住み替え

マンションを売却して新居を購入!頭金は必要?どうやって用意する?

マンションから住み替え(買い替え)


現在住んでいるマンションを売却して、新たに家を買うことを「住み替え」と言います。

この住み替えの際に悩みの種となるのが新居の頭金ですよね。

少なくない額ですので「用意が難しい」という方もいれば、「返済中のローンとの兼ね合いがわからない」、「どうやって用意すればいいかわからない」、といった方もいるでしょう。
中には「頭金を払わなくてもいい物件を探す」という方もいるかもしれません。

しかし、頭金は払った方がいい理由があります

そこで、

  • 住み替えの場合は頭金をどう用意すればいいかわからない
  • 貯蓄がない
  • いざという時のために貯蓄を切り崩したくない

という人に向けて、頭金について解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、頭金についての問題解決や、重要性について理解をしましょう。

1. 頭金とは?

頭金とは、新居を購入する際に支払う代金の一部のことで、住宅ローンではなく自己資金で支払うお金のことを言います。

例えば、4000万円のマンションを購入する際に、3500万円は住宅ローンで支払い、残りの500万円を自己資金で購入時に払う場合、この500万円の部分が頭金です。

2. 頭金はどれくらい必要?

一般的に「頭金は2割」といわれているため、「頭金ってそんなに用意しなくてはいけないの?」と不安になる方もいたと思います。

しかしこの基準は、以前まで購入住宅の8割までしか融資してくれない金融機関が多かったために「頭金は2割」と言われていたに過ぎません。

現在では、住宅ローンで10割の融資(フルローン)をしてくれる金融機関(住宅ローン)もたくさんあります。

つまり、頭金なしで住宅を購入することは可能ですので、必ず頭金を用意しなくてはいけないというわけではありません。

3. 頭金を払うのはメリットがあるから

必ずしも頭金を用意する必要はありませんが、新居を購入する際は頭金を用意した方がいいです。
というのも、以下の3つのメリットがあるからです。

  • ローンの総返済額が減る
  • 金利が有利になる
  • ローンの審査が通りやすくなる

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

3-1. ローンの総返済額が減る

住宅ローンを組んで自宅を購入した場合、月々の返済が必要となりますよね。
そして、そこには利息がかかってきます。

多く借りれば借りるほど、支払う利息も多くなるため総返済額が増えてしまいます

具体的な計算例を挙げてみます。

3-1-1. ケース①頭金0で4000万円の家を買う場合

条件は「借入金が4000万円」「ボーナス返済なし」「借入期間は35年」「金利は1.25%3年固定で固定期間終了後は4%」と仮定して計算を行います。

このケースの総返済額は7026万8264円となります。

3-1-2. ケース②頭金500万円を用意して4000万円の家を買う場合

条件は「借入金が3500万円」、その他は全て同じで「ボーナス返済なし」「借入期間は35年」「金利は1.25%3年固定で固定期間終了後は4%」と仮定して計算を行います。

このケースの総返済額は6148万4903円となります。
頭金の500万円を含めた総支払額は6648万4903円です。

そして、ケース①とケース②の総支払額を計算してみると、頭金を500万円用意した場合だと378万3361円も総支払額が減ることになります。

実際にはボーナス払いや繰り上げ返済をすれば計算結果も変わってきますが、すくなくとも頭金を用意した方が総返済額は少なく済みます。

4. 金利が有利になる

住宅ローンは、頭金をどれくらい用意するかによって金利が変わってきます。

例えば、フラット35(2020年5月現在)の場合だと以下のようになります。

融資率
(物件の価格に対する融資割合)
金利最も適用されている金利
9割以下年1.300%~2.030%年1.300%
9割超年1.560~2.290%年1.560%

このように、頭金を用意するかどうかによって金利が変化し、月々の返済額や最終的な総返済額も変わります。
%で見るとわずかな数字に見えるかもしれませんが、元本が数千万円ですので0.1%変われば総返済額は数十万、数百万円と変わってきます。

つまり、規定の割合の頭金を用意するだけでかなりお得になるのです。

4-1. ローンの審査が通りやすくなる

例えば、全てが同じ条件で4000万円を借りる場合と比較して、頭金で500万円を用意して3500万円を借りる場合、借入額も小さくなります。

同じ年収の人が4000万円を35年かけて返済していくのよりも、3500万円を35年かけて返済していく方が無理のない返済ですよね。
そういった意味で、3500万円を融資する方が審査を通りやすくなります。

またそれだけではありません。

頭金を用意することで、金融機関から「頭金を用意できる=しっかりと貯蓄ができる人」というように受け取られ、ローンの審査でプラスに働きます
逆に頭金0の場合「貯蓄が苦手」「計画的にお金を使えない」「返済能力に乏しい」と判断され、審査に悪影響が出てしまう可能性があります。

5. 頭金を払わないことのリスク


頭金を用意することで享受できるメリットがあるのに対して、頭金を払わないことによるリスクもあります。

頭金0ということは、住宅をフルローンで購入することになります。

フルローンでローンを組む場合、総返済額が多くなるというデメリットは上で説明しましたよね。
しかし、これはあくまでも「ローンを完済するまでずっと住む」という場合のデメリットです。

