付金0円ということは買主側から解約されてしまった場合に、ペナルティなしで契約を白紙に戻せるということです

売買契約を結べばその間、売主は売却活動ができないため1カ月や2カ月といった時間を失う(機会損失)ということです。

そのため、手付金が安い申し込みはできるだけ避けたほうがいいでしょう。

5. 手付解除はいつまでできるのか

手付解除の期限は民法で「相手方が契約の履行に着手するまで」と書かれています。

この契約の履行とはわかりずらい言葉ですが、例えば「買主が中間金(内金)を支払う」ことが着手にあたります。
また「売主が所有移転登記手続きを行う」ことが着手にあたります。

あくまでも相手方がアクションを起こしていなければ、こちらから手付解除を行うことができます。

ただ、基本的にローンを組んでマンションを購入する場合、内金は払わずに決済時に残金を全額支払うことがほとんどです。
また、所有権移転登記の手続きをするのは、決済が終わり引き渡すタイミングになります。

つまり、民法では決済・引渡しの日まではいつでも手付解除ができてしまうことになります。
それでは、売主も買主も互いに手付解除される不安を持ったまま決済・引き渡し日まで過ごすことになります。

そのため、売買契約のなかで手付解除ができる期限を明記することが一般的となっています。

指定の期日までは手付解除が可能で、その日以降は手付解除ができないと定めておくのです。
つまり、売主と買主で合意した期日が、手付解除が可能な期限となります。

6. 要注意!手付金を使ってはいけない

売主によっては、手付金を自分のお金だと勘違いして使ってしまう方がいます。
しかし、手付金は一切手を付けずに残しておくようにしましょう。

ここまで説明したように、あなた(売主)から契約解除をする場合にはその手付金を含め、手付倍返しをする必要が出てきます。

それだけではなく、買主が住宅ローンを借りてマンション購入する場合には「住宅ローン特約」というものが売買契約に盛り込まれるケースがほとんどです。この特約が適応された場合は、買主都合の解約でも手付金を返還しなくてはいけなくなります。

6-1. 住宅ローン特約とは

住宅ローン特約とは、買主が住宅ローンの審査に落ちてしまったら、無条件で売買契約を白紙に戻すことができるという特約です。

通常のマンション売買では、買主は売買契約締結後にローンの本審査を受けることになります。この時、仮審査ではOKになっていたにも関わらず、本審査で落とされてしまうケースが少なからずあります。

そういった場合に買主は手付金を放棄することなく、売買契約を白紙に戻すことができるのが住宅ローン特約です。

売主としては「審査に落ちたのは買主なのに、なぜ手付金を返さなくてはいけないんだ」と考える方もいるかもしれません。

しかし、買主からすると金融機関から手のひらを返されたわけで、買いたかったあなたのマンションを買えず悔しい思いをしています。
この時、審査が通らずマンションが買えないだけでなく、少なくない手付金を返してもらえなければとても辛い状況となります。

そのため、基本的に売買契約の内容には住宅ローン特約が盛り込まれています。

つまり、買主の住宅ローンの本審査が通るまでは、手付金を返さなくてはいけなくなる可能性が残っています。

そのため、買主の審査通過が確定するまでは、絶対に手付金を使ってしまわないようにしましょう。

7. まとめ

手付金は売買が成立した場合には、実質的にマンションの売却金の一部となります。
ただし、売買契約が何かしらの要因によって白紙に戻った場合は、返却する可能性のあるお金でもあります。

そのため、手付金が渡されたとしても手は付けずに、買主のローンが融資されることが決定するまではとっておくようにしましょう。

8. これから不動産査定を受けてみるという場合

最近は不動産の査定依頼を行う場合、不動産一括査定サービスを使うのがスタンダードになっています。
一括査定サービスを使うのは不動産屋に騙されて損をしないために有効な方法と言えます。

ただし、ひとつだけ注意が必要です。

それは、不動産全般を扱う普通の一括査定サービスではなく、マンション専用の一括査定サービスを使ってた方が優秀な不動産会社と出会える可能性が高くなる、という事です。

理由を簡単に説明すると、普通の不動産一括査定サービスは「マンションのプロとアマが混在している」のに対して、マンション専門の不動産一括査定サービスは「マンションのプロしかいない」からです。

ぜひマンション専門の不動産一括サービスを使ってみてください。

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