マンションを所有している人は、全員が管理組合に加入しています。
そのため、マンションを売却する際は「組合員資格喪失届」を提出し、組合員から脱退する必要があります。
注意が必要なことは、売却しても勝手に脱退できるわけではないということです。
そこで、こちらの記事では連絡方法やタイミング、注意点について解説していきます。
しっかりと理解しておき、スムーズなマンション売却をしていきましょう。
1. まだマンションの査定をしてない人は早くしたほうがいい理由
今後マンション売却について情報を集めていくことになりますが、あらかじめ自宅の査定額を知らないと意味がない事が多々あります。
そのため、マンション売却の可能性が出てきた時点で、すぐに査定を受けましょう。
注意点は、この査定はまだ業者と契約を結ぶためのものではないということです。
あくまでも、多くの不動産業者から査定を受け、その平均価格を「マンションの資産価値の基準にし悪徳業者にひっかからないようにする」ことが目的です。
どの業者を選ぶのかはその次の段階です。
査定に対してハードルを感じる場合は不動産一括査定サービスなどを活用しましょう。
ネットから無料でかんたんに査定を受けることができるので、直接業者に連絡するよりもかなりハードルが低くなります。
まずは5社ほどを目安に査定を受けて自宅の資産価値を把握しておきましょう。
2. 連絡をしないと管理費、修繕積立金の引き落としが終わらない
マンション売却時に組合員資格喪失届を提出して組合員ではなくなったことを報告する必要があります。
その理由は届け出しないと、あなたの口座から管理費と修繕積立金の引き落としが続いてしまうからです。
過払い分は帰ってこないわけではありません。
しかし、管理組合に対して払い戻し請求をする必要があります。
また管理組合(管理会社)は必要のなかったはずの払い戻し作業をしなくてはいけません。
つまり、あなたの手間になるだけでなく、他の人にも迷惑をかけてしまうことになります。
そのため、売却時は必ず組合員資格喪失届を提出するようにしましょう。
3. マンション売却の連絡を管理組合にするのは決済後
組合員資格喪失届は、マンションの引渡・決済日が決まった時点で記入しを行い所有権が移転したタイミングで提出します。
これは、国土交通省が発表している「マンション標準管理規約(単棟型)」の「第6章管理組合、第1節組合員の(組合員の資格)と(届出義務)」に明記されています。
基本的には、仲介を頼んだ不動産業者が管理会社から書類を入手しているため、用意などは任せておきます。
ただし、業者によってどこまでやるかが変わりますので、売却が決まりそうだとなった段階で一度確認しておきましょう。
仲介業者が用意していない場合は、決済日を迎える前にマンションの管理人室を訪ね問い合わせてみましょう。
管理人がいない場合は管理組合の理事長、または管理会社に書類について尋ねて書類を入手しておいてください。
なお、組合員資格喪失届は買主の組合加入届を兼ねている場合もあります。
その場合は、売主(あなた)と買主の連名で記入します。
4. 組合員資格喪失届の提出先
届の提出も不動産業者に任せておくことになりますが、基本的な事は理解しておきましょう。
組合員資格喪失届の宛先は、基本的に理事長あてとなっています。
ただし、窓口となるのは大抵管理会社となります。
多くのマンションで管理業務は管理会社に委託されており、組合員の管理を任せている場合も少なくありません。
そのため、組合員の加入や離脱に関する管理も管理会社が代行しているケースがほとんどです。
自分で届を提出する場合は管理人室にいる管理人に提出することになります。
管理人が対応できない場合は、管理組合の理事長に直接渡すか、管理組合に提出することになります。
どこに提出するべきかは、書類をもらった時点で一度確認をしましょう。
5. 管理組合の役員に任命されていても売却していいのか
役員(理事長、副理事長、会計担当など)は持ち回りのことが多く、それなりの期間住み続けていれば役員になることもあります。
そして、役員に任命されているタイミングで売却が決まるという事もあるでしょう。
こういった場合、何か問題が出てくるのではないかと考える方もいるでしょう。
しかし、管理組合に役員に割り当てられていても問題なく売却可能です。
役員がマンションを手放して会員資格を喪失する場合は臨時総会を開き、誰か別の住人が役員のポストにつきます。
「買主がいきなり役員にならなくてはいけない」というようなことはありません。
6. これまで支払った修繕積立金や管理費はどうなる?