住宅を購入した方の中には転勤や家族の問題などから、返済途中で売却せざるを得ないという状況になる人もいます。
この「ローンの返済途中」で売却するとなった場合、それどころではない大きな障害となる可能性があるのです

5-1. 売却時にオーバーローンとなってしまうリスク

住宅は経年とともに資産価値が下がります。
これは中古マンションの取引データからわかっていることで、多くの人が漠然と「古ければ安くなる」ということはご存じでしょう。

数値にしてみると築20年程までの下落スピードは、それ以降よりも早いことがわかっています。
新築に関しては一度入居した時点で新築プレミアムを失い一気に10%~20%、地域によっては30%も下がるとも言われています。

いずれにせよ、購入時よりも売却する時の価格が下がっているということは避けられません。

そして、問題はそれだけではありません。

住宅ローンは元金の減りが遅いというところにも問題があります。
というのも、住宅ローンを返済する場合は、基本的に「元利均等返済」とう方式で返済していくことになります。

この「元利均等返済」は毎月の返済額が変わらず、利子と元金の比率が経年とともに変化していきます。最初の方の返済では利子の割合が多く、支払いが進むほど元金の返済割合が多くなる返済方式です。

そのため、家を購入してからの期間が浅いと、思ったよりもローンの元金が減っていないという状況になります。

つまり、建物の資産価値が下がっていくのに対して、借金そのものがあまり減っていないという結果、ローンの残債がマンションの売却金よりも多くなってしまうのです。

この、自宅の売却金でローンを完済できない状態のことをオーバーローンと言います。
別の言い方をすると「担保割れしてしまっている」ともいいます。

オーバーローンになってしまった場合は、足りていない分を補填して一括返済しないと基本的に売却できなくなってしまいます

頭金0で購入するとオーバーローンになる可能性が高まり、売りたくでも売れないという状況に陥るリスクが高まりまるということを理解しておきましょう。

5-2. まずは自宅がオーバーローンになっていないかを確認

もし、自分の家がオーバーローンか不明な場合は、早めに一度確認しておくようにしましょう。

必要は数字は2つだけで「ローンの残債」「自宅の資産価値」を調べましょう。

「ローンの残債」は、金融機関から定期的に送られてくる「返済予定表」を確認しましょう。

「自宅の資産価値」は、不動産業者から自宅の査定を受けましょう。

もしかしたら査定は業者が家に来て面倒そうだと思うかもしれませんが、対面するのは「訪問査定」であり、「簡易査定(机上査定)」であれば、来訪もないので簡単でおすすめです

自宅の査定ですので情報入力は必要ですが、1分ほどでかんたんにできます。
また、要望欄で連絡はまずは「電話で(メールで)査定額を教えてください」と要望することで、簡易査定の依頼もできます。
マンション売却であればマンションナビという不動産一括査定サービスがおすすめですので、一度試してみてください。

6. 頭金はどうやって用意する?

続いて、他の人は頭金をどのようにして用意しているのかを紹介していきます。

6-1. 預貯金やその他資産を使って現金で払う

最も多いのが定期預金などでコツコツとためて支払うという方法です。

節約をしたり、副業を行う、親などから援助してもらう、または車や貴金属、有価証券などを現金化して頭金を用意するという方法をとります。

6-2. いま住んでいるマンションの売却金を使う

現在住んでいるマンションを売却し、残ったお金を頭金として次の住宅を購入します。
例えば、ローンを完済済みのような物件では、仲介手数料などの売却費用を引いてあとは好きなように使えます。

ただし、ローン返済中物件で特に「新築で購入した」「購入してまだそれほど期間が経っていない」という物件の場合は、上記したようにオーバーローンの可能性があります。

早めにローンの残債と自宅の資産価値を調べておきましょう。

7. 頭金を払うリスクにも注意

ここまで頭金を払わないことに対するリスクを解説してきました。
しかし、全財産を使って頭金を払えばいいわけではないということも覚えておく必要があります。

まず、新たに家を買うということは引越しが必要となりますし、新たな家具家電を買いそろえるなどしてお金がかかってきます。

また、人生いつ何が起きるかわかりません。

例えば家族が病気になる、事故を起こす、ケガをして入院することになれば、まとまったお金が必要となってきます。
また、会社が倒産したり、リストラによって大黒柱の収入が途絶える可能性も0ではありません。

そんな状況に追い込まれたとき、頭金で一切の貯蓄を使い切ったとなれば対応できなくなってしまいます。

返済もままならなくなれば、せっかく購入した家を手放す事にもなりますし、場合によっては借金だけ残るという悲惨な状況にもなり得ます。

そのため、必ず貯蓄は使い切らずに、一定の金額は残しておくようにしましょう。

一般的に言われているのは「通常の生活費の半年分以上」です。
できれば一年くらいの余力を残しておいた方が万が一に対応ができます。

8. まとめ

基本的には頭金を用意した方がいいですが、現実問題として万が一の事態にそなえて頭金を用意しない・できないという人も少なくありません。

ただ、頭金を用意した方がいいことは間違いありません。

そこで、まだ新居の購入は先という人の場合は、今からでも節約や頭金に向けて貯蓄を開始してみるのもいいでしょう。

今のマンションを売却してローンを清算してお金が残るようであれば、これらの心配もいらないので、まずは自宅がオーバーローンになっていないかどうか確認してみてください。

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