マンションの管理に使われる管理費はともかく、積立金の方は帰ってくるのではないかと期待する人は少なからずいます。
しかし、管理費も修繕積立金も返還されることはありません。
管理費はマンションの維持管理をするために使われています。
例えば、共用部の清掃や電球が切れた、設備が故障した、エレベーターの点検といった場合に使われるもので、あなたがこれまで快適に過ごすために使われています。
また、修繕積立金は将来マンションを修繕するために積み立てているお金です。
これまであなたが所有していた期間に劣化した部分を、あとでまとめて修繕するために管理組合に支払ったお金です。
積立という名目で勘違いしてしまう場合もありますが、いったん納められた管理費や修繕積立金は管理組合の財産となります。
そのため、管理費と修繕積立金は両方とも返ってくることはありません。
ただし、先払いしている場合は戻ってくる場合もあります。
これは売主と買主でどうするかを決めるもので、マンションを購入してくれた感謝として清算しない(返してもらわない)ことも少なくありません。
7. 管理費・修繕積立金を滞納している場合
管理費や修繕積立金を滞納していても売却することはできます。
ただし、売却が完了すると滞納しているお金は新たな所有者(買主)に支払い義務が発生することになります。
また、契約を結ぶ前に滞納がある旨を告知する必要もあり、仲介業者には買主に対して滞納状況を報告する義務が課せられています。
参考:国土交通省「宅地建物取引業法 法令改正・解釈について」
そのため、滞納状況は必ず買主さんに伝わることになります。
当然、滞納していることを知れば、あまりいい印象を持たれません。
そのため、マンションを売却する前に滞納分の支払いを済ましていた方が無難です。
では、滞納したまま売却するような場合はどのように処理するのかというと、マンションの値引きで対応することが多くなります。
例えば10万円滞納している場合は、2000万円の物件を1990万円で売却するといった形です。
そして、買主に滞納していた管理費と修繕積立金の支払いをお願いするのです。
ただ、滞納額が8万9千円のような場合に、切りよく10万円の値引きをするケースもあり、事前に自分で支払っておいた方がお得なケースも少なくありません。
できるだけ手元に残るお金を多くしたい場合は、あらかじめ清算しておくことをおすすめします。
8. 注意!管理費や積立金の増額が決まっている場合は必ず伝える
売却する場合、できる限りデメリットを伝えたくないというのが売主の心情でしょう。
しかし、あらかじめ管理費や修繕積立金の増額が決まっていることがわかっている場合は、その旨は必ず伝えましょう。
売買契約を締結する際には、別途「告知書」というものを用意します。
告知書というのは、物件について報告しておくべき事(建物の欠陥部分や周辺環境などに問題がないか)を記載する書類です。
そして、告知書には記載できるスペースがあるので、そこへ必ず記入しておきましょう。
記載せずに売却後に値上がりした場合、買主から「聞いていた話と違う」と後々トラブルへと発展する可能性があります。
なお、ちゃんとした不動産業者であれば事前に調査をし、「〇月から〇〇円に値上がりしますね、これで問題ありませんか?」と確認をしてくれます。
9. まとめ
以上がマンション売却にともなった管理組合への連絡タイミングと注意点となります。
基本的には不動産業者に任せておき、記入だけするケースが多くなりますが業者によって対応は異なってきます。
少なくとも、優秀な不動産業者を見つけることができれば、任せておいても問題はないでしょう。
また、業者選びに成功すれば売却価格は変わりますし、その他の売却後のトラブルを未然に防げる可能性も高くなります。
マンション売却では業者選びで、成功と失敗が変わります。
必ず多くの業者から話を聞き、比較をしたうえで信頼できそうな業者を探すようにしましょう。